第32回定期交流会 [Regular]
講演:「江戸ムスメの理想肌」
日時:2025年3月16日(日)14:00-16:00
開催方法:ハイブリッド(ポーラ文化研究所化粧文化ギャラリー+Zoom ミーティング)
第33回定期交流会は,前回同様,現地とオンライン会場を併設したハイブリッド形式での開催となりました.12名の方にご参加いただきました.
今回は講師として学芸員・司書の富澤洋子氏をお迎えし,現在,化粧文化ギャラリーで展示中の「はじまりの美学3期 初化粧」展にちなみ「江戸ムスメの理想肌」をテーマにご解説いただきました.
前半では,株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(当時はポーラ化粧品本舗)がいかにして「美容・化粧・よそおい」を「文化」に位置づけ化粧文化研究に至ったかの経緯および,ライフステージの変化にともない通過儀礼的に行われてきた,江戸時代のヘアスタイル・メイク方法・道具に関する研究成果について,ギャラリー〈Art〉コーナーで展示の浮世絵・レプリカ資料等を鑑賞しながら詳しくご紹介いただきました.
後半では,1813(文化10)年に発行された『都風俗化粧伝』を参照しながら,江戸時代に用いられていた白粉を,現代の素材を使って無鉛無害で再現した2種類の粉を実際に肌に塗って体感できるコーナーが設けられ,大変充実した内容でした.当時用いられていた白粉には鉛が含有されており,神経毒が社会問題化しつつも,使用感の良さから使われ続け,歌舞伎の人気役者が鉛中毒と診断されてから約50年後にようやく販売停止となったという驚きの研究結果,浮世絵が写実性を欠くことによる研究への影響など,研究裏話を楽しくお伺いしました.
<Books>コーナー(書籍閲覧&プログラムスペース)書架には[1] ,顔学会所属研究者の著作も所蔵されていました. 講演後の質疑応答も活発に行われ,大変盛り上がりました.次回も皆さんとお会いできることを楽しみにしています.
今回お邪魔したポーラ文化研究所 化粧文化ギャラリー様では、2025年4月3日から、現代の化粧文化にも通じる「ヨーロッパの装い」展を開催されるとのことです。展示の詳細については以下を参照ください。
https://www.cosmetic-culture.po-holdings.co.jp/newsrelease/pdf/20250313release.pdf