菅谷:いま、精神を統一しました、東洋大学の、今西駿介です。2年生。そして、その後ろ、3年生の小野田が追ってきます。その差は、わずかに36秒です。
アナウンス:「10秒前!」
菅谷:いよいよ、大手町に向かう復路の始まりです。
アナウンス:「5!4!3!2!1!」(号砲が鳴る)
菅谷:第94回箱根駅伝、復路がスタートしました。まずはこの、東洋大学、4年ぶり、5回目の総合優勝を目指して、東洋大学、鉄紺の襷、今西駿介がスタートしていきました。
胸に手を当てる、3年生の、小野田勇次。過去2回は、6区2位で、走り切りました。そして3度目の、6区です。
アナウンス:「5!4!3!2!1!」(旗が上がる)
菅谷:今、東洋大学を追いかけて、36秒差で追いかけて、青山学院大学、6区のスペシャリスト、小野田勇次がスタートしていきました。
6区を走ったランナーに話を聞きますと、この6区、追いかける側としては、早く前を捉えたい気持ちがある一方で、一方速く走りすぎてしまうと失敗してしまう、箱根山中はカーブが続き、前が見えない中で、山下りはその怖さがあるといいます。そして、先頭を行く東洋大学は、すでに直線道路からカーブに入ってきています。東洋大学今西の様子はどうでしょうか、1号車、河村さん。
河村:はい。非常に吐く息は白く、両手にはしっかりと手袋をはめています。かつてはお父さんも、この箱根路を駆けたという箱根ランナーでありました。そして、兄弟も陸上を続けていて、陸上の経験がありまして陸上一家、さあ、この今西が果たしてどこまで後続、差を引き離すことができるかという6区です。
(スタート地点)
アナウンス:「10秒前!」
菅谷:そして一方、早稲田大学は1分56秒差で、3位でスタートします!
アナウンス:「5!4!3!2!1!」(旗が上がる)
菅谷:6区は1年生の渕田拓臣が、そのえんじの襷をかけてスタートしていきます。7年ぶり、14回目の総合優勝を目指す早稲田大学、えんじの襷がスタートしていきました。
菅谷:さて、このあと、4位から、12位まで、1分42秒差で、スタートしていきます。
4位は、拓殖大学です。拓殖大学の、岡田監督、72歳。「復路は、粘るレース。我慢のできる選手がそろっている。粘って、粘って、シードを取って、95回大会につなげたい」と話しています。シードを取れば4年ぶりです。
その拓殖大学の1秒後にスタートするのは法政大学です。トップと4分37秒差、10位中央大学とも1分12秒差という状況で法政大学がスタートしていきます。昨日は5区、青木が9人抜きの区間賞。「6区、佐藤に区間賞を取ってもらって、山を制したい。」坪田智夫監督はそう話しています。
城西大学は法政の13秒後にスタート。「目の前にいる、拓殖、法政をターゲットにしたい」と、そう櫛部静二監督は話しています。
その城西大学のあと28秒後に、往路7位フィニッシュの日本体育大学がスタートしていきます。中央大学とは31秒差です。復路は、「6区は順位をキープ。7,8,9で、3位くらいまで詰めていきたい。」そう話しています。
順天堂大学、日体大のあと7秒後にスタートします。往路は8位でした。そのあと中央大学とは24秒差です。「復路は1つもミスが許されない。目標は前回の4位以上」と話しています。
そして東海大学、順天堂のあと15秒後にスタートします。「3位以内は難しいかもしれないが何があるかもわからない。」そう両角速監督は話しています。
中央大学、東海大学のあと9秒後にスタート、シード権をとれば6年ぶりになります。
そして、中央学院大学が中大を25秒差で追いかけます。6区樋口で1つでも順位を上げてもらいたいと話している、川崎監督です。
帝京大学が中央学院大学のあと4秒後にスタートします。6区は前回も走りました横井です。
アナウンス「5!4!3!2!1!」(旗が上がる)(旗が上がる)
いま、拓殖大学がスタートしました。その後ろ、すぐに法政大学が追いかけていきます。そして城西大学、1年生の菊池駿弥、この法政のあと13秒後にスタート、(旗が上がる)いまスタートしました。そして日本体育大学はこの城西のあと28秒後にスタートします。黄色の襷が、この、復路スタート地点、芦ノ湖をあとにしていきました。
そして日本体育大学です。日本体育大学は、シードを取れば3年連続になります。そのスタートまで10秒前になりました。「6区はとにかくこの順位をキープしてもらいたい。」そう渡辺監督は話しています。2年生の廻谷賢がスタートしていきました。
そして順天堂大学。(旗が上がる)いまスタート。長門監督は1つも復路はミスが許されないと、そう話しています。
東海大学。この1年、こだわってきたスピードをさらに磨きました。6区は2年生の中島怜利。いまスタート。そして、中央大学。現在、10位でフィニッシュしています中央大学が、(旗が上がる)いまスタートしていきました。中央大学、6区を任されましたのは、2年生の冨原拓です。この冨原拓が、伝統の赤い襷を肩にかけて、6区をスタートしています。
そして中央学院大学、現在11位、シード圏内中央大学とは25秒差、(旗が上がる)3年連続6区を走ります樋口陸が、いまスタート。そして帝京大学、帝京大学がいま、12位でスタートしました。シード圏内の10位中央大学とは29秒差です。この直線道路を見ましても、数人のランナーが、その姿が見えるという状況になりました。帝京大学の中野監督は、「10位と29秒差というより、拓大4位と1分42秒差。その差を、この復路で詰めていきたい」と話しています。
そしてこちらは、2号車から、青山学院大学、6区小野田の様子です。この6区、小野田は、3年連続の6区を任されることになりました。前回、前々回と2年連続で区間2位、「今回こそ区間賞を取りたいんです。」そう話しています。この6区、青山学院大学は小野田です。
そしてその後ろ、往路は13位でした、10位との差は1分43秒という駒澤大学、4年生の中西です。大八木監督は、6区・7区で10位以内に入り、その先を見据えていきたいと話しています。(旗が上がる)7区には、ユニバーシアードハーフマラソン銀メダリスト、工藤有生が控える、駒澤大学、まず6区、4年生中西亮貴がスタートしていきました。藤色の襷をかけて、この、中西亮貴、最初で最後の箱根駅伝ということになります。「前回も6区候補だったんですが、自分の力がおよばず後輩を走らせることになってしまった。」そう話していた、中西亮貴、4年生になって、この箱根路、6区に挑んでいます。
(このあと、14位以下國學院大学、神奈川大学、山梨学院大学の順にスタートしていく。さらに17位以下、大東文化大学、国士舘大学、東京国際大学、上武大学、関東学生連合チームは8時10分に繰り上げ一斉スタートを行った。)
平川:映像は、1号車です。
河村:はい。今、国道1号の最高地点、標高は874m、その看板を過ぎました。ここから一気に下りまして、最後に少し上り坂がありまして、それを過ぎますとまたさらにずうっと続いていく下り坂です。
今、スタジオであったように、渡辺さん、切り替え、ですよね。
渡辺:そうですね。この5kmを過ぎてからの切り替えではあるんですけど、この、あの東洋大学の今西君ですね、非常に登りの走りもスムーズにあの走ってますし、このあとの下りの走りがですね、非常に素晴らしいですね。
河村:なるほど。登りに関しては、もともと苦手意識はないということで、この走り実証されました。先ほど4kmのタイムが13分22秒、この区間の区間記録は去年、日本体育大学の秋山が残しました13分18秒なんですが、そこからわずか4秒遅れる程度、やはり渡辺さん、戦略通り、序盤は速めに入って後ろを離して、
河村・渡辺:慌てさせよう、と。
渡辺:そうですね、あの、戦略としては、まったく監督の、指示通り走ってますね。
河村:そうですか。
さあ、今、下り切りまして、そしてここからしばらく平坦、5kmのタイムもお伝えしましょう。あとおよそ20mで5kmの通過です。今5kmを通過しました。16分31秒、ということで、少しここのペースが遅れたでしょうか。
渡辺:そうですね。ただ、2位の小野田君もですね、おそらく同じくらいのペースか2~3秒遅いくらいのペースで行ってますので、一応ここからの切り替えですね、そこからが勝負になってくると思います。
河村:戦略的に、ここはちょうど高低差がありまして一直線の道路になりますから、後続のランナーが前を視界に捉えるには絶好のポイントになります。ですから小野田は、「あっ、先頭はいまここにいる、この距離感か」というイメージがわきやすくなっています。
平川:はい、いま青山は37秒差、スタートからは1秒離れた形になります。
河村:さあ、後ろからは、青山学院大学、区間2位、連続して残しています、小野田がひたひたと追ってきます。
平川:先ほど芦ノ湯のポイントでは37秒差、まあスタートからほぼ変わってはいませんが1秒、差が開いたと、いうところです。今回が3度目の6区、過去2回はいずれも区間2位というすばらしい走りを見せました、青山学院大学3年生の、小野田勇次が前を追っていくというところです。そして東洋大学、
河村:平川さん、
平川:はいどうぞ。
河村:スタート前、青山学院大学の原監督は、「この小野田で前に36秒差を追いついて、逆にその36秒35秒引き離す、これが理想の6区だ」と言ってましたね。
平川:うーん。その策が出るかどうかというところですが、ゲストの服部弾馬さん、まず後輩のこのスタートの走りはご覧になってどうでしょうか。
服部:そうですね、1kmもすごくいいペースで入っているので、えー、いいと思いますね。
平川:うーん。碓井さん、後ろから追ってくるその秒差を感じながらという、スタートですものねえ。
碓井:うん、いい走りしてますよ。
平川:ああ、そうですか。
碓井:はい。
平川:いま、この朝の光を浴びながら、映像は先頭に戻りました。
河村:はい。お父さんも1986年、東京農業大学1年生の時に9区を走りました。お兄さんとお姉さんも陸上長距離の経験があるという陸上一家、常に身近には、そのランニング、そして走ると、いう姿があった環境で育った今西駿介です。
平川:はい。いったん4号車は帝京大学と中央学院大学という、このあたりはシードを狙う中では、帝京大学がさらに4秒差でスタートしているんですが、前に迫ってきて、その背中を捉えようというところです。中央学院大学はこの6区を3度目走ります樋口陸、3年生です。そして、中央学院大学の樋口と同じように、帝京大学の横井は前回もこの6区を走りまして区間9位という走りです。
今、恵明学園の前を早稲田大学の渕田が通っていったというところです。
平松:山の稜線から注ぐ朝日は、その新春の箱根路を照らし、選手たちに光を与えます。
さあトップでやってまいりました、復路の小涌園、鉄紺の襷東洋大学です。2年生の今西駿介、この6区を酒井俊幸駅伝監督に任されました。4年前の優勝を最後に、青山学院に3連覇を許し、不敗を喫し続けている東洋大学、さあその小野田との差をどれほど広げられるか、そしてその、フレッシュグリーンの襷、2位でやってまいりました、青山学院大学の小野田の姿、たちまちこの小涌園前に姿を現しました。
さあ、1位の東洋大学との差は28秒、28秒、芦ノ湖で36秒差でスタートしたこの1位と2位の差、その差を6秒(声が裏返る)、6秒ほど、8秒ほど詰めまして、現在その小野田が、先頭を行きます、東洋大学を28秒差で追っていると、いう小涌園前の通過です。3年生の小野田勇次、原監督が全幅の信頼をもって送り出す6区山下り、3年連続3度目の山下り、勝手知ったる山下りで、今度は追う、鉄紺の襷を追っていく、小野田勇次です!いま、沿道のご覧の大観衆に、大きな声援を送られながら、下りに入ってこの先、宮ノ下の急坂を下り、箱根の山を後にし、小田原を目指していくという、青山学院大学3年生の小野田勇次です!
(4号車からの映像が流れ、中央学院大学の樋口、帝京大学の横井が10位の中央大学を追い抜いていく。)
平松:早稲田大学が3位でやってまいりました。芦ノ湖スタートの時は1分50秒差だったんですが、小涌園前では2分22秒差、30秒ほど開いてしまったという早稲田大学です。山下りを任されました1年生の渕田拓臣です。初めての箱根駅伝です。憧れのえんじのユニフォームに袖を通しました。京都出身、桂高校時代には一般入試でこの高校に入学、3年間地道な努力をして、この1年生にして山下り、チャンスを得ています!
(東洋大学の今西と青山学院の小野田が、箱根登山鉄道の小涌谷踏切を相次いで通過する。さらにCMを挟む。)
平松:小涌園前は先ほど法政大学と拓殖大学が通過していきました。法政大学は1つ芦ノ湖から順位を上げています。そして6位でやってまいりました、赤のユニフォームは城西大学、菊池駿弥です。2年ぶり14度目の出場、城西大学、いま1年生の菊池駿弥が山を下っていきます。兄の聡之さんも同じ城西大学でこの6区を走りました。
そしてその後ろ、次々とランナーがやってまいります。東海大学の姿が見えてきました。往路は9位と少し沈んでしまいました、2年生の中島怜利がいま小涌園前を通過しています。去年も6区を走り区間8位、東海大最高記録をマークしたこの中島怜利、今年も山を下っています。
その後ろは白と青のユニフォーム日本体育大学です。70年連続70回目の箱根路、復路は廻谷賢2年生です。総合3位を目指して、何とかこの復路、6区で耐えてというレース、6位で日本体育大学が通過しています。
(映像が宮ノ下の定点に切り替わり、選手の名字を連呼する声援が聞こえてくる。)
沿道の声援:いまにし!(いまにし!)いまにし!(いまにし!)いまにし!(いまにし!)……
平川:6位城西、そして7位東海、8位日体大と、いま小涌園前を通過しています。そして先頭の東洋大学の2年生今西が、宮ノ下の急坂を下って、さらにまた、小田原に向かっていくところです。先ほどは28秒まで詰めていったところですけれども、ゲストの佐藤悠基さん、この、青山学院の小野田はもうこれが3度目なんですけれども、そういったことを考えますと、もうコースも熟知しているでしょうし、もうかなり自信を持って走っている姿、あるんでしょうかねえ。
(沿道の声援:おのだ!(おのだ!)おのだ!(おのだ!)……)
佐藤:あのー、小野田君やっぱ3度目ということで、まあ勝負、コースの勝負どころと、まあペース配分等、まあもう熟知していると思うので、もう完全にレースをコントロールして、走れていると思いますね。
平川:あー、そうですか。レースをコントロールするというそのぐらいの、おそらくは自信も持って、今回臨んでいるでしょう。青山学院大学の原監督も碓井さん、やはりこの6区でさらに30秒前に行きたいというね、思惑があるようですが。
碓井:そうですねえ。まあ東洋大学もね、何とか逃げ切って、次は渡邉君でしょう、渡邉君ってねえ、昔から注目してるんですよ、ええ、だから、逆に7区が面白いかなと。
平川:ああ、なるほど?(笑)7区の勝負と、いうことになってくるかもしれませんが、あ、今、この箱根町役場で、21チームの監督が待機しているんですけれども、そこで、今、原監督もこの戦況を見つめる姿がありました。
平川:はい。先頭の東洋大学が、小田原までは残り7.1km、大平台のヘアピンカーブにさしかかります。
さあここでも後ろの青山学院との差を見ていきますが、碓井さん、ああもう来ましたね?
かなり詰めてきてますかねえ。はい、もう見てみましょう、あっ、15秒まで来ました。
やはり下りに入ってからの小野田はスピードが上がりましたねえ。
碓井:いやあ、そうですね。
平川:さあ、小田原、
河村:平川さん。
平川:はい、どうぞ。
河村:いま東洋大学の今西が、ヘアピンカーブですから後ろが追ってくれば見えるかなあということで、右後方に視線をちらっと移しました。ですからもしかしたらこの小野田の姿を捉えているかもしれません。
平川:なるほど。
河村:ですからまた心境の変化が生まれるかというところです。
平川:はい。もう15秒、見えるところまで来ています。さあ、この後がどこまで詰めてくるかというところです。
まあ佐藤さん、区間は違えど、目の前にランナーが見えるというのは相当力になってくるんじゃないでしょうか?
佐藤:そうですね、あの、もう、数秒差まで来ると一気にここで追いついてしまいたいという気持ちになってしまうので、ここを、まあ無理せずに、自分のペースで、しっかりと追っていくことがまず重要じゃないかなと思いますね。
平川:ああ。きょう放送席ゲストには東海大学OB佐藤悠基さんと東洋大学OB服部弾馬さんをお招きしていますが、服部さん、後ろが相当気になるエリアに来ましたねえ。
服部:そうですね。今西君も気持ちだけは強い選手なので、落ち着いて走ってほしいですね。
平川:なるほど、2年生です、1年間服部さんともこの大学時代時間を共に過ごしたわけですが、さあ、ずいぶんと近づいてきていますが、映像1号車です。
河村:はい。
先ほど大平台のヘアピンカーブで、右後方にすっと視線を転じました。その時におそらく小野田の姿を視界にとらえているでしょう。ただそれからは、一切、視線、ふりかえることはありません。ただ確実に、先ほどこの1号車からも追ってくる後方、青山学院大学、2年連続区間2位、わずかに届かなかった区間賞、常に、誰かの背中を追っている、そういう悔しさを持ってきた、その小野田勇次が、いま姿とらえました!(箱根町役場を出発する原監督の映像が映し出される)そして今、原監督は臨戦態勢に入ろうというところ!
この動きを知ってか知らずか、今西の表情は変わりません。いま、この山の中でも、木陰、木の陰から、そして、日光の当たる日向へ、明と暗を繰り返してまいりますが、むしろ、しっかりと、青山学院大学の小野田の姿をとらえることができました。いま手元の時計で、7秒差まで来ました。
さあ、渡辺さん、ついに、この、7秒差まで来ましたね。
渡辺:そうですね、まあ明らかにまああの小野田君の方が格上ですから、まあ今西君はですね、ここで並ばれてから硬くならないことですよね。まあフォームをまず崩さないということが大事だと思いますね。
河村:なるほど。東洋大学の酒井監督も、当然これまでの実績、今西は6区山下りの実績はない、追ってくる青山学院大学の小野田君の方が上、ですから、「追いつかれることはある程度計算の中にある、そこからどう反応するかだ」と言っています。
万全を期して調整を進めていました。今日のスタート前、追ってくる後方、小野田の表情には、柔らかさ、笑顔がありました。いま、3秒差になりました手元の時計!さあついに、これまで歴史の中でこの6区、山中での6区首位交代は15回、16回目の首位交代となるんでしょうか!残りは3mになった!さあ、15kmの通過近づいてきた!その差は3mから2m!史上16回目の首位交代になるかどうか!小野田がいま時計を見た!今西は振り返らない!両の手には、黒の手袋青山学院大学の小野田、白い手袋東洋大学の今西!
さあ、今、並んだ!そして、歩道側から、小野田、一気に、前に出ました!
しかし、今西は譲らない!小野田の表情も変わりません。今西の表情も変わらない、お互いに視線を合わせることはありません!この、つばぜり合いは果たして続くのか。これが鉄紺、この東洋大学の、プライドと矜持、そして、意地なんでしょうか。今西は簡単に前、先頭を許すことはしません。今度はまた、歩道側から、最短距離を取って、小野田が出ようというところ!果たして、このカーブの中で?今西は譲りません。(一気に声を小さくして)さあここで、小野田が今度はセンターライン側、入れ替わるようになりました。両者ともなるべく効率のいい、そのルートをたどろうというところ、
小野田が前に出た!さあ、小野田が前に出て今西がついていけるかどうか!ここからが引き離したい、30秒以上差を付けたい、青山学院大学の原監督の計算、ここからどれだけ食い下がっていけるか、そこを期待したいという東洋大学の酒井監督の計算!小野田が前に出ました!さあ、この6区、山下りで首位交代、引き離すか、その差は1mから2m!下りは、わが身は、わが道、そのプライドがあるんでしょう小野田、その差は2mから3mに開いた!ここが追ってくる今西の正念場!気持ち、精神力が試される!しかし、小野田は、あくまで自然体、表情を変えずに、自分のペースで引き離しにかかります!今西食い下がれるか、その差は5m!開きました!
さあ、渡辺さん。ここからですね。
渡辺:そうですね。やはり急勾配になった時に、やっぱ小野田君の走りのバランスですか、非常に腰も安定してますし、全くブレがないですよね。スピードにも乗ってますし、予定通り58分30秒前後の走りはしてますね。
河村:なるほど。さあ、果たして今度は区間記録の更新はなるかどうか、そのポイントもあります。そして今度は、追ってくる今西なんですが、ここからが大事ですね?
渡辺:はい。ま東洋大学はですね、「その1秒をけずりだせ」ということで、1秒の重みをよくわかってますから、この後の展開にも大きく影響を及ぼしますので、まあ今西君最後ですね、1秒でも前に、行ってほしいですね。
河村:1秒でも前に、という。
さあ、大平台のヘアピンカーブの様子ですね。
平川:はい。東海大学が6番目で通過しました、6位です。3位早稲田4位法政5位拓殖大学6位東海大学、そして順位を1つ落として城西大学の菊地が通りました。いまここまで7チームが通過しました。城西大学は往路6位で終えていますが、いま個人の順位大平台では小野田が38分18秒で、ここまでは1番いいタイムで走ってきています。区間記録の秋山さんが38分06秒、12秒だけ遅いタイムと、いうところの大平台のペースです。
安藤:往路優勝は譲った青山学院大学、今日の復路、6区にはこのスペシャリスト小野田勇次が控えていました。7年ぶり16回目の6区での首位交代、そのドラマを、小野田が演出しました。6区15kmで首位交代、残り5km、どのくらいの差を広げるか、
さあ今、小田原中継所に飛び込んできた、箱根の覇権は譲らない、箱根を背にする者は天下を制す!山の力を受け、大手町での歓喜に向けて、襷をいま、繋ぎました!青山学院、復路小田原、トップでたすきリレー!
そのタイムは、58分04秒、58分04秒、区間新記録とはなりませんでしたが、見事な58分台、その好走で、小野田が、首位逆転!トップで、青山学院大学、この7区へと、走り出していきました。
さあ、トップは譲った、東洋大学の今西駿介2年生、懸命の走り、あごが上がっています。待ち受けるのは2年生の渡邉奏太です。今日の小田原中継所、5区、往路優勝のそのメンバー全員が揃っていました。さあ、往路優勝したその襷を、今度は大手町での歓喜に向けて運んでいきます。鉄紺の、その思い、その1秒をけずり出す、その思いで走る、さあ今、2位で東洋大学たすきリレー!最後はふらふらになりました!その差は、52秒!差は開きました!青山学院と東洋大学の差は52秒と差は開いています!
平川:映像1号車です。
河村:はい。大学駅伝デビューのこの7区の林奎介なんですが、えー、非常に速いペースで飛ばしています。7kmの通過が19分54秒ですから、区間記録のペースを9秒上回る、青山学院大学の原監督は、12月下旬の状態では、「チームで1番調子がいいんじゃないかなあ」、それを裏付けるような序盤入りになりました。
さてそれでは、先導する白バイをご紹介してまいりましょう。
センターライン側、神奈川県警第二交通機動隊、河野修平巡査部長*です。東京オリンピックの県内開催に伴い、交通部交通規制課オリンピックプロジェクトを兼務し、オリンピック交通対策を計画・立案しているということです。
歩道側、神奈川県警第二交通機動隊、森川久巡査長*、「伝統ある箱根駅伝を先導できること、名誉に感じております。ご両親も喜んでいるそうです。母校東海大学の活躍も、期待しています」と話していました。
そしてこの大会は、東京陸上競技協会、神奈川陸上競技協会の協力で、運営されています。
さて、渡辺康幸さん、これだけ区間記録を上回る、あの設楽悠太のペースを上回ってるんですが、オーバーペースではありませんか。
渡辺:はい。あの前半を14分10秒で入れるということはやはりまあ調子が一番いいということなんですよね。でチームの中でも、あの一番調子のいい選手をこの7区に置ける、青山学院大学の層の厚さですか、そこが一番大きいですね。
河村:はい。6区小野田、7区12月下旬の時点で絶好調、チームで一番という林、そして8区、きょう当日区間エントリー変更の下田、この6・7・8で後続を離して、9区10区の2人を、余裕を持って走らせてあげたい、それが、青山学院大学の、各ランナーの思いです。
*おことわり:白バイ隊員については漢字氏名での字幕がなかったため、漢字は当て字を使用しておりますが、本人の正しい氏名とは異なる場合がございます。また、役職名は当時のものです。
山本:往路優勝は逃しましたが、王者は焦らず、王者の戦いを見せました。この7区、当日変更の林が、素晴らしいペース、区間記録のペースでここまで進んできました。待ち受けるは8区、下田裕太、当日変更、さあ今、右手を挙げました!それに下田も応える、さあ、区間記録は、もう、目前というところ!
待ち受けるのは下田裕太、青山学院大学、4年連続4回目、トップで襷を渡しました!林から下田へ、1時間2分15秒!林奎介、すばらしい区間新記録を出しました!6区小野田で逆転、そしてこの林が区間新という、素晴らしい走りの青山学院、原監督は、下田で決定打、そう話しましたがその前に、自分が決める、すばらしい走りを見せました、青山学院大学、7区を走りました、林奎介であります!
平川:映像は、1号車です。
河村:はい。快走する青山学院大学の下田、その後方には霊峰・富士、鮮やかに雪をいただいています。初冠雪は去年10月23日、例年より23日遅い、その冠雪だったそうです。それを背後に背負うようにして、下田の快走が続いています。
この8区の区間記録は、なんと21年前、山梨学院大学の古田さんが打ち立てた、1時間4分5秒、これは、箱根駅伝94回の歴史の中で、最も長く守られている、最も破られていない区間記録であります。今回、この下田裕太は、8区3年連続の挑戦となります。過去2回は連続で区間賞、8区3年連続で区間賞となりますと、史上初の快挙達成となります。渡辺さん、3回目で最もゆったりとした5kmの入りになりました。トータルでにらんでますね。
渡辺:そうですね。このコースは遊行寺の坂がありますので、まあ前半抑えめに入って、15kmのところの遊行寺でですね、ペースをまあ上げるという走りですね。
河村:なるほど。8kmを通過しました。23分05秒、区間記録の古田さんは本当に前半抑えて、後半、上げていった、その、区間記録のペースから、16秒、上回っているペースと、いうことであります。
河村:はい。先頭の青山学院大学8区下田裕太、15kmの通過が44分37秒、しかし、運営管理車の原監督は、「前々回初めてこの8区を走った時と同じペースだ、前半ゆったり入っているからこの後上げていけるぞ、区間記録の更新も狙えるぞ」、そう言っています。その声を受けて、いま下田は右手を軽く挙げました。
遊行寺の坂、1kmで40メートル登ります。そしてこの後戸塚中継所まで最後の6kmが、だらだらと登り坂が続いていく、選手のスタミナを奪います。数多のランナーが古田さんの区間記録のペースを上回ってこの遊行寺の坂に入り、しかし最後の6kmで失速してまいりました。だから区間記録の更新は、21年間なりませんでした。果たして渡辺さん、(はいっ)ついに最後の6km、これをどう克服するかですね?
渡辺:そうですね、やはりあの、この8区の区間記録を出すにはですね、まず遊行寺を制することなんですよね。で、この後にしっかりとあの、スタミナもためておかないとですね、気温も上がってきてますので、ここからの走りがですね、重要になってきますね。
河村:なるほど。今回は2年連続同じタイムで過去2回この8区1時間4分21秒でした。この8区出れば区間記録の更新を狙う、そう話していたこの下田裕太、さあ優勝への疾走、果たして区間記録の更新もなるかどうかです!
平川:快調に飛ばしている青山学院大学の下田です。では、ここで報道フロアからニュースをお伝えします。
平川:画面は1号車に戻りました。
河村:はい。区間記録のペースからはすこし遅れましたが、まだまだ余力はある、このあと快調に飛ばしていこうという声を受けて、いま沿道からの声援でしょうか、左腕をぐっと差し出した下田裕太です。このあと2020年の東京オリンピック、そして、やがてパリ、そして、その先のオリンピックをにらんでいくという、下田ですが渡辺さん、3年連続の8区の走りここまでご覧になっていかがですか。
渡辺:そうですね、あの前半ゆったり入って後半勝負ということで、まああの古田君のね、区間記録がまあいかに偉大だったかということが分かると思うんですけどそれに迫る、走りですよね。
河村:そうですねえ。ま、ここまで3連覇を達成している青山学院大学ですから、この下田裕太、今回総合優勝を果たしますと、箱根駅伝では負けを知らずに、この、青山学院を卒業していくと、いうことになるわけです。
(遊行寺の定点からの実況を挟む)
平川:1号車どうぞ。
河村:はい。その4連覇を達成して卒業する、ということについて聞かれましたらば、出雲駅伝、全日本大学駅伝、優勝することができませんでした、その直後、「最後の箱根で負けを知るのかなあ、いや、負けを知らずで卒業したい。自分たちの代で負けるなんて、それは悔しすぎる。勝ちたいんです。今年勝てば、来年再来年とつながると思う」。これまで切磋琢磨して支えてくれた後輩たちに、つなげてあげたい、その目指す4連覇になります。さあ、青山学院大学の最上級生、常勝軍団としては色んなプレッシャーもあったと思います。
渡辺:そうですね、あの田村君とやっぱり下田君ですか、まあこの2人が中心になってですね、チームをなんとかうまくね、まとめてきましたね、そしてあのやっぱり原監督の操縦術ですよね、区間配置も、完璧だと思いますね。
河村:はい。出雲駅伝を走って左足に大きなマメができました。その影響もあってバランスを崩して11月の全日本大学駅伝では、本来の走りではありませんでした。マメの状態、これはもう大丈夫だと、手ごたえを得たのは、実は1週間から10日前だったそうです。やはりその精神的な不安もあったでしょうが、それを克服して、今、8区3年連続に挑んでまいりました。
(遊行寺の定点、東洋大学・浅井崚雅につける2号車からの実況を挟む)
河村:残り700mの地点で下田裕太は、ずーっとかけていたサングラスをひたいに上げました。最後の箱根駅伝、そして3年連続の8区、自分を苦しめてきた、最後のこの上り坂、これを目に焼き付けようと、いうことなんでしょうか、色んな思いは去来するでしょう、渡辺さん。
渡辺:はい。
河村:4年生にとっての、この下田にとっての箱根ラストランです。
渡辺:そうですね。やはりあの、青山学院大学の選手はやっぱ悲壮感がないんですよね、なんか楽しんで箱根をね、走ってるんですよね。
河村:その思いを受けて走ってまいりました。自分は高校時代、思い出すと今の自分は考えられないといいます。大学入学当初も、同期12人中、僕は10番目ぐらいの力でした。この4年間で、体も、精神面も、成長しました。いや、成長させてくれました。箱根駅伝から、その先の世界に、僕の視線、高さも変えてくれたと言います。そして振り返って、苦しくなかったと言ったら嘘になります。きついことばかりでした。ただご覧ください。苦しみの眉間のしわの中に、下田のこの表情に、笑顔は感じませんでしょうか。
喜びを力に変えて、さあ下田、4年目、ラストランです!
上重:これが3連覇を成し遂げた、青山学院大学の強さ、勝ち方を知る、勝利の味を知る、王者のプライド、王者の奏でるハーモニーです!6区小野田で逆転、7区林は区間新、8区エース下田が差を広げ、盤石のレースプラン、9区は4年生の近藤です。やっぱり強かった青山学院大学、史上6校目の総合4連覇へ、4年生の下田裕太から、4年生の近藤修一郎、両手を広げて、この下田を歓迎します!
さあ、笑顔と笑顔の襷リレー、4年連続、復路戸塚、トップで襷を渡しました!
下田は1時間4分45秒、好タイムでさらに差を広げました下田裕太です!4年間お世話になった箱根路に、お礼を、感謝を言いました下田です!
(このあと取り囲んだカメラに対し、下田は笑顔でピースサインを4度繰り返し、「ありがとうございました!」と言って奥に入っていった。)
蛯原:今、品川の駅前を、東洋大学第2位小笹椋が通過しまして、大歓声を受けました。中央大学、あるいは東海大学、もう数知れず、多くの大学のファンの皆さんが、この東洋大学の小笹椋に、大きな声援をかけていました。依然として強い風の中、走っています。青山学院大学とはその差を広げられましたがじりっじりっと追い上げています。4年ぶりの往路優勝、総合優勝目指しましたがその差はなかなか、その優勝というところまでは縮まりませんでした。しかし、このままいきますと10年連続3位以内という、素晴らしい結果を残します。過去5校しかありません。早稲田、中央、日大、日体大、順天堂大学だけ、その10年連続3位以内、あの柏原竜二さんが1年生の時に初優勝、以来3位以内を守ってまいりました、鉄紺の襷東洋大学、現在第2位、素晴らしい位置で襷を大手町に運んでいます!
平川:碓井さん、4年間で必ず入れ替わる大学スポーツで10年連続の3位以内がいま見えているという。これは素晴らしいですよね。
碓井:はい。すごいですよね。
平川:そのあたり、酒井監督の指導も含めてどうみますか。
碓井:うーん。 やっぱりね、あのー優勝してからガンガンガンガン来るようになりましたからね。酒井監督とも昨日の朝話したんですけれど、もううちらは3番でいいと、最初から。往路だけは優勝したいと。そういう言い方ですから来年にはたぶん繋げていくと思うんですよ。来年はほんと優勝しそうでありますからね。
平川:往路も3人の1年生で優勝をかざると。
碓井:4年生1人ですからね。
平川:はい。映像1号車にかわっています。
さあ小笹、ラスト1km切ったぞ。
小笹、いいか、2位のゴールと、お前の区間賞がかかってるからね、最後まで全力で行こう。
最後まで1秒をけずり出す走りで!
そういいランニングフォームで行こう、いいランニングフォームで。
いいか、目は先を見て、怯まず前に!
絶対区間賞獲ってこい!
もう1回だもう1回!!
平川:2号車どうぞ。
蛯原:いま、酒井監督が、東洋大学の、アンカー小笹に……最後の声をかけていま手を挙げた!もう泣きそうな表情です!強烈な向かい風の中!……「怯まず前に」と!……「もう1回だもう1回だ」と言われてまた腕を振っている!なんという力でしょうか!1秒をけずりだしている!もう泣きそうな表情です!3年生の小笹椋!最後のスパートに入りました。「区間賞を狙えるぞ」と、「怯まず前へ」と、酒井監督が、この小笹に声をかけました!
埼玉県三芳町出身の小笹椋!お母さん思いの小笹椋です。恥ずかしそうにこんなことを言っていました。お母さんまどかさんに恩返しをしたい。遠く秩父まで行って、足の形をした、お守りを買ってくれる、優しいお母さんに恩返しをしたいと言っていました。間違いなく恩返しをしている!たとえ箱根を走れなかったとしても、あなたの頑張りを、お母さんは分かっています!
今年も2位を走っている東洋大学、この小笹椋は、2年間2位を経験、2位にはもう達成感がないと言っていました。優勝を知りたい、優勝を知りたいんですと言っていました。優勝に飢えていると言っていました。悔しい2位、しかし小笹椋は3年生!来年があります!2位ですが、来年がある、最終学年、4年生の来年があります!来年につながる、最後のスパート、3年生、東洋大学第2位、小笹椋、懸命に腕を振っています!!
菅谷:昨日は、4年ぶりの、往路優勝も、きょう復路で逆転されました。しかし、東洋大学はこれで、3年連続の2位ということになります。そして、10年連続の総合3位以内ということになります。過去10年連続3位以内は5校、早稲田、日大、中大、日体大、順天堂、平成に入ってからは初めてです。
総合優勝を、ここ、3年は逃してきました。そして今年も逃すということになりました。チームにその、総合優勝の経験者はいなくなりました。しかし、今いる選手たちは、あの柏原竜二さんの走りに、衝撃を受け、あこがれて、入学してきた世代です。そのランナーたちは、東洋の走りを、受け継いでいます。昨日は見事に、往路優勝も果たしました。山本修二の姿もあります。そして、迎える、3年連続の、2位、東洋大学です。さあ、最後、10区任された小笹椋が、今、フィニッシュテープを切って、東洋大学、3年連続の2位、そして、10年連続の、総合3位以内です!
今回、この東洋大学の、この10人のランナーのうち、4年生はただ1人、9区を走った小早川健です。ですから、来年は、この、経験者が9人残る、東洋大学です。