10/16(水) 17:00-
ガラスダイナミクスの機械学習 – グラフニューラルネットワークとその周辺から最近の発展まで
ガラスとは、液体を急激に冷やすことによって結晶になる暇なく、乱雑な構造を保ったまま固まった状態である。その乱雑な構造には特徴がなく、その構造情報から構造変化が起きやすい領域を同定することが重要な課題であると考えられてきた。
近年、ガラス物質の構造的特徴の抽出あるいはダイナミクスの予測に、機械学習・深層学習の手法の有効性が示されている。特に、4年前にGoogle DeepMindのグループが利用を提案したグラフニューラルネットワーク (GNN) [1] は、その予測精度の高さで注目を集めた。
今回の講演では、講演者が一部寄与した [2] グラフニューラルネットワークの予測モデルの発展を、他の類似タスクに対する機械学習モデルとの関連、長短を明らかにしつつ紹介する。さらに、講演者のシミュレーションのデータセットの上に共同で実施された各種の学習手法の予測性能評価 “GlassBench” [3] や 関連研究の最新動向 [3,4] ,そしてさらに最新GPUなどの学習性能評価 [5] などについて議論する。
[1] V. Bapst et al., Nature Physics 16, 448-454 (2020).
[2] H. Shiba et al., J. Chem. Phys. 159, 084501 (2023).
[3] G. Jung et al., arXiv:2311.11452v2 (2024).
[4] 芝 隼人, 固体物理 Vol 59, No.8, 35-46 (2024)
[5] 芝 隼人 et al., 情報処理学会研究報告 Vol.2024-HPC-195(16),1-9 (2024).