活動報告

第32回定期交流会  [Regular]

講演:多数の人が協力しあって確実にそっくりな似顔絵を描く方法

日時:2023年518日(土)13:00-15:00

開催方法:ハイブリッド(安協サービスセンター+Zoom ミーティング)

第32回定期交流会は、前回に引き続き、現地とオンライン会場を併設したハイブリッド形式での開催となりました。参加者は14名でした。

今回は講師として似顔絵研究家、似顔キャラクター作家の 橋本憲一郎先生をお迎えし、似顔絵を科学的に研究するに至った経緯とフォーラム顔学2020, 2022にて発表された研究成果についてご紹介いただきました。

フォーラム顔学2020の発表では、対象とする人物の似顔絵をさらに似せるため、顔のどの部分をどのように描けば良いかの修正のアイデアを多数の評価者に出させ、それをKJ法により整理分類した後、出されら修正項目を組み合わせた24種類の似顔絵を作成し、多数決評価すると、対象との付き合いの深さによって注目する点が異なるという結果が得られたとのことでした。

次にフォーラム顔学2022で発表された、「自分の顔を描いた似顔絵は、自分の顔を中心にばらつくはずであり、ばらつきが正規分布に従うのであれば、それは平均になるはず」という仮説に基づく、似顔絵の作成手順の体系化の研究についてご紹介いただきました。

仮説の確認のために、歴代首相12名をモデルとして選び、似顔絵教室の生徒22名(20~70代)に、両耳が見える範囲の正面顔という条件で自由に似顔絵を手描きしてもらい、それらを線画化した状態のものを平均化すると、およそ8枚程度を重ねると、書き手が異なる場合でも似ていると識別できる平均的な似顔絵に近づくことが分かりました。また、没個性的な標準顔から、各モデルの平均顔とズレを分析し、線を動かすことで似顔絵師が行っている誇張を体系化されました。有意差検定の結果から、①オリジナル似顔絵と平均似顔絵、②平均似顔絵と誇張似顔絵をモデルの対比較では、①は平均似顔絵、②は誇張似顔絵のが似ているという結果となったとのことでした。

講演後の質疑応用も活発に行われ、盛況に終わったのではないかと思います.次回も皆さんとお会いできることに楽しみにしています.