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手品師がどう行動すればよいのかという、方法論になってしまった

小学校6

教材名:手品師         

内容項目:A 正直、誠実

ねらい:どのような状況にあっても、常に誠実に行動し、明るい生活をしようとする心情を育てる。 

授業の流れ

<展開>

①男の子に、明日も来てあげるよと言った手品師の気持ちはどんなか。

②友達からの電話を聞いて、手品師は、どんなことを考えたか。

ここで、ほとんどの子が、

・男の子との約束を守る。

・子供に知らせる方法を何とか考えて、大劇場に行く。

・大劇場に行きたいので、昨日の約束の所へ張り紙をしておく。

・大劇場に子供も連れていく。

といった方法論になってしまった。

うまくいかなかった点

方法論はよくないと聞いているが、このように方法がたくさん出てきた場合、どうしたらよいでしょうか。

アツコにお任せ!

 「友達からの電話を聞いて、手品師は、どんなことを考えたか」の場面で、多くの方法が出され、方法論になってしまったとのことですが、手品師がどうすればよいのかについて子どもたちなりに、一生懸命に考えたのだと思います。

 このように、子どもたちから葛藤を解決する方法が多く出されて、授業の方向性が定まりにくくなった場合には「皆さんから出たような方法もいろいろ考えられたと思います。けれども、手品師は男の子のところへ行くことを選びます。それはいったいどのような思いからなのでしょうか」など、手品師の心の中を考える方向にシフトしていく方法もあります。

 その際には、本時の主題である「誠実」というテーマを意識させることが大切です。子どもたちの発言に即して、例えば「手品師の考えや判断は『誠実さ』という点から見るとどうですか」、「その考えは誠実だと言えますか。誰に対して、どういうところが誠実なのですか」などの補助発問を使いながら、「誠実」について深く考えさせていくとよいと思います。

 また、葛藤する場面で方法論に偏らないようにするために、導入で「誠実」などの意味を取り上げ、「誠実(あるいは誠実な生き方)とはどのようなことなのか、手品師の話をもとに考えていきましょう」など、本時のテーマを明確にしてから教材内容に入ることも有効だと思います。

point ---------

「誠実」というテーマを意識させるために、補助発問を用いたり、導入でテーマを明確にしたりする。

森川 敦子  Morikawa Atsuko

比治山大学 教授

広島市教育委員会指導主事、広島市立小学校教頭を経て、現職。専門は道徳教育学、平和教育など。

道徳授業、こうすればできる!