2024.06.27THU

相澤岳琉さん(法学部法律学科4年)が「みずほ学術振興財団 第65回懸賞論文(法律の部)」で3等入賞しました

相澤岳琉さん(法学部法律学科4年)が公益財団法人みずほ学術振興財団の「第65回懸賞論文(法律の部)」において、3等に入賞されました(なお、同回は2等以上なし)。

 

みずほ学術振興財団は、若い世代の学術研究の奨励・支援を目的として、毎年、法律及び経済の分野で懸賞論文を募集し、入選者を表彰しています。この懸賞論文は、法律分野の懸賞論文としては、日本で最も権威のあるものの一つとなっています。

 

公益財団法人 みずほ学術振興財団のwebサイト「第65回 入選者一覧」


【論文の内容】

相澤さんは、「AIと私法」(民法・商法共通)という指定論題において、「AIによる不法行為についての責任規範の明確化の試み—ブラックボックス化されたAI技術のアルゴリズム特性を踏まえて—」というテーマで論文を執筆されました。

 

同論文では、AIに関する法整備が開発規制等も含めて未整備な現状において、AI技術の搭載された製造物が人に対して引き起こした損害につき、被害者救済に重きを置くフランス民法、衡平責任(Billigkeitshaftung)や具体的な免責規範等を提供するドイツ民法、また、製造物責任に関するEU指令等のソフト・ロー等の比較法的観点から各種の不法行為規範が検討され、そして、AIのアルゴリズムという特異な性質も鑑みて、各種の不法行為規範を複合的・重層的に構成して、帰責の根拠及び責任規範・責任割合の明確化が試みられています。

 

 

【相澤岳琉さんのコメント】

懸賞論文に応募した動機は、学部での講義やゼミ活動での研究成果を一つの論文にまとめる機会になると考えたことと、自分の実力を試す機会になると考え挑戦しました。

論文の執筆で苦労したところは、日本にAIの不法行為に関する先行研究がほとんど無く、新たな着想を得難かったことでしたが、根岸先生が開講している「外国書講読(比較不法行為法)」で学んだ英独仏の不法行為法の基礎知識や、AI開発企業での長期インターンの経験から、AIによる不法行為の責任規範の定立に向けた様々な着想を得ることができました。

しかし、この成果は自分だけの力で得られたのではなく、根岸先生の厳しくも暖かい指導やゼミの同期生や先輩からの忌憚のない意見があったからだと感じており、大変感謝しています。

今後は学部のゼミや法学研究科の先行履修において、イギリス法を比較対象として日本の信託法の問題点についての研究に挑戦したいと考えています。

 

【ゼミ指導教員(根岸謙准教授)のコメント】

相澤さんは3年次より私のゼミに所属し、「AIによる契約書レビューの法的問題点」や「自動運転車の事故による不法行為責任主体に関する比較法的考察」というテーマの報告をするなど、高い研究意欲をもって学ばれています。このような日頃の勉学の姿勢が、今回の受賞に結実したものと思います。

 

現在、相澤さんは法学部(4年次)に在籍しつつ、本学法学研究科の先行履修制度を利用して、「民法特論」(比較不法行為法の講義)や「民法演習」(イギリス信託法の忠実義務に関する報告等)を履修され、一層研究に邁進されています。益々のご研究のご発展を祈念いたします。

 

●関連リンク

東洋大学大学院法学研究科 先行履修制度