ミスチル 歌詞の世界
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2008年のミスチルは悩んでいます。
Supermarket Fantasyという、すばらしいアルバムを制作中のこと。これまでも悩んではきました。
今回は何で悩んでいるのでしょうか。ありあまるほどの成功を手に入れたのに。
おそらく彼らは、世界を旅して気づいたのです。
成功の報酬として旅をした。
そして気づいてしまった。
この世界には、素晴らしい事だけがあるわけではないことを。
そう、いたるところに争いがあり、戦争があり、温暖化があった。
すごく欲しかった物から そうでもないモンまで
クリック ドラッグ R & R 何だって手に入る
さぁ 油断して渡ろう 慢心して進もう
文明の恩恵の上を
たまに不吉な夢見るんだよ
走っているのに進まない
ひょっとしたら実際に起きてることを夢の中で知らせるメタファーかも
Oh No!
想像してたよりも速いスピード
この迫り来る敵に立ち向かう
準備はできたかい?
ドンキホーテみたいに さぁ
終末論というのはいつの時代にもあり、ノストラダムスの大予言なんてのが20世紀の終わりに流行った。世界が危機だなんていうのは、誰もが言える陳腐な言い草かもしれない。
しかしこの歌で言われているのはそういうのとは少し違うような気がします。もっとリアルな実感として、言われている。
ミスチルはアルバム「Discovery」のころから、結構悲しい、絶望的な歌詞を書くようになりました。成功を手に入れ、お金を得たけれども、その結果得られたものは、空しかったり、むしろ心の傷つくようなものが多かったようです。
「シフクノオト」の中のシングル「ANY」でも、
「悦に入って走ったじぶんを時代のせいにしたんだ」と
懺悔のことばを吐いています。
フワフワした気分で地に足が着かない
いつまでしがみついていれるかな? この地球の上
Nowhere!?
イライラした空気が君の履くヒールの踵を蹴りつける
引き返すことで その先にある危険から逃れる手段もあるだろうが
Oh No!
焔
蒼白き瞳の焔で
その危なっかしい足元を照らし出せ
道は続いてる
そう続いてくんだ
(終末のコンフィデンスソング/作詞:Kazutoshi Sakurai 作曲:Kazutoshi Sakurai )
Everybody goes everybody fights
秩序のない現代に ドロップキック
Everybody knows everybody wants でもNo No No No
皆 病んでる
(Everybody goes :アルバム ボレロ より)
時流の早さ 命の重さ
確かめるように
人の弱さ 心の脆さ
かばいあうように また一歩ずつ
暗闇に迷うなら
心に光ってる星を頼りに進もうか
愛されて 優しくなれて
その優しさ故に愛されて
君と僕がそんなメビウスの
輪の上を笑いながら
寄り添って歩けたなら
(風と星とメビウスの輪 アルバム supermarket fantasy より)
桜井は以前こうした絶望に対して、答えをしめす事はなかった。
しかし2008年のアルバムでは、終盤に答えとなるような歌を用意している。それが「風と星とメビウスの輪」だ。
良い循環を作ること。愛を与え合うことで、互いにやさしくなれ、その連鎖が、世界を変えてゆく。現実の世界からすれば、すこし照れくさくなるような、甘い歌詞だが、ひとつの正論ではある。
実際こんな風にしてしか、世界はよくならないだろう。
殺しあった跡で、興奮からさめて、平和を取り戻すようなことは、繰り返したくない。
この2008年のアルバムは、色にまつわる歌が多い。オリンピック中継主題歌GIFTもそうだし、エソラも絵空事という意味だから絵に描いた空の話。ジャケットもスーパーマーケットのカラフルな陳列棚の写真だ。
色はさまざまで、一つ一つ個性がる。それぞれが微妙に違う。
だがそれが合わさることで、ひとつのハーモニー、和音になり、調和ができる。そして「絵になる」のだ。
このアルバムは、いくつもの絵筆がしあげた、ひとつの絵だ。