教材名:げんきにそだて、ミニトマト
内容項目:D 自然愛護
ねらい:身近な自然に親しみ、どんな生き物にも命があることを再確認し、優しい心をもって接しようとする態度を育む。
教材の活用方法
2年生の生活科には、夏野菜を育てる単元がある。そこで、本校ではミニトマトを一人一つずつ育てることになった。そして植木鉢に植えた1週間後に、今回の「げんきに そだて、ミニトマト」を行った。本教材の学習は、今までの自分の水やりの仕方やミニトマトとの接し方を振り返るところから始めた。
自然と「わたし」と自分を比べながら考える姿が見られた。自分で育てているもの(身近なもの)を大切にしようという気持ちの芽生えは見えるが、それだけで終わりにするのではなく、生き物全体に目を向けられるようにして、ふだんの生活の中で接している他のものについても考える時間を設け、振り返りを行った。
展開例
*教材に入る前の前提*
生活科で、一人一つのミニトマトを植木鉢で育てている。水やりを午前中に行う約束になっており、観察も1週間に1回行い、ミニトマトに愛着のある状態である。子供たちは「早く実がならないかなあ。」と楽しみにしている。
●導入
あなたはどんな気持ちでミニトマトを育てていますか。
どんなミニトマトができたら嬉しいかな。
「範読」では記号をつけながら読む。
◎ =同じ気持ち(共感)
〇 =いいなぁ。すてきだなぁ。
△ =あかんやん。だめやん。
□ =わからないな。どうして?
「◎」と「△」は客観的視点。「〇」と「□」は主観的視点。これらを働かせながらお話を読む。
●展開
このお話のどんなところが気になった? 心に残った?
→「なんだか にて いるわね。」何が似ているのか自然と考える姿が見られた。
*内容項目に触れる発言が自然と出てくる。
自分と似ていると思ったら、もっともっと頑張れるんだって。みんなはどう?
→「わたし」と同じ(私も大事に育てている)。
→似ていると思うけど、似ていなくてもミニトマトにも命があるから頑張らなくちゃいけないよ。
*行動の裏側に気持ちがあることを、子供たちは自分の経験と重ねることで理解している。
*それぞれの思いが出てくる。
ミニトマトに気持ちがいっぱいつまっている。いっぱい気持ち込めて育てたのはわかるけど、どうしてそう思うの?
→赤い実になってミニトマトはこたえてくれている!?
成長するってことは、思いがつたわって水を吸ってくれているってことでしょ。
*赤い実ができるのは当たり前ではないという話が出てきた。
*食べられるようになるのは奇跡だ。
ミニトマトを食べるとき、あなたはなんと言って食べる? それはどうして?
→やっぱり「ありがとう。」大きくなってくれてうれしいよ。
→「いただきます。あいがとう。」育ってくれてありがとう。お母さんにも見てもらうね、そしてみんなでおいしくいただくね。嬉しい気持ちはみんなにつたえたい。
●終末
ふりかえりを書く
〇これまでの経験を思い出して、これから身近な生き物と接するときは、どんなことを大切にしたらいいと思う?
〇自然と一緒に生きていくって難しいのかな。
この授業を通して
まずは、子供たちの生活経験と結び付けることで、自分事になって考えることができる。生活科で育てている生き物には愛着があるので、その愛着から考えることで、植物の気持ちになることもできる。今回は水やりをしはじめて1週間のところで授業を行った。これはよかったであろう。なぜなら、自分の関わり方を振り返るきっかけになったし、考えたことを生活科で行動に移すチャンスがあることで、より実感的に考えることができたからである。他教科との関連を上手く活用することで、より深い考えや議論が生まれる。