今回、日本の知人の皆様が立ち上げた中国語教室の教師をお引き受けすることになりました。同時に有志の方々から新しい中国語教室に相応しい「ネーミング」についてお尋ねがあり、私は直ぐに自分が生まれ育った雲南省の古くからあるお茶の交易路「茶馬古道(ちゃばこどう)」の名称が思い浮かびました。
茶馬古道は雲南に産するお茶をチベットまで運ぶ広く都市を結ぶ交易ルートでした。私は中国南西部の古都、麗江で生まれました。麗江は茶馬古道の古い交易の要所として発展し、イ族、チベット族、ナシ族、バイ族などの少数民族が多く暮らす都市として栄えたとても綺麗な街です。
子供の頃は豊かな自然を楽しむとともに大好きな読書に夢中でした。当時の私は、外のもっと大きな世界に出て行くことを夢見ていました。運命に従って、私は中一の時 麗江を出て昆明へ、更に2004年、日本人の夫と共に海を渡り日本に来て20年以上になります。その間に日本語を学び、中国語教師の資格を取得し市民講座や日中友好協会主催の中国語教室等で中国語を教えてきました。
今、故郷を想うと、茶馬古道は、お茶、塩、医薬品、毛皮、その他の日用品を販売する通常の貿易ルートであるだけではなく、古代中国の漢文化と少数民族の文化交流のルートでもありました。多くの少数民族は茶馬古道のおかげで飲茶は日常生活の一部となっており、本土の漢民族はヒマラヤの岩塩を味わい、モンゴルやチベットの獣の皮で作られた防寒着を着ることができます。茶馬古道は商業貿易路であるだけでなく、文化交流の古代の道でもありました。
中国語の教師になって10余年、言葉を学ぶことで人は異文化に触れ世界が広がっていく様子から、茶馬古道を想い浮かべるものがありました。
このコラム『茶馬古道を想う』では、雲南省を中心とした少数民族の歴史と文化(飲茶、料理、最古の象形文字)、豊かな自然なども紹介したいと思っています。