最も簡易で多用され、臨床工学技士が関与する機会の多い圧補助による機器です。循環器領域では必要不可欠の補助循環装置です。多くの場合①不整脈の発生頻度が高く、頻脈傾向にある患者、②手術室、カテーテル室、ICU・CCUなどのノイズ環境の厳しい場所で使用されます。そのような状況下でも確実な駆動信号を確保し、適切な信号源、トリガモードを選択して心収縮期にはバルーンを収縮させて収縮期圧を低下させ、心仕事量の減少を図り、心拡張期には拡張させて拡張期圧を上昇させ、冠血流量の増加を図ることで心機能の改善を図るために安定に動作させることが臨床工学技士に求められています。
より高度な心不全症例に比較的血液損傷が少ない遠心ポンプと膜型人工肺を用い、大腿動静脈から行う補助循環法です。全てヘパリンコーティングされたシステムでは、ACT値200秒前後で維持が可能であり、また数分間で充填可能なシステムも開発されました。従来の薬物療法、IABPでは救命が難しかった症例の救命率の向上に寄与しています。PCPSの緊急オーダー後は、速やかに補助可能な状態にすることが臨床工学技士に求められています。
IMPELLAは、経皮的または経血管的に左心室にポンプカテーテルを留置し、左室補助を行う心内留置型ポンプカテーテルです。ポンプカテーテルに封入されたインペラと呼ばれる羽根車が回転することにより、左心室内にある吸入部から血液を脱血、カニュラを経て吐出部から上行大動脈内に順行性に送血します。
当院の臨床工学技士は、IMPELLA導入時のセットアップ、患者搬送、集中治療室(ICU)での機器安全使用チェック・患者管理を行い、他職種と共に離脱まで携わっています。
難治性重症心不全の治療として、補助人工心臓による機械的補助循環があります。当院は心臓移植認定施設であり、補助人工心臓の植込み手術、患者管理を行っています。近年では小児用補助人工心臓であるEXCORの患者管理も行っています。臨床工学技士の業務は主に駆動装置の安全管理であり、安全な機器管理を通じて患者サポートをしています。また、植込型補助人工心臓に関しては、植込み手術から入院中の患者教育、退院後のフォローアップ外来までのプロトコルを作成し、より安全な機器、患者管理を目指しています。