ウクライナ生まれのユダヤ系ロシア人で、物理学者であり柔道の達人でした。
パリのソルボンヌ大学で物理学の博士号を取得し、ノーベル物理学者の共同研究者にも選ばれた、優れた頭脳の持ち主です。
また、柔道ではヨーロッパ人として初めて黒帯を取得するなど、運動能力にも長けていました。
第二次世界大戦中に負った膝の重傷を、手術せずに自力で治すことを決意したことが、このメソッド誕生のきっかけです。
神経学や解剖学、生体力学、人間の発達などを独学で研究し、脳と神経の学習システムを利用することで、見事にけがを克服しました。
この経験から、脳と体のつながりを深く探求し、数百種類ものユニークな動きのレッスンを開発しました。これがフェルデンクライスメソッドの始まりです。
彼は晩年、この革新的なメソッドを世界中に広め、彼に学んだ多くの人々が「プラクティショナー」として、さらにメソッドを普及させました。
現在、フェルデンクライスメソッドはアメリカ、ヨーロッパ、オセアニアなどを中心に盛んに実践されており、日本でもアスリートや音楽家、医療関係者など、幅広い分野で応用されています。
また、近年では一般の愛好家も増え、カルチャースクールやフィットネススタジオなどでもレッスンが行われるようになっています。
フェルデンクライスメソッドは、筋力に頼らず、最小限の力で効率的に動くことを目指します。
これは、体の動きを真似るのではなく、自分の感覚に注意を向けることで、一人ひとりに最適な動き方を発見する学習法です。
シンプルな動きを繰り返すことで、脳に多様な情報を送り、動きの選択肢を増やすことで、無意識に身についた体の「癖」や「規定化」された動きから解放され、肩こりや体のこわばりといった不調を改善できるのです。
グループで行うATMレッスンでは、ひとつの動きをゆっくりと何度も試行することで、常に最適な動きを選べるようになることを目指します。
このメソッドは体だけでなく心にも良い影響をもたらします。
体と心は一体であり、身体的な変化は精神的な変化も引き起こします。動きが良くなることで自己イメージが向上し、自信が生まれるのです。
現代にこそ必要なメソッド
現代社会は、過度なストレスやプレッシャーに満ちており、多くの人が心身の緊張や不調を抱えています。
慢性的な疲労、体の痛み、不眠、メンタル面の悩みは、私たちが無意識のうちに体に力を入れていることが原因である場合があります。
フェルデンクライスメソッドは、不必要な力を抜く練習を通して、心身の緊張を解きほぐします。
また、他人と比べることなく自分自身と向き合うため、精神的な解放感も得られます。
このメソッドは、外部からの大量の情報や価値観に縛られることなく、「自分は本当はどうしたいのか」という内なる声に気づくきっかけを与えてくれます。
自分の感覚を研ぎ澄まし、楽な動き方を探求することで、自己理解が深まり、自分が本当にやりたいことを見つけ、実現する方法を模索できるようになります。
自分自身を理解するためのツールとして、フェルデンクライスは非常に有効です。
フェルデンクライスでは、ゆっくりとした、きわめて小さな動きで神経に働きかけます。
たとえば、股関節が正しい位置に収まることで、周囲の筋肉や骨盤底の緊張がやさしくほどけていき、今まで力んで硬くなっていた神経の通り道がやわらかく整い、深い呼吸が自然と身体に満ちていくのを感じるでしょう。
「心地よい動き」は、神経系に直接「大丈夫だよ」と伝えるメッセージです。
そのメッセージを受け取った神経は落ち着きを取り戻し、副交感神経が優位になります。
すると、心身ともに安心感が広がり、呼吸が深まることで、本来備わっている回復力が働き始めます。
私たちは、意識的に体を動かすことで、脳に新しい神経回路を構築しています。
レッスンでは、あえて小さな動きに集中することで、普段は気づきにくい身体の感覚を呼び覚ましていきます。
「ただ形をとる」のではなく、「なぜこの動きが必要なのか」「骨や筋肉、そして神経に何が起きているのか」。
ひとつひとつ丁寧にご自身の体と対話することで、あなたは動きの本質を理解し、やがて自分の感覚だけを頼りに、最も快適な姿勢や動きを見つけられるようになります。
それは、特定のポーズや動きをマスターすることとは違います。
自分の体と神経に優しく問いかけ、その声に耳を傾けること。
フェルデンクライスは、あなたが自分自身の心と体のプロフェッショナルになるための、自己探求なのです。
「重力に身を委ねる」とは、ただだらりとすることではありません。
それは、私たちが持つ体の土台、つまり骨格を最大限に活用し、余分な力を手放すことです。
無意識のうちに私たちは、重力に逆らって身体を支えようとします。
肩や首、腰に力が入り、体が「頑張っている」状態が続くと、神経は絶えず緊張信号を受け取ります。
この緊張が続くと、私たちの脳は「この姿勢が普通だ」と誤ったパターンを学習し、体はますます不自由になっていきます。
フェルデンクライスメソッドでは、この無意識のパターンに気づき、神経に新しい選択肢を教えます。
フェルデンクライスメソッドは、体の動きを通じて脳に新しい学習を促します。
「支え」を再認識する
重力は、私たちを押しつぶす力ではなく、常に私たちを支え、包み込んでくれる力です。
この支えを骨格で感じ取ることで、無駄な筋肉の緊張を解き放つことができます。
足裏がやわらかく大地とつながる感覚、マットの上に横になった時の床の支え、骨盤が重力にゆだねられる感覚。
これらの感覚を丁寧に探求することで、身体は「自分で頑張りすぎなくても大丈夫」という安心感を覚えます。
この安心感が神経系に伝わると、体は自然に緩み、呼吸が深まります。
上下のバランスを取り戻す
重力に身を委ねると、体はただ沈むだけではありません。
足や骨盤が大地にやさしく降りると、その土台からの反作用で、背骨は上へと自然に伸びていきます。
この「下向きの力」と「上向きの力」のバランスがとれると、身体は波のようにしなやかに動き、全身の運動感覚が向上します。
これは、努力して伸ばすのではなく、重力との調和によって生まれる、本質的な「自由さ」です。
無意識のパターンを書き換える
私たちは過去の経験から、さまざまな動きの「思い込み」を体に染み込ませています。
それは、無意識にくり返してきた習慣や姿勢の癖、さらには幼少期に学んだ動きのパターンにまで及びます。
フェルデンクライスでは、この無意識のパターンを体に刻まれた記憶として捉えます。
私たちはこの記憶を消し去るのではなく、新しい快適な動きを繰り返し体験することで、無意識のパターンに新しい選択肢を作ります。
「こうでなければならない」という思い込みから、「こうすることもできる」という選択の自由へ。
あなたが自身の身体に新しい地図を描き、いつでも快適な道を選べるようにする旅。
それは、ただ体を動かすことではなく、神経と対話しながら、あなた本来の自由な動きを呼び覚ますプロセスなのです。
性別、年齢、経験問わずご参加いただけます
マットの上に寝転がりながら、ゆっくりやさしく体を動かしていきます
上下動きやすい服装でお越しください(スカート不可)
畳のお部屋にて行います
ヨガマットはこちらで準備しています
マットの上に横になるため冷えを感じる場合があるかもしれません。心配な方は上着をご用意ください。
▪会場 埼玉県所沢市花園2-2400-4 ラーク所沢1階 和室1と2にて 04-2943-2110 駐車場完備
▪レッスン担当
矢崎幸子 やざきさちこ
090-8646-3073
フェルデンクライス スチューデントティーチャー
▪日時
2025年12月10日(水) 11:20~12:30
2025年12月24日(水) 11:20~12:30
▪定員 各日 6名
▪参加費 1レッスン 1,000円 (当日お支払い)
▼お申し込みはこちらのフォームから▼