仏教では人類の救世主は人類自身です。仏教は心の哲学、心の教えの宗教です。仏教はお釈迦様の教えによって人々を苦しみから救います。その救いの教えとは四諦に基づく八正道の実践です。
しかし仏教には、お釈迦様の教えの仏教とは別の密教と呼ばれる仏教があります。密教では、宇宙そのものを擬人化したスーパー仏陀である大日如来が私たちに教えを説きます。それは慈悲と智慧による仏の道です。仏教天空起源説の立場からすると、天空由来の仏教は、梵天勧請による仏性開花とは別に、まさに宇宙に目を向けさせる仏性開花をもたらしているのだと思います。
密教
お釈迦様の仏教では、仏になるためには八正道の修行を行わなければなりません。一方、密教では、人は大日如来(宇宙)の体内で生まれる大日如来の一部であり、生まれながらの仏です。したがって、密教では私たち人間はもともとが仏であるのだから、身体(行動)、口(言葉)、意志(心)の3つを汚さないように精進し、生きているこの身が仏であることを自覚し続けます。
2つのマンダラ
密教では、その教えはお経だけでなく、曼荼羅と呼ばれる絵図も使われます。絵図を使って、文字や言葉で表現できないイメージで説法します。曼荼羅には、胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅の2つがあります。
胎蔵界曼荼羅は慈悲の世界を表します。大日如来の体内で、大日如来の光に照らされて、母親の胎内で子供が成長するのと同じように、人を仏に育てます。
金剛界曼荼羅は仏の智慧の世界を表します。盲目的な状況を克服する力を持っている大日如来の堅固な智慧の世界を表します。それは科学の事です。
密教の教えを科学する
密教は宇宙そのものの視点で説法をします。日本の密教、真言宗の創設者である空海は、密教とお釈迦様の仏教の違いを次のように述べています。
(1)密教では大日如来が説法する。
(2)すべての真実は明らかにすることができる。
(3)私たちは肉体を通して仏になることができる。
現代科学は、人体を含む全宇宙が原子で構成されていることを明らかにしました。人間は確かに宇宙の一部であり、まさしく私たちは大日如来の体で生まれます。科学はますます進歩して最終的には宇宙の全ての真実を解き明かすことでしょう。それは生きている人間が生命科学や物理学などの科学によって宇宙の真理を解き明かし、目覚めの時代、仏になる時代が訪れるのだと思います。
曼荼羅は宇宙の中の仏の世界を示します。胎蔵界曼荼羅は大日如来の光に照らされる慈悲の世界です。慈悲は人間関係、国家間、惑星間と、銀河文明の中における宇宙の普遍の法則です。金剛界曼荼羅は仏の智慧の世界、それは宇宙を完全に理解する科学の世界です。仏教天空由来説は、密教の神秘のベールを外し、曼荼羅の教えを現実宇宙と整合させます。