2024年度
2024年度
2024年度卒業式が開催され、本ゼミからは5名が卒業しました。おめでとう!
記念写真
2023年度卒業生の吉村優花さんと安田栄真くんの卒論の内容を手直しして『九州森林研究』に投稿し、1月に受理されていたのが公開(PDF化)されました。まず九州森林学会の会員にのみ公開され、J-STAGEでのPDF公開は2025年11月の予定です。
吉村優花, 大田真彦. (2025). 森林ボランティアの参加・継続動機および活動による意識変化: 長崎県内団体へのアンケート調査から. 九州森林研究, 78, 21-27.
安田栄真, 大田真彦. (2025). トレイルランニング大会の運営体制および地域活性化への影響: 長崎県大村市および新上五島町の事例. 九州森林研究, 78, 29-36.
吉村さんは環境ボランティアの参加と継続の要因に当初から関心があり、長崎県の森林ボランティア団体へのかなり分量のあるアンケート調査を実施し、それを分析しました。安田くんは林地の活用の観点から、トレイルランニングの運営実態とその地域への影響について、長崎県の大会に着目して事例研究を行いました。おめでとうございます。
論文の冒頭部分
JST NEXUSプロジェクト「マレーシアにおけるサーキュラーエコノミーのローカルモデル構築のための若手人材交流」の一環で、サーキュラーエコノミーの専門家のVesna Lavtizar博士(2/26)および彌永冴子さま(3/13)にオンラインレクチャーを頂きました。Vesna氏はスロベニア出身で、日本でのポスドク・勤務経験があり、現在はオランダでサーキュラーエコノミーのコンサルタント業務を行っています。ヨーロッパでの具体的事例に加え、様々なアイディア出しのエクササイズを行って頂きました。彌永氏は(一社)資源循環ネットワークでの実務経験から、社会実装の具体例、特に何が阻害要因かを中心に解説頂きました。共に、大変有意義な場となりました。お礼申し上げます。
レクチャー・ディスカッションの様子(上がVesna氏、下が彌永氏)
博士研究員のViolaさんの調査で、佐賀県鹿島市の「ごえんプロジェクト」の聞き取りを行いました。鹿島市は地域循環共生圏の取り組みとして、食用米での日本酒製造、棚田の耕作放棄の防止、棚田の防災機能の発揮の連関を進めようとしています。これはViolaさんのテーマのEco-DRRに関連が深い取り組みです。2月16日に食用米の生産者のユートク農産株式会社松尾和弥さまに、3月11日に日本酒を製造する馬場酒造の馬場嵩一朗さまにお話を伺いました。地元への貢献に関する思い、実施上での難しさなどを語って頂きました。
なお、2月16日の調査では、ゼミ生のイマンくんと教育学部の大串泰成くんが通訳を行なってくれました。
ごえんプロジェクトの詳細はこちら
ごえんプロジェクトによって馬場酒造が製造した日本酒
コメ生産者への聞き取り
馬場酒造での記念写真
棚田地域の風景
環境教育学会は所属会員を各支部に分け、地域での取り組みを重視しています。2024年11月から私(大田)は日本環境教育学会の九州・沖縄支部長となっています。2024年度の年次大会・総会を実施しました。
長崎大学での年次大会では合計7件の研究発表、16名の参加がありました。その後、エクスカーションとして西海市雪浦地域に移動し、宿泊施設(森田屋)に宿泊、懇親会を行いました。翌日はNPO法人雪浦あんばんねの渡辺督郎さまと荒瀬美佐子さまに、それぞれ雪浦の地域づくりの取組、森のようちえんの取組について講演を頂きました。活発な質問・意見交換が交わされました。
その後総会を実施しました。総会では活発な意見が提出され、環境教育学会九州・沖縄支部として、雪浦など特定の地域と継続的に関わっていく可能性が出てきました。
年次大会での研究発表の様子
懇親会@森田屋
講演(荒瀬さま)
長崎市から雪浦地域に行くには美しい「ながさきサンセットロード」を通ります。ちょうど夕日が見える時間帯でした
2025年度の科学研究費助成事業(科研費)の基盤研究(C)に採択されたと通知がありました。「インドネシアにおける森林リスクコモディティのサプライチェーン再編」というタイトルで、EUDR(欧州森林破壊防止規則)など厳格なトレーサビリティを求める潮流により、森林破壊リスクの高いコモディティのサプライチェーンがどのように編成されうるのかを、インドネシアの天然ゴムとアブラヤシに着目して調査する予定です。アジア経済研究所の道田悦代さんと明治学院大学の賴俊輔さんとの共同研究になります。
本科研費の申請にあたって、環境科学部で独自に行っているブラッシュアップ制度を活用させて頂きました。2名の匿名学部内査読者から、極めて迅速かつ的確なコメントを頂きました。このブラッシュアップ制度がないとおそらく採択されていないと思います。匿名なのでどなたかは分かりませんが、査読者に厚くお礼申し上げます。
審査結果通知画面
博士論文の副査になっている九州大学大学院生物資源環境科学府のPhyu Phyu Hanさんが筆頭著者の論文が、Landという雑誌に受理され、本日公開されました。ミャンマーのコミュニティ林業地での政府とコミュニティの土地の支配をめぐるポリティクスになります。誠におめでとうございました。
論文の冒頭部分
博士研究員のViolaさんの調査で、福岡県岡垣町の三里松原と、宗像市のさつき松原に関する聞き取り調査を行いました。日本では防風・防潮・防砂の観点から、江戸時代に海岸にクロマツの植林が行われました。近代以降は国有林として管理がなされてきました。高度経済成長期まで行われていた、燃材確保のための地域住民による松葉かきが行われなくなった結果、広葉樹の侵入が発生しており(地面を何もない状態に保って遷移を止める形でないと、クロマツは他の樹種に負けてしまう)、松林の維持管理が困難になっています。地元組織の方々から、地域コミュニティのどのような関与によって海岸の松林の維持と再生が行われているかの知見を得ました。
岡垣町三里松原の試験地
広葉樹の侵入が起こっている松林
アダプト制度によって地域コミュニティに管理されている区域
集められたマツの落枝
小さな砂丘。防砂機能をもつ松林がない場所だと、このように砂が溜まっていきます
博士研究員のViolaさんの論文(Conference Paper)がIOP Conference Series: Earth and Environmental Scienceという雑誌で公開されました。
van Onselen, V.M., Ota, M., Pratiwi, E.S., Lin, W., & Lin, T.S. (2025). Community involvement in ecosystem-based disaster risk reduction: A scoping review to guide assessment metrics. IOP Conference Series: Earth and Environmental Science, 1443, 012010.
Eco-DRR(生態系を活用した防災・減災)におけるコミュニティの関与のあり方に関する先行研究のレビュー論文です。おめでとうございます。
論文の冒頭部分
2月5日が卒業論文の提出締切で、2月14日に環境政策コースで2024年度卒業者の卒業研究最終発表会がありました。5名の学生が発表を行いました。
発表資料のスライド(白濱くん)
私とインドネシアゴム研究所、インドネシア大学の研究者が2023年に調査した、Pestalotiopsis菌によるゴムノキ葉枯病の農家生計への影響に関する論文が公開されました。
Ota, M., Syarifa, L. F., Alamsyah, A., Nugraha, I. S., Asywadi, H., Lestari, R., Khaerunnisa, S., Satria, A. E., & Febbiyanti, T. R. (2025). Socioeconomic effects of Pestalotiopsis rubber leaf fall disease on smallholders in South Sumatra, Indonesia. Multidisciplinary Science Journal, 7(8), 2025371.
葉枯病前と比較して樹液生産量は平均で48%程度下落していること、自主的な対策や政府のサポートはほとんどないことなど、深刻な状況を確認しました。
論文の冒頭部分
博士論文の副査になっている九州大学大学院生物資源環境科学府のPhyu Phyu Hanさんが筆頭著者の論文が、Forest Policy and Economicsという私の分野では最高レベルの雑誌に受理され、本日公開されました。ミャンマーの土地の統治に関する歴史的分析です。誠におめでとうございました。
論文の冒頭部分
3年生のゼミ(環境政策演習B)の最後に、各人が現段階の卒業研究テーマについて発表しました。1) 先行研究に対する位置づけをする、2) データ収集方法まで想定する、という二つの条件を必須とすると、皆かなりのレベルで作り上げてきて、驚きました。このままいけば、よい卒論が複数できあがると思います。
発表資料(平戸遼くん)
参加している科研費プロジェクト「科学的林業の受容と変容に関する国際比較研究:現場森林官が持つ仕事観に着目して」の関係で、インドに出張しました。共同研究者のグル・ゴビンド・シン・インドラプラスタ大学のProdyut Bhattacharya教授とその大学院生3名と、マディヤ・プラデーシュ州とハルヤーナー州を訪れました。現場森林官に対し、業務内容・知識・仕事に対する価値観に関する対面式アンケート調査を行いました。久しぶりのインドで、やはり食事は何を食べても美味しかったですが、大気汚染で空気は大変悪かったです(それでもこの時期にしてはましな状況だったようですが)。10年ぶりに夜行列車で移動しました。ニザマディン駅は変わらずカオスでした。
インタビュー風景
現場の役職者(Range Officer)にインタビュー
村の森番(Chowkidar)にも機会があってインタビュー
9時間近く電車で移動。写真はBhattacharya教授
やはり道路にはウシがいます
JSTのNEXUS事業「マレーシアにおけるサーキュラーエコノミーのローカルモデル構築のための若手人材交流」のキックオフミーティングをオンラインで行いました。マレーシア・プトラ大学(UPM)から4名(教員含む)、長崎大学から5名(教員含む)が参加しました。5月のUPM学生の来日まで、オンラインでの事前学習を行っていく予定です。
JSTの公式ページはこちら
使用スライド
インドネシアから環境林業省研究員のImam Budiman博士と国立研究革新庁研究員のEko Pujiono博士が長崎大学に来学しました。Imamさんは九州大学大学院生物資源環境科学府で博士号を取得し、その際、私が論文審査委員の一人でした。今回、住友財団の助成金のプロジェクト”Recent Development of Common Pool Resource in Japan and Indonesia, A Comparative Study between Iriai Forest in Japan and Customary Forest in Indonesia”で来日しました。インドネシアと日本の共有林の比較研究を行うために、長崎市の戸根生産森林組合と久留米市の田主丸財産区を視察しました。事前アポ取り、運転、および通訳でサポートしました。
生産森林組合に関する聞き取り
西海市の安藤卓巳さんの農家民宿(K.Farm横浦別荘)に、近隣農家(山下さん)のみかん収穫のアルバイトを行う予定で一泊二日で伺いました。当初予定と異なり、すでにみかんは全て収穫してしまったということで行うことはなかったのですが、かわりに安藤さんが所有する里山雑木林を訪れ、森林サービス産業的な活用の構想についてお話を伺いました。また、夜はバケツいっぱいの牡蠣をバーベキューで頂きました。
ツアーその他、近隣の鳥加郷の田添正隆さんに、炭焼きの現場を見せて頂きました。田添さんはかなりの規模のヒノキ林と広葉樹林を所有しており、農家民宿もされています。
また、西海市観光協会に伺い、現在考えているという大串金山ツアー(昔あった大串郷の金山の跡地を歩くツアー)についてのお話を伺いました。その後、学生の若い視点からの西海市の振興についての意見を求められました。ゼミ生や教員(私)からは、長崎市と佐世保市の中間地点という位置を活かして両市の大学生(特に新入生)が集まってお互いを知る場を作る、ガクチカの観点からこのような活動・体験をして〜を得たと言えるような場を作る、西海市の魅力発信のみにこだわるのではなく若い人に都会でできないような自己実現ができる場として捉えてもらうことが重要かもしれない、といった意見が出され、担当者および安藤さんも大いに参考にしたいとのことでした。
里山(安藤さんの所有林)の中で記念撮影
軽トラの荷台に乗った図
安藤さんの構想を聞く。イマンくんは木に登る
炭焼きの現場
大量の牡蠣を喰らう
こたつで団欒
観光協会で意見交換
ゼミ3年生のイマンくんと岩山さんが、パキスタン・アフガニスタンでの中村哲医師のドキュメンタリー『劇場版 荒野に希望の灯をともす』の長崎市上映会の実行委員をつとめました。私(大田)が行った回の会場はかなりの人数がおり、盛況でした。私自身は映像で動いている中村哲を見たのが初めてで、貴重な体験でした。2019年に中村哲が暗殺されたとき、個人的な縁はないのですが、真剣にショックを受けたことを覚えています。
上映後の実行委員挨拶
2年生対象の環境政策基礎演習Bの授業の1コマで、本ゼミの3年生が2年生に対してアドバイスを行いました。2年生に現段階での卒業研究テーマを考えてもらうという企画で、教員よりも近い立場として3年ゼミ生にやり取りしてもらいました。2年生はよく考えてきていて、3年生も下級生へのアドバイスという初めての経験をする良い機会になったようです。
二組に分かれてやり取りしている2年生と3年生
9月にInternational Journal of Development and Sustainabilityという雑誌に受理されていた博士後期課程のChenさんの論文が、公開されました。
Chen, F. & Ota, M. (2024). Status and challenges for ecotour implementation in Chinese national parks: A case study from Wuyishan. International Journal of Development and Sustainability, 13(8), 713-729.
中国の武夷山国立公園でのエコツアーガイドの能力・スキルおよびガイド内容を、チェックリストを元に参与観察から実証的に報告したものです。おめでとうございます。
論文の冒頭部分
林業経済学会2024年秋季大会が九州大学伊都キャンパスで開催され参加しました。科研費「ポリティカル・フォレストの再構築:「森林」領域を空間編成する社会経済的要因は何か」の一環で、“Politics over definitions of the forest in contemporary India”というタイトルで口頭発表を行いました。Forest Conservation Act, 1980を辞書的な意味での”Forest”(つまり全ての森林)に適用すべきという1996年の最高裁判所の判決をめぐって展開している昨今の森林セクターの動向をまとめました。ちなみに、本ゼミの岩山晃子さんがアルバイトで参加しました。
また、実行委員の一人として、学会エクスカーションで車の運転を担当しました。個人的に、アフガニスタンで活動した中村哲が参考にした朝倉市の「山田堰」を見られたのがよかったです。
口頭発表の様子
科学技術振興機構(JST)の日-ASEAN科学技術・イノベーション協働連携事業(NEXUS)というスキームで、申請していた「マレーシアにおけるサーキュラーエコノミーのローカルモデル構築のための若手人材交流」が採択されたと通知がありました。マレーシア・プトラ大学(UPM)のLatifah Abd Manaf教授(廃棄物管理)と共同で実施します。2025年5月から7月にかけて、60日ほど、UPMから3名の大学院生を日本に招聘する予定です。また、8月から9月にかけて、2週間ほど、長崎大学からUPMを訪問する予定です。
JST NEXUSのホームページ
懇意にしている国立台湾師範大学地理学部のMucahid Mustafa Bayrak博士(Muca先生)が来学しました。トルコとオランダのハーフでオランダ出身、ベトナムのREDD+に関する研究で香港で博士号を取得、現在は台湾で研究者をしているdrifter(漂流者)です。人文地理学、特にポリティカル・エコロジーが専門で、世界レベルの研究者です。
3年ゼミに合わせてポリティカル・エコロジーに関するレクチャーを頂くとともに、博士研究員のViolaさんの状況の視察、および共同研究(唐津の海岸松林と阿蘇の世界農業遺産)を行いました。Muca先生は日本のファンで、長崎も気に入ったようです。
一番左がMuca先生
10月30日、環境政策コースで2024年度卒業者の卒業研究中間発表会がありました。5名の学生が発表を行いました。一定の進捗が提示できてよかったと思います。
発表資料のスライド(和才さん)
4年生の白濱洋介くんが、卒業研究のため、熊本県御船町の「御船ジュラシックトレイル」で、トレイルランナーの環境意識とトレイル整備に関する意欲についてのアンケート調査を実施しました。昨今新たな山林活用の一形態としてトレイルランニングやマウンテンバイクが注目されていますが、トレイルランナーに実際にアンケートを行った先行研究は少なく、きちんと分析・考察すれば有用な知見を提供できるかもしれません。ご協力頂いたランナーの方々には誠にありがとうございました。
アンケート用紙の冒頭部分
国際協力の分野に 和田信明, 中田豊一(2010)『途上国の人々との話し方: 国際協力メタファシリテーションの手法』みずのわ出版 という名著があります。簡単に言うと、国際協力の村落開発などの現場で、「何が問題か」を住民に聞いてはいけないというものです。つまり「なぜwhy」という形で「認識」を問うのではなく、「いつwhen」「誰がwho」「どこでwhere」「何をwhat」「どのようにhow」という形で「事実」を明らかにする質問を重ねていくべきというものです。また、事実に関する質問をされることは、質問される側の気づきにも繋がるというものです。
この本を輪読し、学生たちが自身で事実質問のみをする練習を考えて実践するなど、何週間か面白いゼミ活動を行いました。自分が普段、相手の「認識」を聞いている場合の多さに皆気づいたのではないかと思います。
ペアになって「事実」に関する質問のみをする練習。やってみると難しく、途中で詰まってしまうことが多いです
誕生日にあわせて3年生から色紙をいただきました。大変嬉しいです。ありがとうございました!
色紙と手作りのお菓子
九州森林学会第80回大会が大分市で開催され、3年生の樋口凛太郎くんと岩山晃子さんが私に同行して聴講しました。農学部林学科のきちんとした森林・林業の話を、学会発表という形で聞くのは初めてで、刺激になったようです。来年度の大会では発表できれば良いねと話しました。
口頭発表を聴講する
マレーシア大学サバ校(UMS)と長崎大学(NU)のジョイントシンポジウムがマレーシアのコタキナバルで開催され、私(大田)および3年生のイマンくんが参加・口頭発表を行いました。私は” Connections between Japanese farm stays (Nohaku) and traditional/locally produced food: A preliminary survey of open information”というタイトルで日本の農泊と伝統・地域食との関係性について、イマンくんは” Adapting to the Japanese Food Environment: A Study of Muslims in Nagasaki, Japan”というタイトルで長崎市のムスリムの日本の食環境への適応について発表しました。イマンくんは学部3年生とは思えないレベルの高い英語プレゼンでした。
その後、イマンくんが卒論テーマにしようとしているキナバル山でのエコツーリズムに関する視察を行いました。キナバル山麓Kundasangのゲストハウスに一泊し、村落や国立公園を管理するサバパークを訪れ、状況の確認をしました。Poringでは樹冠ツアーやラフレシア観察を体験しました。
発表の様子(下の写真右がイマンくん)
地元の文化についての聞き取り
コミュニティ開発事業”Everything Pineapple”の視察
熱帯雨林の樹幹歩道を歩く
普通に咲いているラフレシア。まさか見られるとは思っていませんでした。あまり近くには近づけず、匂いはしませんでした
Sosodikon Hillというトレイルから望むキナバル山
登山者が通るゲート。ビジターとして入れる一番奥の場所になります。Selamat Mendakiで「安全な登山を」という意味
科学技術振興機構(JST)のさくらサイエンスプログラム「ネイチャーポジティブを推進する森林産業の創出に向けた国際フィールドワーク」で、インドネシアのガジャマダ大学より学部生6名、インドのグル・ゴビンド・シン・インドラプラスタ大学より大学院生2名と教員1名を、2週間程度受け入れました。九州大学の藤原敬大准教授が主幹でしたが、私(大田)も共同実施者として協力しました。長崎県での手配、通訳、運転などでサポートしました。本ゼミの3年生の岩山晃子さんが部分的に(9月17日)参加しました。
活動レポートはこちらです。
西海市雪浦のゲストハウス「森田屋」でのディスカッション(一番手前が岩山さん)
博士後期課程のHan Xieyuくんが、中国の高齢者避暑旅行について調査を行いました。高齢者避暑旅行とは、夏季のまとまった期間(1か月から2か月程度)、避暑地に滞在し、冷房代を抑え、また、健康的な食事・生活をするというものです。中国ではこのようなライフスタイルが増加しているとのことです。Hanくんは、この高齢者避暑旅行によってどの程度温室効果ガスが削減されるか(そもそも削減されるのか)に関心があり、普段の居住地での電力使用や避暑地への移動手段なども含めた実証的なデータを取得しようとしています。
今回の調査地は貴州省の六盤水市です。有名な避暑地です。高齢者避暑旅行用の施設もあります。複数の施設で、滞在者に対してアンケート調査を実施しました。
避暑旅行の施設(上)とインタビュー後の写真(下)
3年生の岩山晃子さんが、ガジャマダ大学(UGM)が実施するForestry Summer Schoolに参加しました。協定校でなくとも応募可能で、food and accommodation provided(つまり費用負担は基本的に開催地までの渡航費のみ)というすごいプログラムだったようで、多数の国から参加者がいたようです。UGMの林学部は非常に有名です。
相当な部分が学生の自主運営で行われておりました。学生の能力の高さおよび日本の大学とのカルチャーないし世界観の違いに驚いたようです。私(大田)もインドネシアやマレーシアの大学のカルチャーには驚きます。自分たちで企業を回って、海外プログラムの資金の寄付を獲得したりするのが当たり前のようで、舌を巻きます。
集合写真
日本学術振興会(JSPS)の外国人特別研究員・欧米短期のスキームで、Viola Marcia van Onselen博士が、2024年8月から2025年3月までの予定で、本研究室に滞在します。Violaさんはオランダ出身で、国立台湾師範大学で博士号を取得したばかりです。専門分野は地理学で、特に生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)が専門です。夫のErikさんも一緒に来日しました。今後、日本での調査も含め、研究を進めていきます。
長崎大学国際交流会館に入居したViolaとErik
西海市大串地域の農家民宿で、1泊2日のゼミ合宿を行いました。懇意にしているK.Farm横浦別荘の安藤卓巳さんにお世話になりました。サマースクール学生も参加しました。
地元のみかん業者にお話を伺ったあと、参加者総出で夕食を作りました。地元の魚を捌いたり、カニを頂いたりしました。夜は花火をして騒ぎました(近隣の方申し訳ありませんでした)。大村湾から朝日が昇るのを見られる絶好のロケーションなので、朝5時に起きて皆で日の出を拝みました。その後、予定外でしたが、お隣の方にご好意で船を出して頂き、大村湾をクルーズしました。最後に、3年生が現段階の卒業研究のテーマ案を発表しました。
色々詰まった2日間で、有意義な時間だったと思います。安藤さん、誠にありがとうございました。
集合写真
K.Farm横浦別荘
地元のみかん農家を訪問
皆で料理
初めてのおにぎり自作
夕食後の安藤さんのお話
海岸で花火
大村湾の日の出
クルーズで西海橋へ
卒論テーマ案の発表
環境科学部では毎年、サマースクールとして、英国、タイ、およびインドネシアから短期訪問学生を受け入れています。2024年度、大田ゼミには、英国ランカスター大学から2名(Taya Carver, Niall Cullen)、インドネシア大学から1名(Luqman Ardito)が滞在しました。日本の森林資源および農山村の状況に関するレクチャーのほか、できるだけ日本固有の体験をしてもらいたいと考え、例年、農山村への訪問を実施しています。今年度は、以下のようなフィールド体験を行いました。
西海市: クアオルト健康ウオーキング(森林セラピー)の体験
鹿島市: 地域循環共生圏の取り組み(特に食用米での日本酒製造、棚田の耕作放棄の防止、棚田の防災機能の発揮の連関について)、干潟体験も
佐世保市高島: 離島での地域活性化の取り組み、バーベキューと海水浴も
西海市: 農家民宿体験
それにしても私(大田)は、ネイティブスピーカーの英語を聞き取れていないことが多く、申し訳ないと感じます。
鹿島市の干潟体験と市役所での聞き取り
西海市で血圧を測りながら森林ウォーキング
鹿島市の棚田風景。一部に耕作放棄地も
高島(佐世保市)でのバーベキュー
卒論社会教育施設での自然体験教育をテーマにしている4年生の吉田康太郎くんが、福岡県立社会教育総合センターの担当者へオンラインインタビューを行いました。福岡県の社会教育施設利用の一端が明らかになりました。
Zoomでのインタビューの様子
博士後期課程のChen Fangyuanさんが、武夷山国立公園と海南熱帯雨林国立公園で、ツアー会社担当者への聞き取りおよびエコツアーガイドへのアンケート調査を行いました。アンケートは、ガイドの基礎情報、エコツーリズムの基本認識、国立公園化による影響、およびガイド能力の自己評価から構成しました。これらのデータは博士論文の内容になります。
武夷山国立公園の風景
佐賀県吉野ヶ里町の松隈小水力発電所は、30kWという小さい出力で低コスト化・リスク削減を図り、また、自治体が調査コストを支援するなど、自然資源(小水力)の活用のモデルとして注目を浴びています。松隈地域づくり株式会社代表の多良正裕さま(元吉野ヶ里町長)に現地でご説明を頂きました。
用水路で説明をして頂く(右はゼミ生のイマンくん)
佐賀県伊万里市には、株式会社伊万里木材市場、西九州木材事業協同組合、および中国木材株式会社伊万里事業所からなる伊万里木材コンビナートがあります。3年ゼミの一環で、原木市場、集成材加工工場、プレカット工場などを見学させて頂きました。学生たちは、初めてみる大量の木材に大変驚いておりました。また、工場内に人が少ない(自動化率が高い)ことにも驚いたようです。
伊万里木材市場前で記念写真
原木市場
材の説明
中国木材でのレクチャー
集成材の断面。中側に国産材を使用することにより木材自給率の向上に
学部4年生の和才陽菜さんが、景観形成作物による地域活性化という卒論のテーマのために、大分県中津市三光コスモス園に関する調査を行いました。集落営農組合の代表者と市役所の方々にお話を伺い、どのようにこの大規模(毎年16ha)なコスモス園のイベントが可能になっているのかの知見を得ました。
中津市三光支所前
レゴ®シリアスプレイ®は、レゴブロックを使ったワークショップです。テーマに沿ってブロックで形を作り、それについて語り、他の参加者は傾聴し、個々人の価値観が共有されてゆきます。この日は「『自分が所属したいと思う理想のコミュニティ』を形にしてください」というテーマで実施しました。
作成したモデルについて話し、皆でそれを傾聴する
6名の3年生が本ゼミに配属になりました。また、博士後期課程の学生1名も加わりました。非常にうれしく思います。第1回目のゼミの後、4年生や大学院生も交えて、新歓パーティーを開催しました。マレーシア出身のイマン(Ahmad Iman Hamzah)くんがナシレマッを作ってくれました。インドネシア料理のレンダンとルンピアもありました。
パーティーの様子