抗菌・抗ウイルスセラミックスの研究は、薬剤に依存せずに細菌やウイルスの増殖を抑制し、接触感染リスクを低減する無機材料の開発を目指す分野です。医療施設や公共空間などで衛生管理の重要性が高まるなか、長期的に安定した性能を発揮できるセラミックスは大きな注目を集めています。本研究では、多面的な材料科学的アプローチにより、菌体やウイルス外殻に作用する反応メカニズムを解明するとともに、高い抗菌・抗ウイルス性能をもつセラミックス材料の設計・合成・評価を行っています。活性酸素種の生成、イオン交換反応、タンパク質変性など複数のプロセスを最適化することで、安全性と機能性を両立した材料開発を進めています。
抗菌・抗ウイルスセラミックスの研究は、細菌やウイルスの増殖を抑制し、接触感染のリスクを低減するための新しい材料技術を開発する分野です。近年、医療・公共施設・生活空間など、幅広い領域で衛生管理の重要性が高まる中、薬剤に頼らず長期的に効果が持続するセラミックスが大きな注目を集めています。本研究では、材料科学的アプローチを用いて、菌体やウイルス外殻に作用する反応メカニズムを解明するとともに、効果の高いセラミックスの合成と機能評価を行っています。抗菌・抗ウイルス機能の発現には、材料表面での活性酸素種生成、イオン交換、タンパク質変性の誘発など複数のプロセスが関与しており、これらを総合的に最適化することで、より高性能で安全性の高い材料設計を目指しています。また、セラミックスは化学的・熱的に安定であり、建材、空調フィルター、厨房設備、医療器具など、日常環境への応用が容易です。本研究では、社会実装を視野に入れた製造プロセスの検討や長期耐久性の評価も進めており、持続可能で信頼性の高い衛生環境の実現に貢献することを目的としています。
本研究室では、希土類酸化物の持つ高い撥水性と、モリブデン化合物の抗菌性に着目し、La₂Mo₂O₉(LMO)が撥水性・抗菌性・抗ウイルス性・紫外線遮蔽性を兼ね備える新しい無機材料であることを発見しました。LMOは黄色ブドウ球菌や大腸菌、さらにはエンベロープ型・ノンエンベロープ型の各種バクテリオファージに対して、6時間で99%以上の不活化を示すことが報告されています。さらに、LMOの一部をCeで置換することで、抗ウイルス活性の向上、疎水化速度の増加、紫外線遮蔽特性の付与といった機能チューニングにも成功しており、材料設計の柔軟性が高いことが示されています。
さらに中島教授は、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)との共同研究において、La₂CuO₄やY₂Cu₂O₅などのCu系複合酸化物が、ノンエンベロープ型ウイルスに対して4時間で99.999%以上の不活化率を示すことを明らかにしました。これらの材料はCu/Cu₂Oの劣化問題を克服し、長期安定性に優れる抗ウイルス材料として期待されています。
本研究室では、酸化物表面の濡れ性制御や表面エネルギー解析に長年取り組んできており、それらの知見を生かして抗ウイルス活性がどのように発現するかを表面科学の観点から解明しています。特に、LMOが光照射を必要とせず暗所でも高い活性を維持することは、従来の光触媒材料(TiO₂ 等)が抱えていた課題を克服するものとして注目されています。
本研究室で開発した無機抗ウイルス材料は、以下の特長を持ちます:
光や熱を必要とせず暗所で作動
有機物系材料と比べ耐久性・長期安定性に優れる
元素置換による機能チューニングが容易
安価で入手しやすい元素による材料設計が可能
これらの特長を活かし、材料は公共施設・交通機関の内装材、医療施設の表面材、マスクや衣類などの日用品、災害時の避難所用品など、幅広い分野での社会実装が期待されています。
図. (a)La2CuO4、(b)Y2Cu2O5、 (c)ガラス板(Control)に接触させ、4 h経過した後に培養を行ったノンエンベロープ型ウイルスのプラーク画像および(d)ウイルス減少数の対数グラフ
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