第10回 「1.5℃」の意味

本年10月1日に「東洋大学SDGs推進センター」が発足しました。本センターは、東洋大学内(附属高校等を含む)で多様な形で実施されているSDGs関連の取り組みの情報を集約し連携を図るとともに、大きな文脈で社会に発信する機能を担います。また、発足と同時にセンター内に「カーボンニュートラル*プロジェクト」を設け、脱炭素社会の実現に向けた具体的な取り組みを推進することも表明しました。2015年のパリ協定で「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べ2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」ことが決まりました。その実現のために「2050年までにカーボンニュートラルを達成する」ことが位置付けられています。

  ところで、この「1.5℃」の意味は何なのでしょうか。科学的根拠があるのかと問われると少しあいまいなところがあります。シミュレーションに基づく結論であるためですが、一方で2℃の上昇に比べ1.5℃の上昇ならば様々な環境への影響を数分の一に抑えることができるという研究結果も多く示されています。また、最近の世界的な異常気象、それに伴う大規模な水害・山火事等の発生の常態化から、放置しておいて良いことではないと多くの人が感じていることも否めません。

実は2020年までに世界の平均気温は1.1℃上昇しています。1.5℃までは0.4℃の余裕しかありません。すでに待ったなしの状況であることを再確認し、皆で全力で取り組んで行かなければならないと考えています。

 

*カーボンニュートラル:二酸化炭素を始めとする温室効果ガスの排出量から、植林・森林管理などによる吸収量を差し引いて、合計を実質的にゼロにすること。 



\この記事を書いた人/

副学長 川口英夫

公開日:2022年11月1日