TOP道徳資料室山田貞二先生の学習会レポート第4回テーマ:自作教材によるSDGsを扱った授業

山田貞二先生の学習会レポート

第45回

テーマ:自作教材によるSDGsを扱った授業

 今回は自作教材で「SDGs」にかかわる模擬授業とご提案から、どのような指導展開がよいのかを熱く議論しました。

事務局長が、①スライドによる教材提示

      ②ふり返り

      ③複数の内容項目

という3つの視点に絞って話し合いを進めていただき、中身の濃い議論となりました。

 私自身、大変勉強になりました。協議会の記録を掲載いたします。ご参考になさっていただければと思います。

1 道徳授業ABC(山田)

(1)SDGsとは何か?

 今回のテーマは「道徳×自作SDGs教材」

 会の冒頭にて、SDGsについて確認を行いました。

 ユニセフの言葉を借りての内容確認です。17の目標があることを確かめました。

 授業者の増田先生は、この多岐にわたる目標をどのように扱うのかという視点を示して最初の講座を終わりました。

2 模擬授業(愛知県犬山市立犬山中学校 増田千晴先生)

(1)授業構想

授業構想 のコピー
★教材「とりすぎない漁」(自作教材) のコピー
②深化発問 のコピー

3 意見交流

(1)資料提示について

・大変分かりやすい教材で素晴らしい。

・新聞記事をもとにして、ここまでの教材化をするということがすごい。

・興味深い教材である。

・スライドの提示であると、後で見直すことができないというデメリットがるので、端末に資料を送ったり、文章化したりするとよいのではないか。

(2)実感や自我関与について

・海のない地域では、なかなか実感することが難しい。自然愛護に関連させて身近な自然を考えさせることもできる。

・ゲストティーチャーを呼ぶことによって実感を味わわせるという方法もある。

(3)複数の内容項目を扱うことについて

・素晴らしいチャレンジであると思う。個別最適な学びに結びつく考え方である。

・内容項目は一つでなくても良い。

・内容項目は絞った方が授業展開はしやすく考えが深まると思う。

・内容項目ごとの納得解につながると思う。

・最初の発問で広がりすぎてしまった感がある。

・節度、節制というより遵法の精神に近い議論を期待した方がよいのではないか。

カリキュラムマネジメントの視点から

・このような複数項目になると1時間では難しいと感じツ。複数時間の取組みでもよいのではないか。

・年間指導計画の中での位置づけはどうなっているのかが気になる。他教科や領域と関連付けするとよいのではないか。

)発問について

・「心」を問うことも面白いが、「なぜ厳しいルールが必要なのか」「なぜ話し合ったのか「なぜ守りつづけたのか」というような分析的な発問も考えられる。

・なかなか自分事にするのが難しいと感じた。

・ICTを活用すると幅が広がる。

4 まとめ(山田)・・・「道徳✖SDGs」をテーマとして

(1)複数内容項目は必然であるが中心項目があると良い

・現代的な課題を扱った教材は、様々な内容項目と関連してくる。特にSDGsは多岐にわたるので、複数項目を関連付けながら授業を進めていくことが大切である。

・しかし、考えが分散してしまう可能性が高い。やはり中心項目を決めたうえで「関連付ける」という方向で授業を進めたほうが効果的である。

(2)カリキュラム・マネジメントの必要性

・SDGsの教材は、知識も要求される内容であり、1時間での扱いよりも小単元やユニットを組んで、複数時間で取組むと効果的である。学校や学年全体でのカリキュラム・マネジメントが必要になる。

(3)教材の特性から

・素晴らしい自作教材で生徒は大いに関心を持つことが予想される。

・この教材は、ある程度の取組みや考えが示されていて、かなり「範例的」「感動的」な教材として扱っても良いのではないか。したがって、導入で初発の感想を聞くという方法もある。そこから問いを設定して分析的に授業展開しても良い。

(4)問題解決的な展開

・SDGsの授業は、解決することではなく、解決しようとする姿勢を育むことにあり、問題解決的な思考は重要である。

問題解決的な展開 のコピー

(5)素晴らしい提案型模擬授業

・以下の感想がこの提案型の模擬授業の素晴らしさを表現しています。

・キャリアのある先生が、このような場で実践されることがまず素晴らしいと思っています。私は3つの内容項目を提案する方法はすごくいいと思っています。それは、教師が1つの固定観念にとらわれないようになると思うからです。というのも、教材研究をすればするほど、深まっているようで深みにハマっていくと感じるからです。だからこそ、3つの方向で最初から教師が考えておくことで子どもの姿によって如何様にも授業を変化させていけるのではないかと思いました。

(文責:山田貞二)