第85回箱根駅伝では、昨年優勝校で全日本覇者の駒澤大、昨年2位で全日本2位の早稲田大が争うとみられていた。駒澤大は大きく遅れた一方、3区でオリンピアン竹澤健介の区間新があった早稲田大が4区で先頭に立ち、ルーキー三田裕介も区間新ペースの快走を見せていた。2位には、2区でメクボ・モグスの区間新があった山梨学院がつけている。
全日本4位の東洋大は、3区で大西智也が9位に順位を上げると、4区もルーキー宇野博之が9位を維持していた。山登りの5区で待ち受けるのは、昨年の都道府県駅伝では1区区間賞、全日本では2区区間賞を獲得したスーパールーキー柏原竜二である。
高橋:さあ1年生、スーパールーキーの1人、三田裕介の走り、いま右手を挙げた!
さあ4年生の三輪真之にいま、早稲田大学が、11年ぶりに、小田原中継所、トップ通過!
さあ1年生の三田裕介、区間新記録達成!55分3秒!村上康則さんの持つ55分20秒、そのタイムを17秒更新しました!早稲田はルーキーの活躍で、2区間連続でこれで区間新記録達成!竹澤に続いて、三田裕介も区間新記録達成です!
(49秒差の2位で山梨学院の高瀬無量が走り出す。バイクに中継が移る。)
町田:9位の東洋大学です。東洋・宇野博之、さあ中継所まではもう残り僅か、この往路の最終5区山登りには、柏原、1年生エースが控えています。今井正人さん、順天堂OBの今井正人さんの区間記録と勝負したい、そう話していた柏原が待つ山登り、さあ、最後の小田原中継所まで残り僅かとなりました、東洋大学です!
(3位で明治大、4位で日体大、5位に帝京大、6位で中央学院、7位で東海大が襷をつなぎ、続いて国士舘大が8位で到着した。)
高橋:そして、第8位がやってまいりました。第8位は、国士舘大学ということになりそうです。国士舘大学、1年生ルーキー、伊藤頑張りました、11位から8位に順位を上げました!川崎に襷が渡っています。そして9位で、東洋大学、宇野から、スーパールーキー柏原いまスタート!柏原が、いま、箱根の山へと挑んでいきました!
箱根の山に挑戦していく、スーパールーキー1年生、柏原が今出ていきました!
(1位早稲田と9位東洋大の差は4分58秒。10位以下、日大、東農大、中央大、学連選抜、大東文化大が続けて襷を渡した後に、バイクに中継が切り替わる。)
村山:バイクどうぞ。
町田:さあ、東洋大学の……柏原が、いま国士舘大学を交わして、一人を抜いて、これで順位を8位に上げていきました。東洋大学、1年生ルーキーの柏原です。
(東洋大学の柏原竜二は、4.2km地点で東海大を追い抜き7位に浮上した。)
町田:村山さん、
村山:はい。
町田:東洋大学の柏原が、帝京大学を抜いていきました。これで3人を抜いていま、函嶺洞門にいま、入っていきました!
村山:はい。すでに順位を3つ上げている、東洋大学の、1年生、柏原竜二。上野さん、1年生積極的ですよね、本当にこの1年生は。
上野:そうですねえ。こういう積極的な選手が、これから出てきてくれると、やっぱ、日本の長距離界もすごい、これから盛り上がってくると思いますし、まあ、ましてや山登りでこれだけ、積極的に行ければ、もう平地とかでもがんがんに行けるので、やっぱ、柏原君はこれからすごい、楽しみですね。
村山:上野さんもどちらかというと、ね、そうやって、世界と戦うために積極性というものをね、大事にする、という風に聞いていますが。
上野:そうですね。やっぱ、積極的に行けない選手はやっぱ、世界では通用しないと思いますし、日本のレベルが世界と比べたら小さいものなので、やっぱ最初からそうやって行って、で結果的にやっぱ行った分だけタイムに繋がってくるので、まあ柏原君みたいな選手が、これから必要だと思いますね。
町田:6位を走る東洋大学の柏原が、今、5位の明治大学、そして4位の中央学院をまもなく抜こうというところ、柏原が驚異的な走りで、ペースを上げていきます。この登りに行きますと一気にそのスピード、力強さを感じます。明治大学の小林優太、そしていま中央学院大学の辻茂樹、その横に並んで辻を抜いて前に出ました。2人を抜きました、これで5人を抜いて、これで前を行くランナーは3人!この柏原の前には3人のランナーということになります。
この柏原が山を登っていく、その足が接地する瞬間というのは、ふくらはぎの筋肉あるいは太ももの筋肉、それがついた瞬間に浮き上がってくるような、それほどの力強さが、後ろから見ているとよくわかります。山に登っていくその背中が非常に逞しく見える柏原です!
村山:このフォーム、碓井さんいかがでしょうか。
碓井:力強くしっかり腕が振れていてね、着地がしっかりしてますよね。グラグラしてないでしょ、着地がピシッピシッと入ってますからね。
矢島:村山さん、
村山:はいどうぞ。
矢島:村山さん、3号車ですが、3号車、現在3位の日体大につけているんですが、カーブがですね、このようにまっすぐ見通しがきくところで、白バイのパトランプが見えます。ということは、どこかの大学がこの日体大の後ろに迫っているということになります。おそらく、東洋大学の柏原が、この1分差中継所であった差が逆転、いま左、画面左の方に見えたでしょうか、いま日体大の竹下の後ろに、はい、東洋大学の柏原が迫っています。前を行く竹下のタイムも非常にいいんです。9kmの通過が、28分39……
村山:あっ、今見えてきました。
矢島:……9kmの通過が28分39秒でした。その後ろに、来ました、来ました、柏原がもう迫ってきました。大平台を前にして、中継所では東洋大学9位でした。現在3位、いま水に、水を含んだ日体大、日本体育大学の竹下の後ろに、東洋大学の柏原が迫っていま大平台です!
村山:はい。いま、3位で日体大竹下が2分28秒差、この竹下は、おととし8区を走りましたが去年は出場できませんでした。さあそして、柏原来ました!1年生。もうかなり表情を見ているとこうあえいでいるようにも見えるんですが、
碓井:力強いですよ、動き自体がねえ。
村山:あの、柏原のレースぶり、顔の表情いつも苦しそうに(笑)見えるんですが。
碓井:苦しいですよね。前半からね。
村山:うわあ……。今井さんの記録、大平台で30分04秒だったんですが、柏原は29分27秒で大平台を通過しました。
今井:そうですねえ。あのーやはり、柏原君、きつい表情になっても、強いですねえ。
(宮ノ下を過ぎ、12.7km地点で竹下に柏原が追い付く。)
矢島:村山さん!村山さん!
村山:はいどうぞ。はい。
矢島:村山さん!3位が変わります。ついに東洋大学の柏原が日体大の竹下を捉えようとしています。いま襷をかけ直しました。脇腹を押さえながらも、この懸命に天下の険を登ってまいりました。さあ、歩道寄りから、並んで、抜きました!柏原、ついに3位に上がりました!東洋大学3位浮上!小田原中継所では、9位でした!ついに、3位にあがりまして6人抜き、ここまで抜かれた4位に下がった日体大の竹下も何とかこらえてきました。おそらくこの23人走っているこの山の中で、おそらく2番目に良い区間記録で走っているものと思われますが、この柏原にはかないませんでした。その差が、5mから、6mつきました。ついに、東洋大学の柏原竜二が第3位にあがりました!
青木:風光明媚な箱根路を彩る四季折々の風景、春は桜、夏は紫陽花、秋は紅葉、そして冬、お正月の箱根路は、今年も大勢の駅伝ファンで埋め尽くされました。天下の険に挑んでいく若人の、青春に懸けるひたむきな情熱が、集まった人々の胸を打ちます。古くから交通の難所として人々を苦しめてきた箱根の山道、先頭で登場したのは早稲田大学の三輪真之です。早稲田大学にとってもかつて山は鬼門とされてきました。しかし、前回は5区6区で区間賞を獲得し、総合2位に大きく貢献、「これからは山の早稲田と呼ばれたい」と、駒野亮太さんは話しました。えんじに白のW、早稲田の伝統を受け継ぐのは4年生の三輪真之、2年連続の往路優勝そして16年ぶりの総合優勝に向けて、いまトップで小涌園前を通過していきました!
さあそして、2位の山梨学院大学、高瀬無量が見えてきました。一時は49秒の差を詰めて、早稲田大学に追いついたんですが、もう一度離されてしまいました。さあここから、トップとの差は15秒、15秒、芦ノ湖のフィニッシュ地点までは残り9.2km、4年連続の山での首位交代はなるんでしょうか、いま山梨学院が2位で通過していきました!
村山:映像3号車です。
矢島:はい。小涌園を前にして東洋大学の柏原が14kmを通過しました。14kmの通過が46分55秒、一番登りのきついこの小涌園前ですから、3分40秒ほど、この1kmかかっています。しかし懸命に両の腕を振って、顔は険しくなっていますが、あ、いま、歓声に応える、そんな余裕もあったんでしょうか、まもなくその柏原が小涌園前にたどり着こうとしています!
青木:東洋大学のスーパールーキー柏原竜二の姿が見えてきました。小田原では9位で襷を受けました。国士舘大学、東海大学、帝京大学、明治大学、中央学院大学、日体大、6つの大学を抜いて、この小涌園前に3位で登場しました。まさに、山をも飲み込まんという走りを見せています!柏原、いまトップとの差1分19秒、そして区間新記録ペースです!今井正人さんがこの小涌園を通過した時は47分08秒でした。そのタイムを上回るペースで、走っていきました。
村山:はい。いま小涌園前、今井さんの区間記録を出した時よりも37秒早いペースで、えー、東洋大学の1年生柏原が通過していきました。
村山:恵明学園を過ぎまして、芦ノ湯へ向けて、登りも終盤になっていますが、こうしてカーブで、あのー、車の隊列、上空から見ますと、碓井さん、あの、後ろも、ねえ、かなり来ているなというのも分かりますねえ。
碓井:分かりますねえ。
村山:芦ノ湯の手前の通称七曲りというあたりでしょうか、今井さん、この辺りがまたきついという風に聞きますが。
今井:そうですね、えーと、山頂に向けて、まだかまだかというような心境になるところはこの辺じゃないかなあと思いますね。
村山:ああ、そうですか。
今井:はい。
村山:そのあたり、登りはもう残り少なくなっていますが、先頭どうでしょうか、1号車どうぞ。
河村:額には若干汗が浮いて、そしてこの白い歯が見えるようになりました。その後ろの2号車の姿が先ほど、ちらりちらり、徐々に大きくなっています。
蛯原:河村さん。
村山:どうぞ。
蛯原:河村さん、その2号車ですが、東洋大学の1年生の柏原が来ました!山梨学院とは、小田原中継所では4分10秒の差があったんです!今並んだ!並んだ!16km過ぎ、東洋大学逆転!東洋大学のスーパールーキー、恐ろしい1年生が2位に上がりました!4分10秒の差を、一気に詰めまして逆転!さあ、この前は、早稲田大学のみです!東洋大学は過去、67回目の出場で、1年生が区間賞を取ったことは一度もありません。5区に限らず、一度もありません。東洋大学の5区区間賞は、過去2回だけ、69年ぶり、昭和15年以来、東洋大学史上3人目の山登りの区間賞は、もう間違いないと言ってもいいかもしれません。区間新記録のペースで走っている、東洋大学の柏原、さあ、見えたと言っていましたが、1号車の早稲田を、果たしてこの後、捕らえるんでしょうか!
村山:東洋大学は、過去箱根駅伝66回出場の中で、往路最高順位は第21回大会の4位です。往路3位以上というのは過去東洋大学ありませんで、碓井さん、もしかすると先頭までという。
碓井:可能性はありますねえ。
(画面には、先頭を走る早稲田の三輪真之が映し出されている。その後ろから、第2中継車の大きな車体がカーブを曲がって姿を現し、続いて、鉄紺色のユニフォームを身にまとった選手の姿をカメラがとらえた。)
村山:さあ、先頭に戻ります。
河村:柏原の姿、はじめてこの1号車から肉眼でとらえることができました!はっきりと、口が開いている、その表情を見て取れます。あのー先頭を行く早稲田の三輪なんですが、この最近のペースをお伝えしておきますと、15kmから16kmが4分10秒、16kmから17kmが4分9秒、渡辺駅伝監督が、ちょっと登りのペースを上げようと話があったんですが。
瀬古:ありましたけどねえ。はい。上がってないようですねえ。まあでも4分以上かかるとですねえ、後ろの勢いにはね、追いつかれますよね。
河村:その表情は、スタート直後からご覧のようにちょっと口を両端ぐっと上げるような。
瀬古:まあ、苦しい顔はそれほどしてないんですけどね、もう、なんか脚が上がんなくてもどかしいっていう感じですねえ。
河村:はい。これまで2回の箱根駅伝では一度は自分の走りにその区間でシード圏外に弾き出される形になりました。そして去年は、9区で、駒澤にトップを譲るという、その悔しさ、渡辺康幸駅伝監督がよく語っていた、その、「誰よりもこの箱根の悔しさを知る」と、いうこの三輪なんです。そして4年生、最後の箱根駅伝、竹澤と共に歩んできたその4年間、「僕はできれば、その竹澤に優勝という文字をプレゼントしたいんです。一緒に喜びたいんです」と、その言葉を発しています。その三輪にとっては、ここはひとつ、苦しみを乗り越えて、自分のペースをもう一度築きたい、その箱根山中になりました。
村山:さあ、まもなく登りが終わります。芦ノ湯を目指す、先頭早稲田、さて、この中継はNTT東日本神奈川グループの協力により、ご覧のNTT双子無線中継所を、箱根の中継センターとして放送しております。
平川:上空、綺麗な青い空が広がっていますが、さあまた迫ってきましたか?
河村:またさらに2号車、その姿が大きくなりました。いま手元で計りましたら先頭の早稲田の三輪、そして追ってくる2位の、東洋大学柏原、その差が13秒です。13秒ですからおよそ80メートル弱というところまで来ました。
瀬古:そうですね、でも見えてからね、極端には来ないですからね、あのー柏原君も、まあ結構脚にきてるかもしれませんね。はい。
河村:さあ、その三輪が言っていた、まず下りの切り替え、駒野亮太さんのアドバイスは、最高点がこの後あるんです、もう一度登りがあるんですが、この下りが大事だと言っています。
瀬古:はい。一気にこう下ってって、その勢いで登るということですよね。
河村:ここで、まだ登りのギアではなくて下りのギアに切り替える、
瀬古:まあでも、まあ結構切り替えてますね。大丈夫ですね。
河村:逆に柏原はいかがですか?
瀬古:はい。ちょっと見えないんですけどねえ、あ、ちょっと、下ってないような気がしますねえ~。
河村:そうなんです。下りのペースが明らかに変わったこの三輪、追ってくる柏原、
瀬古:離れましたねえ~。
河村:ギアがそんなに変わりません。
瀬古:はい。離れました。
河村:およそ80メートルのその差から、ちょっと離れました。ギアーチェンジに成功の三輪、そしてギアをどう入れ替える、追ってくる柏原ということになります!
村山:いま、芦ノ湯の前を、先頭早稲田、そして、今2位で柏原、すでに7人抜いて2位まで上がって、さああとは先頭を捉えるかと、いうところ、芦ノ湯で12秒差……小田原中継所では何しろ4分58秒の差があったんです。
村山:さあ、1号車です。
河村:三輪と柏原の差が手元で7秒差、ということで50mを切りました。下りで一気に離して、でまた登りに入って柏原が詰めてきた。
瀬古:登りで追いかけられましたね。
河村:登りは明らかに柏原ですね。
瀬古:さあ~ここからですねえ。
河村:さあ、いま874mの最高点を越えます!ここから下りに入る、果たして三輪のギアチェンジのその成功は生きてるんでしょうか、柏原が下りで先ほど芦ノ湯の地点では苦労しました。
瀬古:はい。あのー、柏原君もね、下りは得意な方ではないですねえ。
河村:そうですか。
瀬古:はい、苦しんでますねえ。
河村:あの、高校駅伝の福島県大会では、1区がどうも、起伏が厳しいところで、ただこの、柏原は、その県の予選の時に1区を難なくこなした、そこに登り、そして山の起伏の適性を見出したという、佐藤監督代行であります。
詰めてきました。下りに入ってもここで詰めてきました!柏原が、さあどうだ、仕掛ける、もう視界ではっきり捉えて、口は相変わらず両端がぐっと広がって、苦しそうに呼吸を激しく繰り返しています!三輪の表情も変わりました!三輪の腕の振りが大きくなった!前方から初春の日差しを受けて、両者の表情、その苦しみがはっきり映し出される、
さあ、詰めた!柏原が詰める!その差1メートルない!1メートルない!後ろにつく!そして柏原は、いま横に出る!歩道寄りに出る!並ぶことはするか、そして三輪はついていく、柏原が若干前に出た、抜き去った!5区19km過ぎ、見事に首位交代!先頭に躍り出たのはスーパールーキー、柏原です!さあ先頭柏原、東洋です!
村山:いやー、ついに山で大逆転4分58秒差、首位が変わりました、東洋大学が、1年生柏原、先頭に押し上げています。第85回箱根駅伝です。
河村:その柏原は快走が続いています。先ほどの20kmの通過が、今井正人さんの区間記録を40秒上回るペース。
瀬古:あの、三輪君がね、少し詰めてきましたよ。
河村:そして三輪が詰めてきましたねえ。下りに入って、本格的にギアを入れ替えて、
瀬古:少し、元気になってきましたねえ。
河村:離されてまた詰めてきました。
瀬古:はい。随分ねえ、近づいてきましたねえ。
河村:はい。
瀬古:はい。逆にですねえ、あの、かしば、柏原君の方が、反っくり返ってきましたねえ。
河村:なるほど。
瀬古:はい。下りなのに、あのー、顎がちょっと上がってきましたからねえ。
河村:はい。
瀬古:はい。
河村:明らかに、一度離された三輪、そのペースが、どうでしょう、下りを最大限に生かして、よく下りは身を投げ出して、
瀬古:はい、これはもう、追いつきますねえ。
河村:追いつきますか。
瀬古:勢いが、全然違いますねえ。
河村:また、ふたたびの首位交代ということになるんでしょうか。
瀬古:なぁりますねえ~。はい。
河村:ええ。さあ、柏原は当然登ってきた、その最高点までのあれだけのペースアップのダメージがどれほどなのか、よく、登りの、
瀬古:はい。まあねえ、余力は残ってないと思いますけどねえ。
河村:エネルギーを登りで使いすぎるとこの下りでまったく足が動かない、上半身がよく落ちていくように行くので足は合わせるだけだというこの辺りです。
瀬古:あのですねえ、もう足にねえ、来てますからねえ、はい、もう。
河村:また詰めましたね?
瀬古:詰めました。詰めました。今のこの勢いでは詰まりますねえ。
河村:明らかに、柏原のペースが上がりません。そして三輪のペースは快調です!明らかにそのピッチが違います!一度抜かれた早稲田の三輪、一度先頭に立ったこの東洋大の柏原、このスーパールーキー1年生と、そして最後の箱根に懸ける4年生の意地のぶつかり合いは、またさらに差が詰まってきました!10メートルを切りました!一度は15メートル以上に開いたこの両者の差、下りを利して、4年生の早稲田三輪が、またこの1号車から、白のWの文字が大きく大きくなってまいりました!
逃げる鉄紺のこのユニフォーム東洋の柏原、そして今度は日陰に一度入り日向へ、柏原の表情は苦しくなった!首が左に傾くようになりました!そして今度はこのカーブを左にとってその瞬間に、1号車からこの両者の差、詰まりました!10メートルを切った!もうその差は5メートル!5メートル!柏原が見た!一度は奪われた、そのトップを、4年生の三輪が、いま、1年生柏原を抜き返した!抜き返します!早稲田がまた首位に立つ、ルーキーの柏原はついていく、ただ下りのギアチェンジで明らかに滑らか、スムーズなのはこの三輪でした。
瀬古:そうですね、はい、まあここでもね、つければ大丈夫ですけどね、離れるようだと、はい、もう余裕がないでしょうね。
河村:はい。早稲田は去年に続いての往路優勝を目指します。対するこの、東洋大学は、箱根駅伝50回以上の出場を果たしている大学11個あるんですが、この11個の中で、往路、復路、総合、いずれの優勝も果たしていないのは、この東洋だけです。さあ、ここで柏原がちょっと、半歩前に出ました。今度はついていくのがこの三輪、この、柏原の21kmの通過が区間記録を36秒上回るペースです。あの今井正人さんの生み出したその区間記録を、塗り替えるその可能性が大幅に、十分残っている、また三輪が今度は外側からこの柏原を抜こうという構えです。
瀬古:そうですね。あのー、余裕度からすればですね、三輪君の方があるような気がしますねえ。
河村:ある。でも柏原がこのついていっている、この気力いかがですか。
瀬古:はい。これはですね、あの、やはり走力が違いますからねえ、あの、下りで三輪君が勝つんだったら離されちゃ駄目ですね。
河村:はい。
瀬古:平地になればやっぱり、柏原君の方が上ですね。
河村:あとはまず早稲田の場合には、ちょっと気が早いんですが明日に目を転ずれば、6区に区間記録を塗り替える、これを狙っている加藤創大という選手がいます。その点でも、やはりなんとか、その6区の加藤に繋ぐためにも、この三輪が、楽な位置で進めていきたい。
瀬古:そうですね。秒差で行きたいですね。
河村:はい。この両者のつばぜり合い、どうでしょう、まもなく箱根の大鳥居を迎えるんですが、そこで両校2校が並んで展開するという。
瀬古:はい。あの、あと1km半ぐらいでね、微妙にあの登りますからね、そこで差がつくかもしれませんね。
河村:さあ、柏原が今度は前に出ました、東洋大学柏原、三輪がついていきます!柏原の表情は相変わらず眉間にしわが寄っている、いま視線を落としました!三輪は両手をだらっと下げてリラックス、柏原が出た!柏原が再スパート、そして、三輪がついていけない!なんというこの5区、山の中の首位交代でしょうか。一度抜いたこの東洋、そしてその後に、早稲田がなんと抜き返し、そして今度はまた突き放してこの東洋の柏原!両者の差が、また10メートルから15メートル広がっています。
瀬古:そうですね、まあ、平地の走力はね、あの、柏原君の方が上ですからね。
河村:いやあ、それにしても柏原、これスタミナの問題ではありませんね、明らかにちょっと下りが苦手なだけ。
瀬古:ちょっとね、苦手だったですねえ。あの、反っくり返ってましたからね。ただ、平地はもう普通に戻りましたねえ。
河村:さあ、いまその箱根の大鳥居を越えたところ、先頭は東洋の柏原、また奪い返しています!
村山:はい。このまま、初の往路優勝なるんでしょうか、第85回箱根駅伝です。
河村:首位を奪い返した、1年生です。東洋大学の5区を任された、柏原竜二。相変わらず、その今井正人さんが持っている区間記録1時間18分5秒、この記録を40秒ほど上回るペース。このままいけばほぼ間違いなく区間新記録ということになりますねえ。
瀬古:はい。
河村:そして、初の往路のこの文字を運んできたのは、東洋大学に対して、この5区の柏原竜二ということになりました。一度下りに入ったところで三輪がスパート、そして柏原がスピードが上がりませんでした。そこで早稲田に抜き返され、そのあと東洋の柏原、またすさまじい記録でその首位を奪回しています。先ほど佐藤監督代行が、「区間新記録も狙えるぞ」、その声ははっきりと聴きとることができました。これまで、小田原中継所、トップとは4分58秒差、9位の通過でした。なんと、5分近くを山で取り返す、とてつもない人材の誕生です。
瀬古:はい。そうですねえ。はい。やはりねえ、山を制するとね、優勝できるんですよね。
河村:そうなんです。実は東洋大学は、50回以上の出場を箱根駅伝で果たしている11大学で、ただ一つ、往路、復路、総合、いずれの優勝も経験していません。初めての、念願の優勝の文字、それを運んできたのは、ゴールデンルーキー、柏原竜二です!
平川健太郎アナウンサー:果たして、ここまでの激戦が、箱根山中で行われたことはあったでしょうか。その主役は東洋大学1年生、柏原竜二です。かつて箱根山中の杉並木が、東海道を行く旅人の道標になったように、今、東洋大学1年生、柏原竜二を取り囲む沿道の声援が、芦ノ湖への往路優勝、そして栄光の道を照らしだします。そして、あの、今井正人さん、山の神の区間記録を塗り替える、その可能性が非常に大きくなってまいりました!
東洋大学、往路を制すれば、初優勝になります!過去の最高順位は、4位、往路を制すれば初めての栄冠を手にすることになります!その主役は1年生の柏原竜二、果たして、あの、山の神、今井正人さんを超えて、往路を制する結果になるでしょうか。さあ、まもなく、残りは、70メートルを切ります!いま、沿道の小旗が大きくしなります!
山の神を超える、山の神童誕生!その名は、柏原竜二!!
東洋大学、栄光の初タイトル!往路初優勝!!
東洋大学、往路を制しました!1年生柏原竜二、いま、花火が打ちあがりました!タイムは、1時間17分17秒、堂々たる区間新記録達成です!
さあ、その後ろは、早稲田です!4分58秒の差をひっくり返されましたが、いま、2位での、早稲田大学フィニッシュ!トップとの差は、22秒!東洋大学との差は22秒で、明日の復路を迎えることになります。2年連続の往路優勝は成りませんでしたが、2位という結果でいま、往路を終えました早稲田大学、この早稲田の4年生の三輪、そして東洋大学1年生の柏原、この2人のデッドヒートが、箱根山中を熱くしました。見事に区間新記録を達成したのは東洋大学1年生柏原です!
いま、トップ東洋大学、そして22秒差で2位早稲田までがフィニッシュしています。