2007年4月1日に改正医療法が出され、医療機器安全管理責任者の選任、医療機器医療機器の保守点検ならびに研修の実施について明記されました。
医療機器安全管理責任者は、①『医療機器の保守点検の計画策定と保守点検の適切な実施』、②『医療機器の安全使用のための情報収集と改善策の実施、③『医療機器の安全使用についての研修を従業者に実施 』の業務を行わなければなりません。
機器管理では、上記①~③の業務に加え、医療機器の所在管理(貸出・返却)、備品管理(購入・廃棄)、環境整備や安全情報の通達など多岐にわたり活動しています。これらの業務によって臨床現場へ信頼性の高い機器を過不足無しに供給するとともに、正しい資産管理、経済効率性、安全性を高め役割を果たしています。
医療機器安全管理室は、2007年に国際医療センターが開院した際に、2700台の医療機器を管理するため誕生しました。医療機器の管理台数は、2008年に3000台、現在では4000台を超えています。これらの医療機器の状態を1台1台把握し、病院の医療機器安全を守っています。
医療機器安全管理室で、中央管理体制により医療機器を管理しています。中央管理体制は、医療機器のに係る評価・選定、保守管理、廃棄までの一貫した管理を行え、医療機器の適正な使用と患者に対する安全対策を推進しています。さらに医療機器の稼働率の把握が容易となるため、必要台数を適材適所へ貸出が可能となります。
毎日の巡回と声掛けを徹底し、機器のことを何でも相談できる臨床工学技士を心がけ業務に励んでいます。
平日(月~土)は、日勤(8:00~17:00):3~4名、遅番(12:00~21:00):1名が勤務し、夜間・休日は1名が当直し24時間365日対応にあたっています。
日勤業務は、午前中に返却された医療機器の終業点検・定期点検・点検依頼機器の点検、午後は輸液シリンジやモニタなどの安全巡回、納入装置の職員研修を行っています。
遅番業務は、安全巡回・人工呼吸器の終業点検、病棟対応を行っています。
稼働率を高めるためには、毎日の稼働状況を把握するとともに使用後の速やかな返却と点検整備を徹底し、貸出可能状態に対応することが重要です。当院では自主開発の医療機器管理情報システムを用いて、機器の貸出・返却のデータベース化し、必要台数の予測を行い、限られた機器を効率的に運用しつつ診療の円滑な実施を可能にしています。
人工呼吸器は回路をベッドサイドで組立てます。組立て後、回路接続確認ならびに動作確認をテスト駆動をしながら始業点検をしています。
点検記入用紙(始業点検表)は貸出時に機器へ貼付し、返却された際に始業点検が正確に実施されたかを評価しています。
病院内を月~土で巡回し、稼動調査と共に使用中点検を実施し、安全を担保しています。月水金は輸液シリンジ巡回、火木土はモニタ巡回を行っています。
巡回にはタブレットPCを用いて自主開発の医療機器管理情報システムと連動し、情報を蓄積、分析しています。毎日の巡回において、臨床スタッフと情報交換、質疑応答、指導をすることで、安全意識と取扱い技術の向上が図られています。
輸液ポンプ・シリンジポンプの
使用中点検
クレンメの位置や回路の折れ曲がり、使用状況などをチェックしています。
アイノフローの使用中点検
人工呼吸器に取り付けられたアイノフローの接続、投与状況、ボンベ残量等をチェックしています。
生体情報モニタの使用中点検
波形が正しく表示されているか、アラーム音量は適切かなどをチェックします。
除細動器・AEDの点検
簡易テスト、消耗品の使用期限、バッテリの充電状況を毎日、チェックします。
人工呼吸器の終業点検
生体情報モニタの終業点検
定期点検は、日常点検と異なり一定の期間(1ヶ月・3 ヶ月・6 ヶ月・1 年・適宜)使用された医療機器を詳細に点検し、機器の性能を確認すると共に、製造販売業者が推奨する消耗部品を交換す ることで、次回の定期点検まで性能の維持を確保するために行われる点検です。当院も、添付文章になどに記載されたメーカー推奨の内容に準拠し、定期点検を行っています。
また医療法で『医療機器の保守点検計画の策定』を義務付けられていることから、年間の保守点検計画を策定しています。保守点検計画は、点検時期を分散させ、過度な業務量にならないようにしています。
専門的な点検技術が必要なことから、新規に医療機器が納入された際に、臨床工学技士に対して保守点検技術講習会を開催しています。
医療機器は非常に安全性が高い装置ですが、トラブルが発生することがあります。その場合は定期点検時期に関係なく、詳細な点検を施行して安全を担保しています。
また患者使用中にトラブルが発生した場合は、24時間対応で臨床工学技士が速やかに駆けつけ対応を行います。
新機種購入時の使用関係者に対する操作・安全研修の実施に関して、メーカと連携し、研修の開催日時および内容を調整し、実施の記録を残します。
・定期的な安全使用のための医師・看護師に対する研修・トレーニング
管理機器について、操作法、安全上の注意点を操作スタッフである医師・看護師にレクチャーしています。実際に機器を操作して習得する少数実践式で行っています。
・機器管理業務スタッフ(臨床工学技士)の研修
教える立場の技士の教育として、院外研修(メーカ研修)を積極的に受講しています。
職員の知識や安全意識を向上させるために、毎月"CEタイムス"を発行し、各部署に配布しています。
医用テレメータ(主に無線タイプの生体情報モニタ)の相互変調による混信を防ぐ為にゾーン配置を行っています。電波法により使用できる医用テレメータはA型で480チャネルとなっています。さらにゾーン配置を行うと、399チャネルまで減少します。テレメータの有効活用と混信を防ぐためにテレメータ管理台帳を用いて管理を行っています。
適切な送受信を維持するためにアンテナの定期な点検が必要です。さらに必要に応じて、アンテナ等の付帯設備の増設や改修工事を依頼しています。