第26回 春は旅支度の季節

3月は別れのとき。「また会いましょう」という言葉を残して別れた同窓生たちの中には、それ以来全く会えなくなってしまった人も数多くいます。それでも、共に学んだ同窓生とは、数年あるいは数十年ぶりに会えることもあり、会った瞬間に共に過ごした時間にタイムスリップしますから不思議です。

この春卒業する皆さんは、コロナ禍での大学生活を体験し、そして世界を震撼させているウクライナ侵攻に衝撃を受け、さらには能登半島地震を経験しました。激動の学生時代、その中には生涯忘れられない出来事や、簡単には語り尽くせない様々な思いがあることと思います。そうした思いを抱えての旅立ちとなります。


季節が巡ることで戻ってくる春の草花に安らぎを覚え、木々の芽吹きに新しい命の力を感じ、次の旅の準備を始める人も多いと思います。「これはもういらない」と処分した沢山の物やもう会えないかもしれない仲間との語らいの場。その一つ一つを丁寧に慈しみながら整理するのが3月。

新しい旅には、大学生活で得た知識や経験、多様な考えの人との議論、好きなことに没頭し努力を重ねた日々の記憶が、皆さんの進む道を照らしてくれる灯りになることを願っています。

学生や教職員の皆さんに沢山の「さようなら」を告げる3月は、とても淋しいのですが、新しい旅の出発を祝う気持ちで、その隙間を埋めようとしています。

最後に、円了先生の「人生は三寒四温」という言葉を贈ります。どんなに厳しいことや辛いことがあっても、勇気を持って奮闘することで希望が見えてくる、という意味だそうです。少し元気が湧いてきませんか。

 

*引用 井上円了著『人生是れ戦場』弘学館、1924年、290~291頁。

「キャンパス入構時の検温 こんなこともありました」

「ありがとう板倉キャンパス」

「ゼレンスキー・ウクライナ大統領によるオンライン講演会

(円了ホールにて)」

「円了先生も好んでいた梅の花(白山キャンパスにて)」

\この記事を書いた人/

  学長 矢口悦子

公開日:2024年3月1日