12月3日に南箕輪の大芝高原 森の学び舎でミヤマシジミ研究会の講演会と活動報告会が行われました。オンライン参加も含めて参加者は計58名で、例年以上の盛り上がりでした。講演会は里の会会長で東京大学教授の宮下先生による「伊那谷の自然とミヤマシジミ:自然の歴史的変遷から考える」というタイトルで、人間による利用と放棄にさらされる自然とそこに暮らす生き物について、ご自身の実体験と共に語られていました。活動報告会では、里の会を代表して事務局が話をしてまいりました。高瀬川沿いで活動されている方々の発表には大変感銘を受け、保全活動と教育をうまくつなげる仕組みづくりはとても参考になりました。他にも企業活動の中でミヤマシジミの保全に取り組み、生息個体数の増加に成功させている事例もありました。高校生の職場体験にも保全を組み込んでいるそうで、保全活動は企業価値の向上にも繋がると感じました。他の団体の活動を学べ、代表の方との繋がりも持つことができた貴重な機会となりました。
会場は昨年完成した「森の学び舎」。広くて綺麗な施設でした。
ほぼ満員御礼の会場風景。里の会会長の講演に皆さん真剣に耳を傾けています。
講演内容が新聞に取り上げられました。里の会の文字がないのが残念ですが、里の会の草刈り方法が一部紹介されています。
小雨が降ったり青空が覗いたりのお天気の中、来年に向けてタネ採集を行いました。飯島町の恒例行事となった米俵マラソンが次の日に控え、リンゴの収穫真っ盛りということもあり、4人だけでせっせとタネを集めていきました。コマツナギが大きく育っている土手2か所を巡り、袋いっぱいにコマツナギのタネをとって満足したあとは、ミヤマシジミの生息地でセンブリやリンドウを見て、越冬卵も確認し、ほっこりとした計2時間弱の会となりました。今回集めたタネから来春に苗を作り、今年以上に多くの場所に植え付けを行っていきます。寒い中お疲れ様でした。
コマツナギのサヤは手袋をして枝に沿って引っ張ると簡単にとれることがわかりました。この方法で効率よく大量にサヤを収穫することができました。
2か所目に行った土手も丁寧にコマツナギだけを残して草刈りされている場所のため、サヤがギッシリ枝についています。十分すぎるタネをいただきました、ありがとうございます。
このコマツナギは去年、小学生たちと一緒に植えた株の一つです。1年でみるみる大きくなり、沢山の子孫を作るコマツナギはやはり競争に弱い遷移初期種なのでしょう。適度な撹乱が大切です。
タネ採りに満足した後は、土手の植物の観察です。センブリやリンドウ以外にも、紅葉したナワシロイチゴやツルウメモドキのタネ、来年花を咲かせるスミレのロゼットなどを見て眼福を得ました。
飯島町文化館で2日間にわたって開かれたいいちゃん文化祭で、里の会は展示とワークショップを行いました。展示したのは、里の会とミヤマシジミの紹介ポスターや飯島町内で採集したチョウの乾燥標本(ミヤマシジミの立体標本も)、ミヤマシジミの一生をまとめたスライドショーと盛沢山で、ワークショップは蝶の翅のキーホルダー作りです。このキーホルダーは実際の蝶の翅の模様とサイズを再現し、作って持ち歩くことでチョウをより身近に感じてもらえるようにと工夫しました。参加者を40人程度と見越していましたが、実際には2日間で計57人もの方がキーホルダー作りに打ち込んでいただき、スタッフはほぼ休みなしで2日間が終了しました。アオスジアゲハやメスグロヒョウモン、ミヤマシジミといった蝶の名前がブース内で飛び交い、チョウへの関心や識別能力の向上にも一役買うことができたかもしれません。綺麗に仕上がり嬉しそうに持ち帰っていく子供たちがいつかミヤマシジミの保全にも関わってくれる日を楽しみにしたいと思います。
ポスター展示風景。ポスターは業者に印刷してもらったので高い買い物でしたが、綺麗に仕上がったと思います。しっかり読み込んでくださる方も多かったです。
標本展示コーナー。飯島町に生息している蝶を展示しました。ミヤマシジミの立体標本も展示したので、「かわいい!」という声を多くいただけました。
色々な蝶を知ってもらうために、参加者の方には好きな蝶を選んでキーホルダーにしてもらいました。アオスジアゲハがダントツの人気でしたが、シックなメスグロヒョウモンのメスも意外に人気でした。
みんな作業に夢中でした。プラ板を使ってのキーホルダー作りだったので、最後の加熱の工程で毎回歓声があがり、スタッフも嬉しくなります。蝶の種名も一緒に作ったので、選んだ蝶の名前は覚えてくれるはずです。
年内最後のミヤマシジミがピークを少し過ぎ、幼虫が見られなくなった9月下旬に生息地の草刈りを行いました。この時期に草を刈ることで、メスが刈られたコマツナギに越冬卵を産んでくれるので、来年5,6月の1世代目の発生まで草を刈らずに済みます。24日は8名、25日は4名の方にご参加いただき、ワレモコウやツリガネニンジン、ヒヨドリバナ、コウゾリナといった色とりどりの花を愛でながら草を刈りました。草刈り前日は台風の影響で大雨でしたが、当日はカラッと晴れ渡りムシムシした一日となったので、適度に休憩を入れつつ(話が盛り上がってしまって休んでばかりにならない程度に)メリハリよく草を刈り、刈り草を集め、堆肥場に運んでいきました。2日間で5か所の生息地を刈ることができ、来年のミヤマシジミの発生に期待が持てます。刈り草と少々の米ぬかだけで作る堆肥の仕上がりにもご期待ください。年内最後の活動は11月のタネ採集になります。農地の脇に咲くリンドウやセンブリの花も観察できると思います。
平らな生息地は刈りやすく草も集めやすいです。ここはとても痩せていて年に1回刈るだけでも草丈を低く維持できます。ヌマトラノオやカワラケツメイが多く自生しています。
圃場と圃場の間の斜面は刈るのが大変で草を回収するのも骨が折れます。草刈り中にマムシが出てきて一瞬ヒヤリ。そっと稲の方に逃がしてあげました。
まだタネが熟していないスズサイコ。高刈りでもタネの部分は刈ってしまうので刈り残してもらいました。今となっては大変珍しい植物です。
堆肥場。1年間で大きな草山が三つもできました。手前右側の茶色の山は6月の草を集めたもので、もう堆肥の片鱗を見せています。1年以上かけて完熟を目指します。
3世代目のミヤマシジミを見るために11名の方が集まりました。この時期は一年で最も多くのミヤマシジミが見られる時期です。今回は松川町で活動されている上片桐自然友の会の方もご参加くださり、農地と河川に暮らすミヤマシジミを見比べました。はじめは農地に暮らすミヤマシジミを観察しました。土手に生えているクララやスズサイコは花が終わっていましたが、ワレモコウやツリガネニンジンの花が見頃で、ヤマトシジミやツバメシジミといった蝶も観察することができました。里の会で7月に草を刈った生息地では多くのミヤマシジミがひらひらと飛んでおり、感謝を表してくれているようで嬉しくなります。ミヤマシジミがソバの花や稲穂にとまる飯島町と中川村特有のシーンも見ることができたと思います。その後中川村の川沿いに向かい、幼虫も観察しました。川沿いでは4世代目の幼虫が多く見られ、アリとの関係についても理解を深めることができたことでしょう。次回は、ミヤマシジミを来年更に増やしていくために、年内最後の草刈りです。
和気あいあいと観察開始です。7月に刈った場所ではコマツナギが再生してこの時期でも元気に花を咲かせていました。
生息地のすぐそばに寄り道してカボチャとトウモロコシを収穫。沢山お裾分けしてもらいました。美味しくいただきます。
黄金色の稲穂のおかげでミヤマシジミの濃い青色が際立ちます。こうした風景はもうこの辺りでしか見られません。
堤防の石積みの隙間から食草が生えています。川沿いはまだ幼虫が多く、9月下旬に成虫の乱舞が期待できるでしょう。
この植栽会はミヤマシジミ里の会として初めて大々的に人を呼んでのイベントでしたが、25人もの方がご参加くださり盛大に開催できました。植栽場所を提供いただいた田切クリーンセンターの前田社長や植栽会の開催にご協力いただいた田切区会の方々もご参加くださりました。事務局から、蝶と植物の関係やミヤマシジミについての話をした後、植栽を行う埋立場跡地に向かいました。植栽は滞りなく進み、里の会で春から育てたコマツナギを400株以上、ユウスゲやオミナエシ、ナンテンハギ、カワラケツメイなど在来の希少植物も数十株植え付けることができました。このイベントがミヤマシジミや在来植物についての理解を深める良い機会となっていれば幸いです。今回植栽したコマツナギを今後ミヤマシジミの幼虫が食べてくれるように、里の会で植栽場所を整備していきます。
蝶と植物の関係や飯島町のミヤマシジミについて事務局から説明しました。コロナ対策のため青空教室です。
開けておいた穴に用意した苗を植え付けていきます。根付くように植え付けの前後にたっぷり水をあげます。
夏場に植え付ける場合は蒸散を抑えるために剪定してあげるのが大事だそうです。植え付け後剪定もやってもらえました。
最後に記念撮影。皆さんの手際の良さのおかげで予定になかった場所にも植え付けできました。暑い中お疲れ様でした。
35度近い気温の中、生息地の草刈りを行いました。30日は4人、31日は8人でヒラヒラと飛ぶ2世代目成虫を横目にガシガシと草を刈り、計3か所の生息地の草を刈り終えることができました。急傾斜の土手での慣れない高刈りに悪戦苦闘でしたが、一時間に一度の休憩中のよもやま話で心も体も回復でき、淡々と草を刈り、刈り草を軽トラに積み込んでいくことができました。今回刈った場所にメスが卵を産み、3世代目成虫が9月以降に沢山発生してくれるでしょう。
大きな土手を刈っていきます。田には青々とした稲が茂り、そろそろ出穂です。田に近づくとトノサマガエルが逃げ込んでいきます。
刈り草を集めます。刈り草を掻き出した後、成虫が舞い戻ってきます。驚かせてごめんね。
大きい土手でも、人数が多ければ一時間程で集草まで終えられました。高刈りした場所ではセンブリが刈られずに生き残っていました。
草丈が伸びてきた生息地。高くなりすぎる前に刈ることができ、3世代目も安泰でしょう。
途中参加も含め会員8人で、綺麗な2世代目成虫をお目当てに暑い中観察会を行いました。まず向かったのは、8月にコマツナギの植栽を行う予定の埋立場跡地。田切クリーンセンターの片桐さんにご説明いただきながら植栽予定地を下見しました。その後、田切の再導入地を見学し、6月に会員の皆さんで草刈りをした生息地を巡りました。草丈が高すぎる環境をミヤマシジミが好まないことや、適切な時期での草刈りでミヤマシジミを守っていけることを参加者で共有できたと思います。ミヤマシジミとコマツナギだけでなく、ウツボグサやコオニユリ、シモツケなど最近見かけなくなった在来植物も観察できました。そうした植物や蝶を守り育てていくために大切な草刈り作業は来週です。
埋立場跡地の植栽予定地を見学。センター長に今までの管理方法などを説明していただきました。
田切の再導入地。草丈が高くミヤマシジミがなかなか居ついてくれないようです。
6月に草刈りをした生息地。ミヤマシジミが足元で何匹も飛び交っていました。
堤の土手ではコオニユリが見ごろを迎えていました。植物にとって良い管理がなされている証拠でしょう。
1世代目成虫がひらひらと舞う中、生息地の草刈りを行いました。飯島町内の道の法面や田んぼの土手など計4か所を3時間足らずで刈り終えることができました。参加者7名での作業となりましたが、農家の方々のパワーによって予想以上のスピードで草が刈られ軽トラに乗せられていきました。今回草刈りができた生息地では2世代目、3世代目とミヤマシジミの数が増えていくことでしょう。
手前ほど高めに草を刈る処理をした土手。刈った草はきれいに集めて堆肥場へ。
堤の土手の生息地。農家の皆さんがあっという間に刈っていきます。それでもアザミやシモツケは刈り残されていて生き物への愛を感じます。
お田植え後の水田周りにミヤマシジミが乱舞する姿を見に10名が集まり、観察会を行いました。飯島町内の3か所の生息地を回り、メスを求めるオスの探索飛行や、ニガナやアザミへの吸蜜シーン、交尾からのメスの産卵シーンなど、成虫の多彩な行動を目に焼き付けることができました。一目で10匹ほどが飛んでいるとわかる光景を見ながら、ミヤマシジミが豊かに暮らせる環境について参加者で共有することができました。
まずは麦の圃場の土手で観察。麦の収穫後にはソバが撒かれ、秋にはソバの蜜を吸うミヤマシジミが見られるでしょう。
コマツナギに産卵するメスをじーっと観察中。恥ずかしがってなかなか産んでくれません。
トノサマガエルのオタマジャクシがうじゃうじゃいる水田の土手で、交尾シーンもしっかり撮影できました。
お田植まっさかりの時期ではありますが、今年度の総会を本郷第一集会所にて執り行いました。農家の方々の多くが参加できませんでしたが、総勢15人が参加し、今年度の活動計画や収支予算案について話し合いました。総会後の種蒔きワークショップも和気あいあいとでき、親睦を深めることができました。夏のコマツナギ植栽に向けてこれから忙しくなっていきます。
総会の様子。会長が挨拶しています。
種まきワークショップ。良いタネだけを選別しています。
良いタネだけをポットにまきます。発芽しますように。