講演中も講演後も活発な議論が行われ、盛況のうちに終了しました。みなさま、ありがとうございました。
写真を撮り忘れたのが悔やまれます。。。
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講演者:住野 豊さん(東京理科大学応用物理学科)
日時:2018年3月30日(金)15:00–16:30
場所:物質・材料研究機構(NIMS)千現地区 本館居室棟1階 小セミナー室
アクセス:外部から来られる方は、守衛所で入構手続きが必要です。世話人の名前『分子機能化学グループ / 高井』を伝えて、入構カードをお受け取りください。TXつくば駅および筑波大から来られる方は、NIMS定期便をご利用いただけます。
タイトル:『界面活性剤の会合体生成で動く油水界面』
概要:
生命現象の特徴の1つとして,代謝,すなわちミクロな化学エネルギーのマクロな運動エネルギーへの変換が挙げられる.我々高等生物は,アクチンとミオシンが秩序だって構成された筋肉を用いることでこのようなエネルギー変換を行っている.ところが,単一細胞レベルの運動,特にアメーバのような這行運動を観察すると,細胞内でアクチン・ミオシンが不規則にゲル化したアクトミオシンゲルを用い,粘弾性挙動を制御しながら運動している.このようなミクロな化学エネルギーを,空間階層を遡る形でマクロな運動エネルギーに変換する過程で,非平衡のパターン形成に見られる自己組織的な振る舞いが数多く観察される.我々はこの自己組織的振る舞いの物理的特性を非生物系で再現し,時空間パターン形成の特性を探った.
本研究では界面活性剤・水・油系を用いて粘弾性挙動の変化により運動する液滴系を構築した.具体的な実験系は陽イオン性界面活性剤を含む水溶液と中性の補界面活性剤を含む油相である.このような系において,水相と油相を接触させると,油水界面において界面活性剤の会合体が生成した.また同時に,油水界面において繰り返し球形の突起が伸展・収縮する様子が観察された.このような不安定性の要因を探る上で,会合体の生成様相を小角散乱により探ったところ会合体の構造が生成直後に構造変化を示すことが見いだされた.
本講演では,実験系の詳細と,会合体構造変化の様子.界面変形の詳細やその機構に関して探った結果を報告する.