セミナーシリーズ

「物理学・応用数学の数値計算最前線」

コンピューターの急速な発展と機械学習やテンソル・ネットワークに代表される新しい計算概念の登場に伴って、計算物理学の分野ではさまざまな数値計算手法が提案されています。また、数値計算法を専門とする応用数学の分野でもモデルが持つ対称性を壊さない計算手法など、洗練された計算手法が開発されています。しかし、他分野での数値計算法の発展にはなかなか追いつけないのも事実で、研究者が悩んでいる問題でも実は既に優れた計算手法が提案されているかもしれません。そこでサイバーメディアセンター大規模計算科学研究部門(計算物理学)とコンピューター実験科学研究部門(応用数学)が共同で、最前線の数値計算手法を専門家に易しく解説していただく連続セミナーを企画しました。このセミナーが分野横断的な知識の共有に役立つことを期待しています。

セミナーは原則として月一回、水曜日の夕方を予定しています。案内をご希望の方はメーリングリストにご登録ください。

Zoomによるオンラインで行います。場合によってはハイブリッドになります。

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11/11(月) 17:00- 

動く界面を(数値的に)追いかける

アブストラクト:シャボン玉,滴り落ちる水滴,水面上の油滴など,界面が時々刻々と変化する現象は身の回りに溢れています.これらのような,時間発展する界面のダイナミクスを調べる問題は移動境界問題(自由境界問題)として知られており,物理現象を調べるのみならず,数学的にも,あるいは画像処理のような応用的問題意識からも盛んに研究されています.移動境界問題を数理的立場から調べるために多くの数理モデルが提案されていますが,これらの数理モデルに共通する特徴として,界面の平均曲率などの「幾何学量」が含まれることが挙げられます.これは,今までによく調べられている偏微分方程式に比べて解析する難易度が格段に上昇することを意味しており,どのようにすれば良い数値計算ができるか,今でも未解明の点が多いです.本講演では,移動境界問題に対して今まで提案されている数値計算手法を概観するところから始め,講演者による最新の研究成果まで,ざっくばらんにお話しさせていただく予定です.

世話人   降籏 大介、吉野 元、宮武 勇登