#9 M5Stamp Picoを用いた測定ユニット

M5Stamp Picoを用いた測定ユニットを作製しました

2021年8月に登場したM5Stamp Picoを用いた測定ユニットを作製しましたので,紹介したいと思います。個人的に使用する機能を中心に実装したので,その機能については偏りがあるかと思いますが,是非ご覧ください。

測定ユニットの特徴

主な特徴は以下の通りです。

①Wi-Fiを用いたクラウドへのデータ送信・蓄積(*バックアップとしてmicroSDを使用することができます)

②様々なSDI-12センサを最大4本まで使用可能

③スマホ・タブレット・PC等による端末の設定

①Wi-Fiを用いたクラウドへのデータ送信・蓄積

本ユニットはWi-Fiに接続することにより,クラウドにデータを送信・蓄積します。また,測定間隔の制御にNTP(Network Time Protocol)を活用しているため,Wi-Fiへの接続が必要となります。

測定データはGoogleのサービスであるGoogleスプレッドシート上に蓄積され,グラフは自動で生成されます(カスタマイズ,再生成も可)。複数のユニットを使用したい場合も,ユニット別にデータが保存されるためデータ管理が簡単に行うことができます。また,複数ユニットのデータは,同一シート内の別のタブ(図の下,モザイク部)に保存されているので,アクセスも容易に行うことができます。

②様々なSDI-12センサを最大4本まで使用可能

本ユニットは,SDI-12センサを最大で4本まで接続・測定することができます。使用可能なSDI-12センサは現時点(2021年10月)で以下の通りです。

①Digital TDT sensor (Acclima社)

②Digital True TDR sensor (Acclima社)

③WD-5 (A・R・P社)

④TEROS-21 (METER environment社)

③スマホ・タブレット・PC等による端末設定

本ユニットはプログラミング不要で,スマホ等から端末の設定を行うことができます。所定の手順で端末をウェブサーバーモードへと移行させることにより,スマホ・タブレット・PC等から端末の設定画面を開くことが可能です。主な設定項目は以下の通りです。

機器情報:機器のバージョンや現在の設定を閲覧するページ

直近の測定結果:直近の測定結果を表示するページ

Wi-Fi:周囲の接続可能なアクセスポイントをスキャンし,接続設定を行うページ(手動入力も可)

測定間隔:機器の測定間隔を変更するページ(1分,5分,10分,20分,30分,60分から選択可)

⑤SDI-12使用センサ設定:測定に使用するセンサのアドレスを設定するページ

⑥SDI-12センサアドレス変更:SDI-12センサのアドレスを変更するページ(1本接続時のみ可)

⑦アップデート:ファームウェアを更新する際に使用するページ

⑧測定ログのダウンロード:microSDカードに保存された測定ログ(.csv形式)をダウンロードできるページ

現時点(2021年10月)での課題

今後実装したい機能や現時点でのバグ等について紹介します。

M5Stamp PicoのGPIO25は,Wi-Fi使用時にアナログ入力不可

おそらくハード側のバグと考えられますが,M5Stamp PicoのGPIO25は,WiFi.begin()宣言後にアナログ入力を受け付けません。これは,主電源を切断する以外の方法(例えば,Deepsleepからの再起動)ではリセットされず,1度宣言すると,電源が切断されるまで継続されます。ユニット完成後に判明しましたので,基板上のスロットが1つ使用できなくなりましたが,予備スロットを設けておりましたので,そちらで代用しています。

測定ログのダウンロードが遅い

測定ログのデータ量が増加すると,急激にダウンロード時間が増加することが分かりました。より効率的なダウンロード手法について検討中です。

クラウドへのデータ送信失敗時のデータを次回以降に再送する機能

今後実装したい機能として,クラウドへのデータ送信に失敗した際にmicroSDカードに保存したデータを再送する機能です。この機能を実装することで,欠測した際の処理をスムーズに行うことができると考えています。

電源供給用のUSBスロットの実装,DC-DCコンバーターの実装

現在このユニットは5Vの電源により動作しますが,バラ線での接続形式となっています。より簡単に使用するために,電源供給用のスロットを追加実装したいと考えています。また,ソーラーパネル+鉛蓄電池による自給型を想定し,12V電源に対応可能なDC-DCコンバーターを実装したいと考えています。

⑤基板の小型化

本ユニットの基板サイズは13.6 × 8 cmであり,個人的にはやや大きく感じています。基板上のパーツの密度を向上させることによる小型化を検討しています。

M5Stamp Picoを用いた測定ユニットの紹介は以上となります。