教職課程を学ぶにあたって

東洋大学教職センター

本学の学祖・井上円了は哲学館の創設にあたり「諸学の基礎は哲学にあり」の理念の下、「先入観や偏見にとらわれず、物事の本質に迫る仕方で、論理的・体系的に深く考える人間」

「社会の課題に自主的主体的に取り組み、よき人間関係を築いていける人間」の育成をめざした。

そして特に「教育家と宗教家」の養成に力を入れた。このように本学は創設以来、教員養成を重視し、この分野の伝統と実績を有する大学であり、多くの卒業生が教員として全国の学校で活躍している。

これから教職課程を履修し、教員免許状を取得して教員になろうと志す学生にはまずこのことをしっかりと自覚してほしい。

言うまでもなく、教員になるためには教員免許状の取得が必要である。免許状の取得に関する諸事項は教育職員免許法に定められており、本学もこれに基づいて教職課程教育を実施している。

教職課程に属する科目の多くは、各学科の卒業に必要な科目とは別に履修し単位を修得しなければならない。従って、教職課程を履修する学生は、他の学生よりも多くの科目を履修しなければならず、学修に費やす時間もそれだけ多くなる。1年次からの計画的な履修と学修が求められる。その詳細については、教職課程ガイダンスに参加して説明を聞くとともに、教職の該当Webページを熟読してほしい。 教員になるためには、担当する教科に関する知識を豊富に持つことが必要になることは言うまでもない。しかしそれだけでは教員として十分とは言えない。教員は成長・発達の途上にある児童・生徒を指導し、ともに学ぶ存在である。教員の言動は、時として、子どもの将来を大きく左右することもある。その意味で教員というのは恐ろしい職業である。

しかし同時に教員は子どもの成長を直接目にし、それを助け、ともに喜び合えるやりがいのある職業でもある。ある教育学者が次のようなことを問うている。「あなた(教員)は何の権利があって他人の子どもを教育するなどという大それたことができるのか」。

この問いに答えることは簡単ではない。しかし「他人の子ども」を教育するという「大それたこと」 を職業とすることを、子どもから、保護者から、そして社会から、許されるだけの準備を大学生活のなかでしておくことが、教員をめざす学生の最低限の義務である。

教員をめざす学生には、大学の授業で学ぶことはもちろん、サークル活動、ボランティア活動、趣味、アルバイトなど、さまざまな経験をしながら、自分自身を成長させることを期待したい。豊かな人間性を持った信頼に足る教員をめざしてほしい。