機械構造物には一度運転を開始すると長期間運転をし続けるものが多くあります.その種の機械では一般に定期的に機械を止めて検査するが,その頻度が多いとコストが大きくなり,少ないと機械の故障や異常を初期に発見できません.また,このような故障や異常に伴う事故は,一度起きてしまうと多大な費用が発生します.また,生活基盤を支える電力供給や交通にまで影響し,社会的な問題にもなります.このような背景から,振動信号を用いた状態監視保全,予知保全のためのモニタリングと診断技術手法の開発を行っています. 最近は,数理モデルの手法,電流やAE(アコースティックエミッション)との総合診断にも着手しています.
Keyword: Condition monitoring and Diagnosis of Machine system, Prognosis, Vibration, Motor current, Bearing, Gear, Ball screw, Wear, Crack, Model-based method, Data driven method, Full Operational modal analysis (OMA)
振れ回り振動を与えることで深溝玉軸受の正常状態から初期損傷が発生するまでの時間を早めるための故障促進実験を行った.軸受の損傷を切断分解検査により確認した.これにより外輪転送面に転動体ピッチ間隔に損傷が発生していることを確認した.また振れ回り周波数ごとに損傷度合いに違いが見られた.またその際の損傷原因となる油膜破断現象のメカニズムを捉えるため,粒子法解析と画像処理を用いた油膜厚さ評価を行った.(MSSP2024)(update 2026/01)
機械の運転中の振動を計測し,入力信号の情報を得ることなしに対象の機械の周波数応答伝達関数(FRF)を疑似的に求めることができる実稼働モード解析(OMA)という手法がある.従来は1軸信号のみを用いた手法であったため,回転機械における本質的な情報である「前向きモード」と「後向きモード」を分離できなかった.本研究では,x,yの2軸信号を計測し,信号処理の工夫により,「前向きモード」と「後向きモード」を分離できるフル実稼働モード解析(フルOMA)手法を開発し,実験的にも検証してその有用性を明らかにした (ASME 2025)(update 2026/01)
機械システムの状態監視と診断技術へのニーズが高まっている.ポンプ系のすべり軸受においては,スラリを含む水をくみ上げるため摩耗状態を調べる必要がある.本研究では,すべり軸受で支持された回転機械の数理モデルを構築し,計測した振動信号との比較によりすべり軸受の摩耗量,摩耗形状を推定する手法を開発した.(Trib.Int.2026)(update 2026/01)
エンコーダ信号を用いたボールねじアクチュエータの状態監視技術の開発を目的として,アクチュエータの特性を把握するための実験と駆動データの収集,得られたデータの解析を行った.実データから作成された特徴量を定量評価し,状態監視に有効なものを特定した(D&D2024).
終了・一区切りした過去のテーマ
磁気軸受をアクチュエータとしたアクティブな振動診断法を提案しています.クラックを有するロータ系の有限要素モデルの構築を行い,その解析手法を検討してきました.そして,その解析結果を用い,高精度なクラック検出の実現を目指しています.また,軸受の支持剛性に方向差がある場合について,周波数伝達関数の構築も行っています.さらには,亀裂の進展の度合いや位置・深さを推定する診断手法の開発を目指して研究を進めていきます. (ASME2018)(update 2026/01)