いろいろな発言が出るのはよいが、ねらいからずれた発言が出て困った
小学校4年
教材名:雨のバスていりゅう所で
内容項目:C 規則の尊重
ねらい:約束やきまりの意義を理解し、これらを守ろうとする態度を育てる。
授業の流れ
展開前段の発問
①傘をつぼめようとしたとき、よし子の肩をぐいと引いたお母さんはどんな気持ちか。
②早く乗りたいのに、引き戻されて、席に座れなかったよし子は、どんな気持ちか。
③お母さんの顔を見て、よし子はどんなことを考えたか。
ア 順番を守っていなかっただろうか。
イ なんでお母さんは、いつもと違う顔なんだろう。
ウ 私が一番先頭で停留所に並んでいたのに、なぜいけないんだろう。
というような発言が出てきました。いろいろな感じ方、考え方が出るのはいいのですが、ウの発言はずれているような気がしました。
うまくいかなかった点
なぜ、ずれるような発言が出てきたのだろうか。困りました。
アツコにお任せ!
授業で子どもたちからいろいろな感じ方、考え方が出るのは本当に良いことだと思います。普段からいろいろな考えを自由に発言できる雰囲気ができているのではないでしょうか。とはいえ、中には発問の意図がうまく伝わらなかったり、教材文の理解が不十分だったりして、発言が本題からずれてしまうこともあります。そのような際には、説明や確認をしなおし、修正を図ることも必要だと思います。
本教材は「はっきりと明示されているきまりとまでは言えない、不特定の人が集まる公共の場でのいわば社会的なマナー」について考えるのに適した教材です。今回ご指摘の「私が一番先頭で停留所に並んでいたのに、なぜいけないんだろう」の発言は、むしろこの教材を深く考えていくためのよいきっかけになるものと考えます。
「遠くにバスが見えた後に、のき下を出て、ていりゅう所の一番先頭に並んだよし子ですが、それはよくないことなのでしょうか」と子どもたちに問い返せば、「並んでいた列に割り込んだわけではないから、悪いことではない」という意見も出るかもしれません。同時に「のき下でよし子よりもっと前から待っていた人は嫌な気持ちになったと思う。だからよくない」、「他の人もいる場所だから、よし子は自分のことだけでなく周りの人のことも考えないといけない」、「よくないと思ったから、お母さんがよし子の肩を引いて止めた」などの意見も出てくると思います。この場面での話し合いが深まってくれば、その後の「いつもと全然ちがうお母さんだった」理由や「お母さんの顔を見て、よし子はどんなことを考えたか」についても、深まりのある意見が出やすくなり、ねらいにより深く迫ることができるように思います。
point ---------
ずれた発言は修正を図ることも必要だが、指摘の発言は、この教材を深く考えるよいきっかけになるもの。