2011年5月11日~17日
NHK北見放送局ぎゃらりー/ほっとすぺーす
会場入り口
かたまり
東日本大震災の年でした。
地震が起きる前に会場の抽選に当選していたので、キャンセルしようか悩みました。当時は震災で亡くなられた方を思い、被害の大きさに打ちのめされて、有名な方々も公演をキャンセルすることが多かった。ましてや一般人の私などが、こんな個人的なことで楽しんでいていいものか・・・・・・。たぶん、日本中の人がそんな風に思って自分の生活を縮小していたでしょう。悼む気持ちが「自分は今、楽しんでいいのか」と心を追い詰めていた。
私が住む小さな街でも展覧会や音楽会などのキャンセルが続いて、どこの会場もひっそりする日が続いていました。まわりの人たちからも「今はやめた方がいいのではないか」と言われました。
そのころ、テレビはACジャパンのCMばかり。それを見るとまた落ち込むのです。日本中のどこからも光が消えたみたいな、楽しいことをしてはいけないみたいな気持ちになるんです。
個展の開始日は震災から2ヶ月後。考えたんです。すごくすごく考えたら、むしろやらなきゃいけないんじゃないかって。
「こんな時期にこんなことを」とお叱りを受けるのも覚悟していましたがそうではなく、喜んでくださる方がたくさん・・・・・・私は中止しなくて良かったと思いました。「震災以来、なにもできない自分が歯がゆくて申し訳なくて、何もしないで家にこもっていたら色がなくなった」というお客様が(色がなくなったとは生活から彩りがなくなったということでしょうか)、「ここへきて絵を見たら急に色が戻ってきた! 私もやりたいことをしていいのよね?」 と言うのです。もちろんです、今はむしろひとりひとりが自分の生活をそのままちゃんと続けることが大切、とお話しさせていただきました。震災で悲しいし落ち込むのは当然のこと。でも離れたところから私たちにできることは、自分の生活を同じように続けること。経済を回し続けること。そして自分にできる形で支援を続けること。 ボランティアでもいい、募金でもいい、自分にできることを続けるためには自分が元気でなくてはできません。そんな風にお客様とお話をして、震災に対する気持ちを分かち合うことで、私もまた元気をいただきました。
ご年配の方が見にいらして、別な日にお孫さんを連れてきて紹介してくれました。シルクスクリーンは明るく軽やかな発色が得意です。若い人にもシルクスクリーン版画をやってみたいと感じてもらえたら、嬉しいです。