アクチュエータ・ダンパの開発
機械を駆動源から見直し、新たな原理・ダイナミクスをデザインする
機械を駆動源から見直し、新たな原理・ダイナミクスをデザインする
Keyword: Multi degree of freedom actuator, Damper
従来のロボット眼球は複数のモータとリンクを組み合わせた機構で構成されています。しかし,人の眼球と同じサイズで同等の運動性能を有するロボット眼球の実現のためには多自由度駆動機構の簡素化と小球体積内への集約が課題となります。
そこで,1台で多自由度駆動可能な多自由度アクチュエータに着目し,ロボット眼球のための新しいアクチュエータを提案しています。
従来の多自由度アクチュエータは1台で多自由度運動を生成可能な一方で,コイル数や駆動回路の最小化に課題が残されていました。そこで,4個の磁石と4コイルを3次元的に配置し,それぞれで発生する電磁力を合成することで3自由度回転を実現するアクチュエータを提案しています。4コイルを中性点で繋ぎ,4相ハーフブリッジにより駆動することで駆動回路の簡素化も可能です。
従来のボイスコイルモータは1軸方向にのみ高速直動運動を行うものでした。そこで,2個の円形コイルを直交して配置し,それを回転子として2自由度回転を行う新たなボイスコイルモータを提案しています。
3自由度回転アクチュエータと3自由度並進アクチュエータの概念を組み合わせた6自由度アクチュエータを提案しています。1台であらゆる方向へ回転・並進振動が可能です。
メタバースの触覚をはじめとして携帯可能な小型力覚提示デバイスが注目されています。従来のアクチュエータを用いて様々な方向に力を提示するためには,複数のアクチュエータを組み合わせる必要があります。そのため,サイズの大型化・重量の増加,振動中心のずれが課題となり,機構の簡素化と集約が必要でした。そこで1台で空間上の任意方向に力覚提示可能な新しいアクチュエータを提案しています。
3次元振動モータ
高推力型3次元振動モータ
指輪型3次元振動モータ
指先装着型3次元振動モータ
空圧アクチュエータは体積あたりの出力密度が大きく,空気の圧縮性による柔軟性を持つため,協働ロボットの駆動源としての活用が期待されています.
従来の空圧アクチュエータは直線往復運動のエアシリンダと,回転運動のベーンモータに代表され,1自由度運動のみ生成しています.しかし,これらを用いて多自由度運動を生み出す場合,複数の1自由度アクチュエータが必要であるためロボットが大型であり,狭小空間で活用できないという課題があります.
そこで,1自由度モータの組み合わせによる多自由度機構ではなく,1台で多自由度駆動可能な新たな2自由度球面空圧アクチュエータを提案しています.
MRI・CT 画像を見ながら術者が病変に針を刺すのみで肝・腎・肺などのがん治療や病変採取等を行う画像下治療が注目されています.しかし,MRI・CT 内は狭小空間である上,撮像面に金属が存在するとアーチファクトが発生し画像診断が困難になるという問題があります.
そこで,手術室外から遠隔操作する非金属性手術支援ロボットが開発されています.現在,針の姿勢変更機構として用いられる非金属の空圧モータは1自由度のみであり,また多自由度回転を実現する球面歯車機構では多数の電磁モータを必須とするためMRI・CT 環境下で使用できません.
そこで,樹脂のみで構成可能な,球状ギアに対する歯の噛み合いによって1台で2自由度回転を実現する2自由度空圧ステッピングアクチュエータを提案しています.
人と同じ空間で動作する協働ロボットのアクチュエータには,作業時の高出力だけでなく,人との予期しない接触時の柔軟性が求められます。
そこで磁力により非接触で回転直動変換を実現する送りねじである磁気ねじに着目し,円弧形状磁石を用いた最小構成の新しい磁気ねじを提案しました。また,センサレス力制御手法,可変剛性化,磁気浮上による完全非接触化を提案しています。
エンジンやモータの駆動トルク変動により,ねじり振動が発生します.ダウンサイジングターボによる少気筒化,EV化などで,変動トルクによる振動・騒音問題が顕在化してきています.本研究ではねじり振動の制振デバイスとして遠心振り子式動吸振器(CPVA)を研究しています.多自由度回転軸系における制振メカニズム解明,高速・高精度の非線形解析手法の開発,高次成分の制振方法の提案などを進めています.そして数値解析と実験的検証を行っています.
遠心分離機を対象とし,広範囲の回転速度で曲げ振動低減を高安定で実現する方法に取り組んでいます.ボールバランサに着目し,並進・傾き連成系の制振のためのモデル化,実験的検証,その新形態提案を進めています.
液体水素等の極低温環境においては,従来の制振材料となる油やゴムが使用できません。そのため,摩擦を利用したダンパが活用されていますが,摩耗するため寿命に課題があります。
そこで,渦電流による減衰力を利用した極低温用渦電流ダンパを開発しています。空間の様々な方向へ制振性能が最大化するような構造を目指し,電磁場解析・実験によって様々な条件下での性能を評価しています。
磁力により非接触で回転軸を支持する多自由度磁気軸受は摩耗が発生せず,メンテナンスフリーで運用可能など様々な利点を有しています。しかし,従来構造では永久磁石を用いるため,環境の温度によっては減磁による性能劣化があり,組立・分解性が低いという課題がありました。
そこで,永久磁石を用いずに大支持力を発生可能な新しい3自由度磁気軸受を提案しています。また,他軸への干渉抑制を目的とした新しい非線形制御手法を提案しています。