2020年2月の作品 (2月28日(金)句会)
兼題句「地下」
地下室の奥から漏れてくるうふふ 稲垣のぶ久
七年を蝉の不幸と言わないで 中井芳樹
マリオ君今年地下から帰るかな 水船 修
地下足袋とニッカポッカが粋だった 渋谷訓生
デパ通い昔屋上今は地下 水谷 毅
宇宙からカミオカンデに贈物 原 三郎
地下街の迷路に悩む星明かり 千足 千
映画では半地下暮らし大儲け 横畠和美
自由句
人間がたった一つの菌に負け 水船 修
勉強になったと去って行く敗者 稲垣のぶ久
妻逝きて静かに去ったぼやく人 原 三郎
千人の心縫い込む赤い糸 千足 千
カレッジよ蛍の光友の顔 渋谷訓生
大船に乗ったつもりが降りられず 水谷 毅
しもやけに寒の戻りが噛みついた 中井芳樹
恫喝を恥と思わぬ議員たち 横畠和美
2020年1月の作品 (1月24日(金) 句会)
兼題句 「湿る」
湿っぽい話はどうぞ乾燥機 中井芳樹
今日も雨錆びる脚腰気合い入 千足 千
芸術品まだらに湿る障子貼り 原 三郎
含み損増えて気持ちも湿りがち 水船 修
湿っぽい話はやめて乾杯だ 渋谷訓生
花と肌湿り気保ち春を待つ 水谷 毅
自由句
大地震生死を分けた20秒 水船 修
嫁不在鼻唄も出るカップ麺 中井芳樹
停車中乗ってしまった夜行バス 原 三郎
マドンナに会ってがっかりクラス会 渋谷訓生
走馬灯二十五年の時刻む 千足 千
市民無視あほ馬鹿辞めと泉沸く 水谷 毅
2019年12月の作品(12月13日(金) 句会)
兼題句 句題 「風」
ウィルスが風にまかせて飛び回る 水船 修
シューシューと骨の隙間に黍嵐 千足 千
元旦のいつもの風が新しい 稲垣のぶ久
信念を曲げず生きたい風見鶏 水谷 毅
北帰行小雪強風ものとせず 原 三郎
平穏を祈りくるくる風見鶏 中井芳樹
日の丸を必死にあおる北の風 渋谷訓生
自由句
青春を捨てた蟻の巣這い上がる 千足 千
ロボットがタコ焼き焼いてソース付け 水船 修
会う人が結ぶネクタイ選っている 稲垣のぶ久
猪の痕跡を背に塩むすび 中井芳樹
酒たばこ俺は高額納税者 渋谷訓生
新庁舎長田に薄日差しますか 原 三郎
紅葉映えさくら眠れぬ永田町 水谷 毅
2019年11月の作品(11月22日(金) 句会)
兼題句 句題 「一」
野党さん掛け声ばかり一二三 渋谷訓生
あの頃の君が一番好きだった 中井芳樹
川柳の一手先がまだ読めぬ 水船 修
年一度安否確認年賀状 水谷 毅
南から紙一枚の帰還兵 稲垣のぶ久
一升酒抱えて友と紅葉狩り 千足 千
一夜漬け教師の癖に賭けていた 原 三郎
自由句
飲食費誰が払うの花見会 渋谷訓生
さくら散りねずみの年は安倍月見 水谷 毅
一軒家のぞき見趣味は誰も好き 水船 修
箱の隅突く箸先小言言う 千足 千
憂鬱は畑の土に混ぜておく 中井芳樹
釣り渡船今日一日は宝船 原 三郎
正直な人は勝てない七並べ 稲垣のぶ久
2019年10月の作品(10月25日(金) 句会)
兼題句 句題 「渡る」
世渡りの下手な人ほど優しくて 原 三郎
世渡りの術は忘れて好々爺 中井芳樹
年金で三途の川も渡れない 渋谷訓生
男気で赤信号を渡りだす 稲垣のぶ久
この橋を渡れば元に戻れない 水船 修
スマホ買いラインに渡る勇気いる 小西 茂
石橋を 叩いて渡る惨禍の後 水谷 毅
渡ってもたどり着かない虹の橋 千足 千
自由句
柿一つ残して秋が逃げて行く 千足 千
私だけ知らなかったという喜劇 稲垣のぶ久
赤い羽根シールになって愛を継ぐ 中井芳樹
ドローンに爆撃されて打つ手なし 渋谷訓生
二重橋渡るとなると背中ピン 原 三郎
夏過ぎて飽きてないのにこの寒さ 小西 茂
一発のミサイル時を進ませる 水船 修
ボンカレー口にほんわか目に痛み 水谷 毅
2019年9月の作品(27日句会)
兼題句 句題 「らしい」
拗ねた目があなたらしいと冷めた声 中井芳樹
屋台酒旅の一夜の恋らしい 千足 千
ゴキブリも生きたいらしい逃げ惑う 水船 修
旨いらしい孫手づかみで喜んで 宮田英垂
おひれつく噂話はしはそうらしい 渋谷訓生
友は皆スマホ持つらしい孫が言う 小西 茂
俺らしく生きる 鏡を持たないで 原 三郎
それらしい橫綱消えて土俵泣く 水谷 毅
見栄張ってらしさを見せる包装紙 稲垣のぶ久
2019年9月の作品(27日句会)
自由句
運動会天に拡げる鼻の穴 中井芳樹
備中へ犬のお供で登城せし 千足 千
ちこちゃんの様にはいかぬぼ~と生き 水船 修
資格取る目途(もくと)ないけど学ぶ老い 宮田英垂
敬老日祝ってくれた孫五人 渋谷訓生
内緒よね もしかもしかの 立ち話 小西 茂
あなただけこのお誘いは罠らしい 原 三郎
天高く秋刀魚も高く税高く 水谷 毅
山彦の返ってこない片想い 稲垣のぶ久
2019年8月
夏休み中にて、川柳くらぶもお休みです
2019年7月の作品(26日句会)
兼題句 句題「泳ぐ」
泳がしたおっとどっこい逃げられた 渋谷訓生
鯱(しゃちほこ)が一度泳いでみると駄々 宮田英垂
海泳ぐ魚は知らずプラ食す 水船 修
リハビリは泳がず歩くもう飽いた 大串 修
スイミング孫はプールで俺ベッド 水谷 毅
オムツ穿く二歳児泳ぐこのプール 原 三郎
泳ぐ目に嘘を見抜いた雨の夜 千足 千
目が泳ぐ謝罪会見週替わり 中井芳樹
2019年7月の作品 自由句
日韓の気品なくした泥外交 水谷 毅
子別れのカラスにねむり破られる 大串 修
散り散りの家族LINEで今日も会う 原 三郎
目を瞑る雨音の中君恋うる 千足 千
さあ乾杯ビールのようなお飲み物 中井芳樹
G20おもてなしして蚊帳の外 渋谷訓生
三億の彼方かぐやが持つロマン 宮田英垂
やめてんか源泉風呂のひとり占め 水船 修
2019年6月の作品(28日句会)
兼題句 句題「夏至」
半夏生蛸を肴の宵の口 千足 千
宙を飛ぶ宇宙飛行士夏至はいつ 水船 修
夏至に咲く紫陽花予防に氷水 水谷 毅
ごはんだよ暗くなるまで遊んでる 渋谷訓生
夏至迫り身を潜めてる明石蛸 中井芳樹
温暖化夏至より先に猛暑きた 大串 修
夏至だって春秋分けの日を望む 原 三郎
スニーカーをがっかりさせた夏至の雨 稲垣のぶ久
冬至でも夏至でもゴミに鳴くカラス 宮田英垂
2019年6月の作品 自由句
不都合が最前線を陣取って 千足 千
黙ってるドラレコ事実語りだす 水船 修
虐待か老後不安の二千万 水谷 毅
二千万閻魔様でも呆れ顔 渋谷訓生
ニンニクを吊るしてみても蚊に効くか 中井芳樹
断捨離で焦ってるのに「足す」なんて 大串 修
幅広のネクタイで行く家族葬 原 三郎
強がりを言っても匂うサロンパス 稲垣のぶ久
ガチャガチャと喋りつランドセル駆ける 宮田英垂
2019年5月の作品 兼題句 句題「茶」
仏前と話す合間の梅昆布茶 千足恵美子
茶柱は星占いに勝てるかな 中井芳樹
支持政党聞かれたときはお茶濁す 渋谷訓生
お茶だけとわざわざ念を押さんでも 稲垣のぶ久
朝ドラが終えて茶の間が動き出す 宮田泰之
熱い茶を汗もかかない刀自(とじ)涼し 大串 修
生き甲斐の一つになった茶飲み会 水船 修
山の茶屋早朝登山飲む褒美 原 三郎
2019年5月の作品 自由句
瓜二つ生きた証の孫の顔 千足恵美子
へぼ将棋横から口出す嫌な奴 渋谷訓生
久久に手を繋ごうかバラの花 中井芳樹
恋という錯覚が愛産み育て 宮田泰之
ミサイルを飛翔体とはぐらかす 水船 修
一人旅吸えない空気吸うんだよ 原 三郎
宇宙(そら)の謎思い憤懣鎮まれり 大串 修
三食に薬一品付いてくる 稲垣のぶ久
2019年4月の作品 兼題句 【句題 元号】
和のこころ万葉集は宝箱 水船 修
平成と色紙を持った人は誰 渋谷 訓生
令和にも欲しい戦のない流れ 稲垣 のぶ久
四代を生き抜く母の底力 千足 恵美子
平成の先にもきっと震度七 原 三郎
指折って昭和生まれの年かぞえ 大串 修
改元に万葉人(びと)がヨーイドン 中井 芳樹
和をもって貴しとせよ国書説く 宮田 英垂
2019年4月の作品 自由句
年金にも特権がある昼の酒 稲垣 のぶ久
年長の新入生の袖を引く 中井 芳樹
ちちんぷいぷい魔法をかけて朝が来る 千足 恵美子
癌告知わなわな拳膝頭 宮田 英垂
他の為に思っていたが他の世話に 水船 修
十代の天才を生むああ平和 原 三郎
初恋の歳かこの子のお祝いは 大串 修
連休はテレビごろ寝で引きこもり 渋谷 生
十連休犬は喜び猫は泣く 水谷 毅
2019年3月の作品 兼題句 【句題 車】
気になるな真っ赤なベンツどんな人 渋谷 訓生
下車できず長いトンネルG学習 山本 良枝
臆病に外車を避けて通ります 北原 裕
各論になるとさ迷う救急車 稲垣のぶ久
車いす地下鉄辛い回り道 原 三郎
功罪を地球に問うている車 中井 芳樹
危機一髪ながらスマホの運転手 大串 修
2019年3月の作品 自由句
春うらら居眠り誘う波の音 渋谷 訓生
悪ガキの溜まり場今やババたちが 山本 良枝
定年でぽっくりいかず生きている 北原 裕
がん告知友を励ます辛いウソ 稲垣のぶ久
蔵開きまるで花見か芋煮会 原 三郎
コンビニは歩いて行ける距離なのに 中井 芳樹
反省はサルにそっくりポーズだけ 大串 修
2019年2月のお題 「洗う」「上手」と、自由句
洗おうか娘残した縫いぐるみ 原 三郎
洗いざらい聞いてしまって共犯者 稲垣 のぶ久
それとこれそれとあれとは別洗い 中井 芳樹
洗っても拭いきれない過去の罪 北原 裕
大いなる遊びと知れり学ぶとは 安東 妙子
閑谷の学び舎訪ね背筋伸び 大串 修
選ばれず我慢を学ぶ川柳で 亀野 勝則
何故生んだ親を選べぬ子かなしき 石井 和子
野良猫がポチに唸って春近し 大串 修
なんて差だマグロ三億俺百万 奥村 十九昭
2019年1月のお題 「スプーン」「上手」「なびく」
ひと匙の嘘振りかける過去の恋 安東 妙子
味付けは匙一つより目分量 小西 吹子
根に持たぬ忘れ上手な通り雨 稲垣 のぶ久
上手い人見えぬ努力の積み重ね 大串 修
上手には付き合い難い強き自我 安東 妙子
聞き上手言われ自分はあとまわし 小西 吹子
手を打ってハイハイ上手えびす顔 渋谷 訓生
子になびくあんたの介護誰がする 山本 良枝
友二人尾花のなびく中歩く 石井 和子
なびかせて振り向き美人古希迎え 小西 吹子
2018年12月のお題 「煙」
1位 迷うなよ天へ帰っていく煙 稲垣 のぶ久
2位 泣く笑う煙にかくす人生を 荒井 貴美子
3位 煙に巻くその話術には要注意 小西 吹子
3位 疑わぬ蒸気機関車男だな 原 三郎
3位 旅の果てああ桜島噴煙よ 大串 修
3位 その気でも浮き名を流す煙無し 奥村 十九昭
3位 車から野焼きの煙母想う 石井 和子
2018年11月のお題 「相手」
1位 腹の立つそれも相手がいればこそ 小西 吹子
2位 百年の恋の相手と梅茶漬け 中井 芳樹
3位 コーヒーの相手のいない休刊日 稲垣 のぶ久
2018年10月のお題 「豊か」
1位 手を合わせこころ豊かに四国路を 渋谷 訓生
2位 ブータンの豊かさ三日あれば良い 原 三郎
3位 秋祭り豊作願う人は老い 小西 吹子
2018年9月のお題「酔う」
1位 三合でまだ治まらぬ腹の虫 稲垣 のぶ久
2位 恋に酔い終着駅はイバラ道 奥村 十九昭
2位 酔ったふりしてみたかった頃もあり小西 吹子
3位 この頃はただ人混みに酔うような 荒井 貴美子
2018年8月
夏休み中にて川柳くらぶもお休みです。
1位
2位
3位
2018年7月のお題 「星座」
1位 二人だけきらめく星座須磨の浦 渋谷 訓生
1位 山の宿星座見上げて首を凝り 壽 和洋
2位 いつ見ても想いは遠い大三角 川崎 貴子
2位 北斗星教えてくれた友も星 稲垣 のぶ久
3位 露天風呂見上げれば星降りそそぐ 石井 和子
3位 さそり座が赤く輝く老年期 大串 修
3位 君と僕星座の軌道いつズレた 北原 裕
2018年6月のお題 「帽子」
1位 綿帽子あの日の君の影もなし 山本 良枝
2位 呑みすぎを隠す帽子の深かぶり 安東 妙子
3位 新しい帽子被ってみる角度 稲垣 のぶ久
3位 想い出す麦わら帽子父の顔 亀野 勝則
3位 帽子、靴好きな女に要注意 馬場 康子
3位 父憶う匂い滲みてたあの帽子 小西 吹子
2018年5月のお題 「登る」
1位 人生は遠くて高い山登り 川崎 貴子
2位 槍穂高まだ捨てられぬ登山靴 稲垣 のぶ久
3位 山登り天まで昇る人もいる 劔持 之孝
2018年4月のお題 「笑う」
1位 笑うけど待てど暮らせど福来ない 亀野 勝則
2位 ”よく笑う”ストレス減らすカギはこれ 北田 須美子
3位 カサカサの心笑顔で保湿する 山本 良枝
2018年3月のお題 「風」
1位 さびしいね風のたよりに聞く別れ 石井 和子
2位 我が夫婦いつの間にやらすきま風 亀野 勝則
3位 蕗のとう風を見つけに顔を出す 板脇 英子
3位 風吹くな隠してあるの頭頂部 山本 良枝
2018年2月のお題 「痛い」
1位 痛いとこ突かずに今も友続け 星野 正一
2位 目出たいが御祝儀続き痛いなあ 松井 美都
2位 楽しくてつい気を許し痛い目に 馬場 康子
3位 痛い目に遭ってようやく卒業す 大野 佐由美
2018年1月のお題 「夫(おっと)」
1位 妻を立て家内安全生きる術 川崎貴子
1位 夫婦でも外では他人知らんふり 奥村十九昭
2位 ペット並み夫フードが置かれてる 山本和彦
2位 よく似てるごろ寝の夫アザラシに 佐藤昌弘
3位 古はあなたと呼ばれ今ちょっと 劔持之孝
3位 夫の名終活ノートイニシャルで 山本良枝
2017年12月のお題 「高い」
1位 背と鼻が高いだけでも儲けもの 板垣 英子
2位 徒歩帰宅タクシーよりも高くつく 亀野 勝則
3位 3高を求めすぎてか今ひとり 星野 正一
2017年11月のお題 「魔法」
1位 マドンナに愛の魔法をそっとかけ 吉田 利秋
1位 女は皆魔法使いよ鏡前 馬場 康子
2位 古希祝い魔法の杖を願い出る 荒井 貴美子
3位 魔法かけ昔の二人に戻りたい 森本 和磨
3位 シンデレラ魔法をかけて飲み会へ 板垣 英子
3位 フサフサが魔法のようにツルツルに 大野 佐由美
2017年10月 お題 早い
1位 日の出より早いと言って朝帰り 荒井貴美子
2位 他人のミス誰より早く見つけ出す 吉田利秋
3位 憎めない逃げ足早いごんたくれ 奥村十九昭
3位 早すぎるあなたのえがお夢枕 西内末子
2017年9月 お題 車
1位 ベンツなら死んだ時でも乗れるやろ 山本 和彦
2位 マイカーは良く言うことを聞く伴侶 佐藤 昌弘
3位 炎天下クーラー欲しい乳母車 劔持 之孝
3位 だから好き車だけが思うまま 川崎 貴子
2017年8月
夏休み中にて川柳くらぶもお休みです。
1位
2位
3位
2017年7月 お題 甘い
1位 愛したら愛されるって信じてた 吉田 利秋
2位 甘い密大切にして期限切れ 西内 末子
3位 娘より息子に甘い妻の声 板脇 英子
3位 我が夫婦甘い囁き死語になる 劒持 之孝
2017年6月 お題 ペット
1位 餌やれどペットにならぬ庭雀 中森 敏博
2位 愛犬も私の愚痴におおあくび 荒井 貴美子
3位 まずペットその後出てくるワシの飯 大野 佐由美
2017年5月 お題 テレビ
1位 幼き日正座でテレビ他家(よそ)の居間 山本 良枝
2位 その意見いつかのテレビそのまんま 森本 和摩
3位 テレビっ子スマホ狂いの子を叱り 星野 正一
3位 電源をそっと消されて起きてるよ 劔持 之孝
2017年4月 お題 妻
1位 満塁に風呂に入れと妻の声 中森 敏博
2位 「たるみすぎ」妻と言う名の免罪符 森本 和摩
2位 妻よりも息子の嫁がタイプです 山本 良枝
3位 ほほえみに冷気を感じる妻の顔 川崎 貴子