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教材での話し合いをどうやって方向付けたらいいのか、発言を聞いて板書するばかりを繰り返す

小学校4年

教材名:目ざまし時計          

内容項目:A 節度節制

ねらい:自分で考えて、度を過ごすことなく規則正しい生活をしようとする実践意欲と態度を育てる。 

授業の流れ

導入→規則正しい生活のために自分で決めたきまりがありますか。

展開1→お母さんの声にプンプンしながら学校へ急ぐよし子はどんな気持ちだったでしょう。

展開2→保健室のベッドで、よし子は目をつむってどんなことを考えていたでしょう。

展開3→規則正しい生活をするために自分で気を付けて守っていることはありますか。

終末→教師が説話をする。

うまくいかなかった点

 教材を活用して話し合う過程で、道徳的価値の理解が十分にできませんでした。

 展開1ではお母さんへの不満、展開2ではお母さんにとった態度への反省が中心の話し合いになってしまいました。導入と展開3と終末ではねらいに向けた学習活動ができたのですが、多くの時間を費やした教材での話し合いを、どうやって方向付けたらいいのか難しかったです。

 発言を聞いて板書するばかりを繰り返してしまったので、そこから脱却したいです。

アツコにお任せ!

 本授業では、導入と展開3と終末ではねらいに向けた学習活動ができたが、展開1,2ではお母さんへの態度や思いが中心になってしまったとのこと、子どもたちも普段からよし子さんと似た経験をしているのかもしれませんね。

 今回は、展開1でお母さんに対する不満が多く出された後、つまりお母さんへの思いを考えた後に、展開2で「保健室のベッドでよし子が考えたこと」を問うたために、多くの子供の意識が、お母さんに対する態度への反省に向いてしまったと考えます。

 本授業の内容項目は「節度、節制(A主として自分自身に関すること)」ですので、よし子自身の生活習慣に対する考えや行為について考えを深めていくことが大切です。

 展開1でお母さんに対する思いがある程度出された後に、「よし子さんが腹を立てているのはお母さんにだけでしょうか」、「よし子さんは自分自身のことはどう思っているのでしょう」など、視点がよし子自身に向くように促したり、「このようにお母さんに対する不満いっぱいで学校へ急ぐよし子さんを皆さんはどう思いますか」と自分の視点で客観的に考えさせたりすることも有効だと思います。

 あるいは、展開1の発問の前に、自分で決めたきまりが守れなくなった場面で「寝る時間や勉強時間が守れなくなったのはなぜでしょうか」や「自分で決めたきまりがだんだんと守れなくなったよし子さんを、皆さんはどう思いますか」などと問い、よし子自身について考えさせるようにすれば、展開2でもよし子自身の生活習慣や考え方への意見が出され、ねらいに迫る話し合いになっていくのではないかと思います。

 あと、「発言を聞いて板書するばかり」の状態を繰り返さないためには、やはり事前に出そうな意見を予想・分類しておき、どこにどのようなタイプの意見をまとめて書くのかという板書計画を立てることが有効です。メモ程度でよいのです。このような習慣をつけると、子どもとのやり取りや板書が自然と上手になります。是非、試してみてください。

point ---------

内容項目は「節度、節制」なので、視点が自分に向くよう促したり、客観的に考えさせたりすることも有効。

事前に出そうな意見を予想・分類しておき、メモ程度でよいので板書計画を立てる習慣をつける。

森川 敦子 Morikawa Atsuko

比治山大学 教授

広島市教育委員会指導主事、広島市立小学校教頭を経て、現職。専門は道徳教育学、平和教育など。

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