3/13(水) 17:00-
TensorMC: テンソルネットワーク表現に基づくマルコフ連鎖モンテカルロ法
藤堂眞治氏 (東大院理)
多くの古典・量子格子模型や量子回路はテンソルネットワークとして表現することができる。
しかしながら、高次元のテンソルネットワークの厳密な縮約には指数関数的なコストがかかる
ため、これまで特異値分解に基づく低ランク近似が広く用いられてきた。一方、ランダムなサ
ンプリングに基づく縮約手法も提案されているが、素朴な重み付きサンプリングでは、分散が
ネットワークのサイズとともに発散し、やはり指数関数的なコストがかかってしまう。この講
演では、テンソルネットワーク表現を用いた新しいモンテカルロ法TensorMCを提案する。こ
の手法は、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いてテンソルの基底変換を確率的に行うものであり、
テンソルネットワーク法の高い精度を維持しつつ、低ランク近似の有限ボンド次元に起因する
系統誤差を完全に取り除くことができる。さらに、この手法では、従来のモンテカルロ法では
困難であった負符号問題のある系を扱うことも可能である。本講演では、マルコフ連鎖モンテ
カルロ法の収束速度や負符号問題がTensorMCによってどのように改善されるかを解説する。