多様な地震現象を統一的に説明できる震源モデルの構築を目指します.断層を構成する岩石の分布や断層形状には空間的な不均質性があることが,地質学的観察から明らかになっています.また,地震波のデータ解析からも,普通の地震は自己相似性を持ち,様々なスケールで不均質な滑り分布を持つことが明らかになっています.このような観察から,断層面上における摩擦不均質性が地震現象の多様性を説明する鍵になることが期待されます.さらに,トピック1の結果は,摩擦不均質断層モデルにより定性的には説明できると期待されます.そこで速度状態依存摩擦に従う不均質断層の滑り挙動を数値計算で調べます.
①スロー地震のモデル化 : Yabe and Ide (2017, JGR)
摩擦不均質断層を用いて,高周波の微動から低周波のスロースリップまでを含むスロー地震を,定量的に再現するモデルの構築を目指します.
②普通の地震活動のモデル化:Yabe and Ide (2018, GRL), Yabe and Ide (2018, EPS)
摩擦不均質断層は,スロー地震だけでなく普通の地震も説明できる可能性があります.そこで,普通の地震の余震活動や前震活動を摩擦不均質モデルで説明できるかを調べます.余震や前震は,本震で滑りが生じる破壊域の内部でも生じます.このような性質は,一つの均質な地震性パッチを一つの地震イベントに対応させる古典的なモデルでは説明することができず,何らかの階層的な構造を設定することが必要となります.この階層性をもたらす原因の一つとして,摩擦不均質が考えられます.