アオギリの特徴

樹高15メートルまで育ちます。花が咲き、雌雄同株。雄花と雌花を枝先に付けます。庭木や街路樹に利用される。果実は食べることもでき、戦時中には炒ってコーヒーの代用品とした。

チョコレートの原料カカオやコーラの原料「コラノキ」もアオギリ科。自生地は沖縄・台湾・インドシナといった暖地

アオギリという名前は青い幹の桐という意味。桐のように軽い木材として利用されるのですが、耐久性や変化しやすいことから一般的には利用されない。

アオギリ Firmiana simplex (L.) W.F. Wight (アオギリ科 アオギリ属)

アオギリの花や果実は特徴あるもので、似た植物は記憶にない。花は7月頃に咲き始める。花期は長く、つぼみあり、花が終わって落ちるものありである。花弁は発達せず、リボンのように見えるのは顎で5枚。1つの花序に雌花と雄花が混在する。雄しべは合着して1本になっている。


果実の形は特徴的であり、若い時期は5本のさやが垂れ下がったおもしろい形となる。8月のおわり頃からさやは内側が裂開して舟形になり、その周辺に種子が4つ付いている。さやの中には、4つの種子が入っていたわけである。このような果実の形は、5枚の葉が変形したものであると考える意見もあり、花と葉の関係をよく表している例の1つにあげられることがある。

種子はなかなか離れず、冬にこの舟形の心皮とともに風に飛ばされて散布される。5つに分かれて舟形の部分が飛ばされるのか、5つまとまってプロペラ、あるいは落下傘のように飛ばされるのかは知らない。


風で種子を散布する植物は、そよ風程度の時に飛ばされてしまうと、すぐ近くに散布されてしまうので大きな意味はない。強風の時に枝から離れるように設計すると、強風が吹かなかった場合には春まで枝先に残ってしまい、新芽が出るときには枝先から離れてしまう。




1.アオギリ 2.アオギリの花と果実


樹皮繊維は強靱で、織物、縄、網の原料になる。樹皮には粘質物が含まれており、水に浸し製紙糊料や洗髪料とした。

種子は炒ると食べられる。室町時代には種子を菓子としていたという。戦時中は粉にしてコーヒーの代用としたとのこと、試されたらいかがでしょうか。

種子の漢方生薬名は梧桐子(ごとうし)とよばれ、健胃の効果があり、炒って服用すると、腹痛、胃痛などに効くといわれている。昔は種子を便所のウジ虫発生防止のためにも使われた。

葉は血圧降下、動脈硬化予防に効果があるという。また、葉を乾燥させてタバコの代用にしたという報告もある。 <2008.10>

(はいばらきくお 東京農工大学 農学部教授 森林生態学)

アオギリの花

アオギリの花と虫

アオギリの花

アオギリの花と果実