教材名:土石流の中で救われた命
内容項目:B 感謝
ねらい:人間存在の構造は、善意とぬくもりを伴った支え合いによって成立していることに気付き、自分の生活も時間や空間を超えて支えられていることに感謝し、自分も応えようとする心情を育てる。
ワンポイントアドバイス等
・突然の土砂崩れによって、多くの人々が生きるということに対する絶望の淵に立たされている状況をつかませる。そのような状況にあって、自分も土砂にのまれ、けがをしているにもかかわらず人々を救うために必死の救助を続ける有村さんへの尊敬に共感させる。尊敬は感謝を生む。有村さんへの尊敬から人々の中に自然に生まれる感謝の念に気付かせる。
・さらに、自分たちの生活や自分自身の存在が無数の人に支えられ助けられて成り立っていることに気付かせることによって、自分も人々や公共のために役に立とうとする心情や態度につなげることが大切である。
・板書では、まず、自分がけがをしているにもかかわらず必死に全員を助け出そうとしている有村さんの姿にフォーカスを当てて、久保田さんたちの尊敬の気持ちを整理する。
・次に、無事に家に帰り着いて一日を振り返ったときに浮かび上がる互いに助け合い、励まし合っていた人々とのつながり、助けに来てくれた漁船の人々やフェリーで迎えに来てくれた乗組員などに対する考えを整理することによって、相互扶助の人間存在の構造に気付かせる。
・「感謝」とは、人々に支えられ、助けられて自分が存在するという人間存在の構造に気付くときに、相互に芽生え、育まれる心情である。それは、成長とともに身近な人々から、見えないところで日々の生活を支えてくれる人々にまで対象を広げ、空間と時間を超えて自分を支えている無数の存在に気付かせることによって、自分自身が存在することへの感謝にまでつながり、人間尊重の精神を支えることになる。