研究
研究テーマ
マクロ経済学
法人税のマクロ経済分析
大災害のマクロ経済学(大災害と資産価格、経済危機時の公債管理政策)
マクロ財政(財政の持続可能性、財政規律、金融市場と財政)
情報経済学
情報の不完全性と経済行動
情報フィードバックの効果
1−1. 法人税のマクロ経済分析
私は現在、法人税のマクロ経済分析を理論的におこなう研究を進めています。
法人税とは企業利潤に課される税のことで、近年の日本では国の税収のうち約20%を占めるほどの重要な税です。しかし、過去数十年にわたり、法人税率は世界的にほとんど一貫して引き下げられてきました(下図)。なぜでしょうか。法人税には、主に二つの効果があると考えられます。
政府活動にとって大きな財源である。
企業の投資・参入を阻害する。
1.は上に書いた通りの意味ですが、ここでは 2. が重要です。企業活動がおこなわれる動機は利潤の獲得であり、法人税はその利潤に対して罰を与える形となるため、どうしても企業活動を阻害してしまう効果があります。民間投資による新しいビジネスの展開による経済成長を是とする現代では、2.の側面をとても重視するので、法人税率は低くするべきだという考え方が基本的には支配的なのです。
しかし、これはどの程度正しいのでしょうか。政府はサービス供給やインフラ整備を通じて生産活動を支えるので、必ずしも 2. だけを重視すれば良いとは限りません。1.と2.はトレードオフ関係にあります。そのため、マクロ経済の成長という視点から、バランスのとれた法人課税を考えていく必要があります。
脱税と最適法人課税
一つの成果として、次のような論文を公刊しました。これは法人課税を考えるうえで現実に無視できない脱税の要素を取り入れた理論モデルを用いて、最適な法人税率が持つ特徴を詳しく調べた研究です。詳しくは、次の図や下線部にリンクを張ったページをご覧ください。
(キーワード:法人税、脱税、財政政策、経済成長)
法人税の租税競争
また、法人税の租税競争についても研究しています。グローバル化した現代経済では企業による立地選択の結果が各国の長期的経済成長を左右するため、激しい租税競争を招き、法人税率の低下傾向が見られます。しかし、それが社会厚生に与える効果は必ずしも自明ではありません。この研究は、現代のグローバル経済の特徴を抑えた経済成長モデルに基づいて法人税租税競争の厚生分析をしています。
(キーワード:法人税、租税競争、スピルオーバー、経済成長、社会厚生)
1ー2. 大災害のマクロ経済学
COVID-19における資産価格動学と最適ロックダウン政策
(キーワード: パンデミック、株価、不確実性)
1ー3. マクロ財政
財政規律
(キーワード: 政府債務、財政政策、経済成長、国際経済)
2ー1. 情報の不完全性と経済行動
Condorcet定理
(キーワード:委員会、投票、ゲーム理論、金融政策)
2ー2. 情報フィードバックの効果
教室実験
(キーワード:教育、情報フィードバック、フィールド実験)