6/19(水) 17:00- 

弾性体の摩擦の有限要素解析

大槻道夫氏 (阪大基礎工) 


固体摩擦の古典法則であるアモントン則は、最大静摩擦係数が圧力や、物体のサイズ、形状によらないことを意味する。しかし近年の研究で、弾性変形をする物体では、この法則が必ずしも成立しないことがわかってきた。このアモントン則の破れの原因を調べるために、我々は剛体基板上の弾性体の摩擦の有限要素シミュレーションを実施した[1,2]。その結果、弾性体全体が滑る前に摩擦界面において局所的な前駆滑りが発生し、それがアモントン則の破れを引き起こすことを発見した。また、この現象の有効1次元モデルの解析によって、アモントン則の破れを記述する理論式を導出することに成功した。講演では、これらの成果に加えて、接触条件や並列化を含む我々の有限要素シミュレーションの詳細についても紹介する。


[1] W. Iwashita, H. Matsukawa, and M. Otsuki, Sci. Rep. 13, 2511 (2023)

[2] W. Iwashita, H. Matsukawa, and M. Otsuki, Tribol. Lett. 72, 25 (2024)