第6回 その「大丈夫」は大丈夫?

2022年4月1日から、成年年齢が18歳に引き下げられました。未成年者であれば、親(親権者)の同意のない契約を簡単に取り消すことができましたが、成年になると、法律や契約書で定める取消事由、解除事由に該当しない限り、契約を一方的になくすことはできません。また、親権に服することもなくなりますので、親権者が持つ身上監護権(しんじょうかんごけん:子の監護・教育をする権利)、居所指定権(きょしょしていけん:どこに住むかを指定する権利)、懲戒権、職業許可権、財産管理権 [1] からも解き放たれます。簡単に言うと、自分のことは自分で決めることができ、決めたことについては他人のせいにできないということです。

2022年5月、新型コロナウイルス対策の持続化給付金を巡る大型の詐欺事件が報道されました。詐欺に加担した人の中には、大学生も含まれています。おそらく、詐欺だと分かっていて加担した人は多くはないでしょう。勧誘者から「大丈夫」と言われ、それを信じてしまったのだと思います。でも、大丈夫ではありませんでした。勧誘されたことは何の言い訳にもなりませんし、親に何とかしてもらう訳にもいきません。

大丈夫かどうかは、客観的な根拠を集め、自分で判断しなければなりません。勧誘者や自分の周りのみんなが大丈夫だと言っても、それが本当に「大丈夫」かどうか、自分で判断する必要があります。

あなたが大丈夫だと思ってとった行動、本当に大丈夫ですか?


 [1] 以上の権利について、民法(こちらから参考サイトが参照できます)820条~824条参照。 

\この記事を書いた人/

副学長 早川和宏

公開日:2022年7月1日