実験の様子

採集してきた野生酵母には様々な種類が存在しています。コロニーの見た目の違いなど、種類を判別する要素は様々ありますが、現在では特定の遺伝子配列が酵母の判別の際に最も重要な要素として考えられています。そこで、各酵母のゲノムを抽出し、遺伝子配列を解析した結果をもって生物種を特定しました。

自然界から採取した試料を塗り広げた寒天培地には多くの酵母以外のカビや細菌が多く含まれるため、これらの中から酵母だけを分離する必要があります

単離

そのため、滅菌した爪楊枝などを用いてこの中から一つの酵母のみを取り出し、新たな寒天培地に塗り直しました。

培養

単離した酵母を、PCRやフリーズストックに活用するため、液体培地で振盪培養しました。

PCR

PCR法により、特定の遺伝子配列を増幅させました。

電気泳動

増幅したPCR産物を電気泳動させて確認しました。

シーケンス解析

PCR産物を精製し、本学のバイオテクノロジーセンターにDNAシーケンス解析を依頼しました。

https://www.akita-pu.ac.jp/gakubu/btc/

試料の保管

取得した酵母の培養液はそれぞれ液体窒素で凍結させて、研究室の-80℃冷庫で保管しています。

得られた塩基配列情報から、BLASTn(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/BlastAlign.cgi)にて生物種の同定に重要な特定の塩基配列が一致する生物種を調べ、コロニーや細胞の形態を観察した結果を踏まえて取得した酵母の種類を決定しました。

竜ケ森から取得した酵母の一覧

抱返り渓谷で取得した酵母

八郎潟で取得した酵母一覧

 このように様々な酵母を自然界から取得することが出来たが、The Yeasts a Taxonomic Study 5th edition の報告によるとこれらの内の半数以上はアルコール発酵能を持たない酵母でした...

そこで。。。

 発酵能を有する酵母を優先的に採取する方法はないかと考え、一般家庭でも行われている自家製酵母レシピに着目しました

 ※水の温度が高すぎたためか、小安峡・泥湯温泉の試料からは酵母を採取することができませんでした。