活動報告

第31回定期交流会  [Regular]

講演:なぜ『日本画』の人物はこちらを向かないのか?

日時:2023年826日()15:00-17:00

開催方法:ハイブリッド(東京大学本郷キャンパス+Zoom ミーティング)

第31回定期交流会は、前回に引き続き、現地オンライン会場併設したハイブリッド形式での開催となりました。参加者は19名でした。

今回は講師として大阪大学の岩井 茂樹先生をお迎えし、「なぜ『日本画』の人物はこちらを向かないのか?」というタイトルでご講演いただいた後、ディスカッションが行われました。

西洋絵画と比較して日本画で目線がこちらを向いているものが少ないという点に着目し、日本ではいつ頃からこちらを向く画が描かれるようになったのか、またどのような性質の画においてこちらを向くものが描かれるのか、また諸外国で描かれた絵画の影響がいかにして日本に伝わり現在に至るのか、その系譜について考察されたことを紹介いただきました。

日本では古来、神仏以外はこちらを向くように描いてはいけないとされおり、20世紀以降になりようやく俗人でもこちらを向く画が描かれるようになってきたとのことでした。ただし、美人画(特に注文を受けて書かれたもの)、幽霊画、役者絵の3つについては江戸時代にも例外的に描かれる場合もあったようで、それらは美人・偏愛、魅力、怨死・憤死・無念などの異常から来るものであるのではないかということでした。

ディスカッションでは、現地・オンライン会場から、仮説について今後のどのように検証していくのか、西洋ではなく中国絵画の方から影響を受けているのではないか、目上と目下の関係性、凝視してはいけないという文化的な側面との関係、似顔絵を描くときの目を描く順番、アートとデザインの違い、鼻の表現方法の違い、宗教との関係性について、取り上げられ、参加者の一人からは、一週間ほど議論していたいぐらい面白い発表であったとのコメントが出るなど、大変盛り上がりました。

2回目のハイブリッド開催でしたが大きなトラブルもなく盛況に終わったのではないかと思います.次回も皆さんとお会いできることに楽しみにしています.