海外大学院留学に興味がある人へ

海外大学院留学の方法について聞かれることが多いので,ここに僕の情報をまとめておきます。

主に理系の方(特に自然科学系)がアメリカに来る場合を想定しています。質問等があればいつでもメール下さい。

僕は志望順に,

1. University of Washington

2. Princeton University

3. MIT

に出しました。結果は1と2が合格,3が不合格。

僕は出願前に,上記3つを全部訪問しました。興味がある研究室には,出来る限り出願前に訪問してください。

訪問するのは,相手にアピールするだけでなく,自分が行きたい場所を決めるためにも大事です。

以下,主に必要な準備のリストです。この他に,受ける大学によって必要なものがあるかもしれません。

・推薦状依頼

一番重要だと思います。相手の教授が知っている人(知り合いまたは有名人)にお願いできるのが理想です。

先生にご負担をかけないために,早めに依頼しましょう。

・成績証明書

GPAは3.65くらいだった気がします(計算方法:優=A=4, 良=B=3, 可=C=2で重みつき平均をとる)。

苦手なものは可でも大丈夫でした(笑)。GPAそのものよりも,どんな授業を取っているかを見ていると思います。

・英語

特にリスニングとスピーキングは,とにかく好きな映画やYoutubeのインタビューなどを見つけて,

「同じ作品を」覚えてしまうまで聴いて聴いて聴きまくることです。

もちろん飽きてしまわないことが重要なので,好きな俳優/女優が出ているものがいいです。

-GRE

激ムズですが,勉強すると語彙が増えるからやった方が良いです。

ただ,僕は勉強すればするほど点数は落ちました。

つまり,ちょっとやそっとの勉強とは無相関ということです(笑)。

アジア人はVerbalとWritingの点数は低くて当たり前なので,そこは考慮してくれます。

-TOEFLiBT(最近はIELTSが必要なところもあります)

100点が一つの目指すべき目安だと思います。

僕の受けたところでは,足切りにしか使わないと言われました。

出題分野によって点数が5くらい変わるから,何回か受けて運の良い時を待つべし。笑

GREとTOEFLで僕がおすすめできると思う本をここにまとめておきます。

・エッセイ(Statement of Purpose)

知識がそろってからの方が良いから,書き始めるのは出願前の夏休みくらいで良いと思います。

僕が知る限り,少なくとも理系にとっては割とどう書いても良い書類(=決まった型が存在しない書類)と思いますが,

読みやすく(簡単という意味ではない),熱意が伝わることは大事なので真面目に書きましょう(笑)。

手を抜くことは絶対してはなりません(これを真面目に読んでいる人はそんなことはしないと思いますが。笑)。

僕は日本人でアメリカの大学院に行っていた友達に内容を見てもらった後,アメリカ人の友人に文法などをチェックしてもらいました。

エッセイは,話が具体的であることが大事です。「天気のことが昔から好きだから気象学を勉強してみたい」と言われるより,

「A教授のBという本の第n章を読んで,こんなに面白い世界があるのかと思った」と言われた方が説得力があるでしょう。

熱意というのは,露骨にその人の文章に出るものです。

具体的に研究計画を書くべきという人もいますが,個人的には研究計画を書いてしまうと可能性が狭まるので良くないのではないかと思っています。

(CのデータをDという解析手法で見てみたい,などと言われてしまうと,それ以外はやりたくないのかな?と思う人もいるかもしれません。)

さらに残念ながら,普通に暮らしてきた大学院入学前の学生が書ける研究計画のレベルなど,たかが知れています(笑)。

また,興味のある指導教官の名前を書くべきか,という質問もよく受けますが,書いて受かる人もいれば,書かずに受かる人もいます。

書かずに合格した場合は,エッセイの内容から判断してマッチングが良さそうな教授から連絡が来たりもします。

自分のやる気と興味の範囲が最大限に伝わるためにはどういうアプローチのエッセイにするべきか,自分で考えると良いと思います。

(もちろん,どうしても一緒に働きたい先生がいる場合は,それがその大学を応募する"Purpose"なのだから,言及すべきです。

その場合は,出願する年に先生の予算が十分あって,学生を雇おうとしているかを聞いておく必要があります。

給付奨学金等で授業料と生活費を自分側で全額払えるなら,もちろんこの限りではありません。)

・履歴書(CV)

アメリカ人の友人に体裁をチェックしてもらいました。

・奨学金

取れなくても致命的ではないですが,国内で募集している奨学金には必ず出願しましょう。

奨学金が取れたことが評価されるだけでなく,教授が生活費を払わなくて済むので,合格に非常に有利に働きます。

僕は伊藤国際,村田,竹中育英会,船井,平和中島の5つに出願しました。

伊藤・村田・船井が書類落ち,その後竹中育英会に合格を頂いたので,平和中島は辞退しました。

合格を頂いた竹中育英会には,非常に感謝しています。

書類作るのは大変ですが,面接には運の要素もあるので,色々調べて少しでも多くの財団に出願することが大事だと思います。

僕の指導教官のHartmann先生は,僕が合格した理由を次のように話してくださいました。

"We look for good grades in math and science subjects at good institutions, good GRE scores, strong letters of recommendation and any research experiences or other extra curricular activities that the student may have participated in. In your case we had the positive experience of your visit to Seattle, plus the strong indication of standing with your peers in Japan evidenced by the scholarship you received. This makes the decision very easy. In the case of students whose native language is not English, we also look for English aptitude as evidenced by the GREV or the TOEFL scores. It is very important to be able to write good research papers that are well constructed and in good English. This is often a challenge for students whose native a language is not English. Generally good students in math and science courses also become creative and well organized research students, but not always. Good results in courses does not necessarily mean that students will have the persistence, curiosity and creativity to do good research."

どうでしょう。こういう書類をすべて集めるのは,日本の大学院入試と比べると少し大変ですね。

実際,僕に相談してくれた人の中でも,出願までたどり着くのはごくわずかです(もちろん,別の目標が見つかるのは悪いこととは思いません)。

そして,僕が相談を受けた中で出願までたどり着いた人は必ずどこかには合格していますので,出願までたどり着くことが一番重要だと思われます。

周りがやっていないことをやるという心理的ハードルがあるだけで,実際にやってみるとなんとかなります。心折れずに,最後まで頑張って下さい。