教材名:くまくんのたからもの
内容項目:B 親切、思いやり
ねらい:くまくんの思いやりある行動について考えることを通して、自分の身近な人に思いやりをもって接する心情を育む。
教材の活用方法
「くまくんの たからもの」は、新しいかばんの中をたからものでいっぱいにしたくまくんが、穴に落ちたねずみくんをかばんに入れて助けるという内容。一つのどんぐりに対する思いを比較したり、たからものに対するくまくんの思いやねずみくんを助ける行動について考えたりすることを通して、くまくんの優しさに触れることができる。
展開例
*教材に入る前の前提*
国語の学習で、一人一人が自分のたからものについて発表し、どうしてたからものなのかについて理由を述べたり、友達からの質問に答えたりする経験をしたあとで、本教材の学習に入る。
●導入
あなたにとって、たからものとは?
くまくんのたからものってなんだろうね。【教材へのいざない】
「範読」では記号をつけながら読む。
◎ =同じ気持ち(共感)
〇 =いいなぁ。すてきだなぁ。
△ =あかんやん。だめやん。
□ =わからないな。どうして?
「◎」と「△」は客観的視点。「〇」と「□」は主観的視点。これらを働かせながらお話を読む。
●展開
このお話のどんなところが気になった? 心に残った?
→たからものでいっぱいのかばんをひっくり返してねずみくんを助けるなんて優しい。
*内容項目に触れる発言が自然と出てくる。
くまくんが「ええい。」とかばんをひっくり返すことができたのはどうして?
→くまくんの気持ちに触れながら子供たちは発言をする。
*行動の裏側に気持ちがあることを、子供たちは自分の経験と重ねることで理解している。
はじめのどんぐり(くまくんが集めた)と、ねずみくんからわたされたどんぐりって、同じどんぐりだけど、何かちがいってある?
→子供たちは、「気持ちがこもっている『大切度』」で表すと、ねずみくんからわたされたものは「『大切度』最大」と言っていた(二人の気持ちがこもっているから)。
*たからものがモノだけではないことは、初めの段階でわかっていたが、気持ちにフォーカスすることで、より思いやりの心の大切さに気づくことができた。
●終末
ふりかえりを書く
〇これまでの経験を思い出して心が温かくなったことはないかな? どうしてそう感じたのかな?
〇思いやりをもって周りの人と接するときに、今の自分はどんなことを大切にしたらいいと思う?
この授業を通して
まず、カリキュラム・マネジメントの一環で、「たからもの」は人それぞれ違うという経験を子供たちは国語の学習を通して行っている。互いのたからものを認め合う経験から、「くまくんのたからものって何かな?」とスムーズにお話の世界に入ることができた。
次に、「気持ちは?」と問うのではなく、「どうして?」と問うことで、行動の裏側の気持ちを子供たちは言葉にすることができる。場面で区切るよりお話全体で考えることで、くまくんの優しさがクローズアップされるので、親切・思いやりに自然と焦点化していく。
最後に、自分の経験を想起する場面を設けることで、自分事として、また、これからの生活に生かすために自分自身を見つめて考えることになる。今回は「たからもの」「どんぐり」が切り口である。