講演者:伴野 太祐さん(慶應義塾大学理工学部応用化学科)
日時:2018年12月11日(火)15:00–16:30
場所:物質・材料研究機構(NIMS)千現地区 本館居室棟1階 小セミナー室
アクセス:外部から来られる方は、守衛所で入構手続きが必要です。世話人の名前『分子機能化学グループ / 高井』を伝えて、入構カードをお受け取りください。TXつくば駅および筑波大から来られる方は、NIMS定期便をご利用いただけます。
タイトル:分子デザインによる液滴ダイナミクスの制御
概要:
遊走や分裂,変形といった生命にみられるダイナミックかつ非線形的な挙動は,分子レベルから巨視的なスケールに渡る,様々な階層での化学反応が複雑に絡み合うことで創発される。このような階層性を自在に制御する手法が確立できれば,生命システムにおける複雑な挙動のメカニズムの解明につながると同時に,生命システムを精緻に模倣したインテリジェントな材料の開発へと波及することが期待される。
我々はこれまで、界面活性剤水溶液中を遊走する細胞サイズの液滴に着目し,これを「界面活性剤分子の液滴界面への吸着-液滴界面における流れ場形成-液滴の遊走」が連動した,階層性をもった化学システムとして捉えることで,分子デザインの観点から液滴のダイナミクスを制御するための方法論を探究してきた。そのなかで,界面活性剤がその場で生成される反応系や,光応答性の界面活性剤存在下で,それらの分子変換がトリガーとなって液滴の駆動開始や走光性といった巨視的なダイナミクスを誘導することに成功している。
本講演では,これら結果の詳細を報告するとともに,最近見出した液滴の相転移現象も紹介しながら,我々の開発した化学システムと生命システムとの類似性について議論したい。