ミヤマシジミは日本各地で急激に姿を消している蝶で、環境省により絶滅危惧種(絶滅危惧IB類)に指定されています。今では、全国でも数カ所の河川敷や堤防などの草地でみられるだけで、数も非常に少なくなっています。ところが飯島町や中川村付近には、まだこの蝶が農地の畔や土手に広く生息しており、当該地域は日本最大の生息地となっています。
過去から現在までの生息地の変遷
(過去の分布は日本チョウ類保全協会 2019 ”フィールドガイド 日本のチョウ” をもとに作成、現在の分布は確実なものではありません)
どんな見た目の蝶?
ミヤマシジミは翅を閉じると1円玉ほどの大きさで、鮮やかなオレンジ色の帯が前翅と後翅の辺縁部にあることが特徴です。更に、オレンジ色の帯の中には、小さな蒼銀色の斑点があります。翅を開くと、雄は目の覚める鮮やかな空色、雌はオレンジのラインの入ったこげ茶色をしています。
どこにいつ頃いる?
伊那谷のミヤマシジミは6月から11月にかけて年に3,4回成虫が現れます。幼虫はコマツナギというマメ科の植物しか食べません。外見は草のように見えますが、実は背の低い樹木の仲間です。地下深くまで根を下ろすので、容易に引き抜くことはできません。駒(馬)をつなぐ植物、という意味でコマツナギとなったのです。ミヤマシジミはコマツナギの生える場所で見ることができます。
ピンク色の綺麗な花は6月中旬頃から9月中旬頃まで咲いています。アリが登っている株をよく見るとミヤマシジミの幼虫やコマツナギアブラムシがついていることもあります。
アリとの「共生」関係?
ミヤマシジミの幼虫は、体から甘い蜜を出してアリを呼び寄せ、ハエやハチなどの天敵から身を守ってもらっています。こうした関係は「共生」と呼ばれています。アリがいないと、コマツナギがあっても安心して暮らすことができないようです。
ミヤマシジミの幼虫に集まるクロオオアリ と 寄生のタイミングを伺うヤドリバエ