気象学/気候学の本

僕が気象学/気候学を初めて学び始めた頃は,どこから手をつけて良いのか全くわかりませんでした。

これから学ぶ皆さんがそれを回避するために,以下に自分の好きな本を(好きなように)まとめていきます。

-大学教養レベル(気象予報士試験レベル?)

一般気象学

この本を一冊ちゃんとやれば,大学教養レベルとしては十分すぎるのではないでしょうか。

数式があまり用いられず,気象学がどういう学問なのかを教えてくれる本です。

気象予報士試験を僕は受けたことがありませんが,受ける人は結構この本を愛用しているみたいです。

流れの科学―自然現象からのアプローチ

読み物という感じの本です。

気象学と日常生活を結びつけて身近に感じたい人にオススメできます。

(e.g., なぜ湯飲みの中のお茶っぱは中央に集まるのだろうか?)

僕は著者の木村竜治先生にサインをもらいました(笑)。

進化する地球惑星システム

気候学のことに焦点を書かれているわけではないですが,

アイスアルベドフィードバックなど気候を理解するために基本的な概念が,

とても平易に書かれていて楽しいです。

僕は高校のときに読みましたが,十分楽しめました。


-大学学部3, 4年レベル

総観気象学入門

一般気象学の次のレベルの本。

気象学に教養レベルの数学がどのように応用されるかを知りたい人には良いと思います。

数学は,普段研究者が使うよりも初等的なレベルに焼きなおされています。

グローバル気象学

総観気象学入門とは逆に,数式はあまり多くはありませんが(全くないとは言っていません),

扱っている内容は特に後半でむちゃくちゃ高度です。

いきなり全てを理解しようとはせず,分かる所だけ面白さ(マニアックさ)が感じられれば良いと思います。

大気化学入門

大気化学の基礎が平易に書かれている本です。

学部時代に化学を勉強していて,院から大気分野に移りたい人には最適です。

もちろんそうでなくても,高校化学をちゃんと勉強した人なら十分読めると思います。

Global Physical Climatology

英語にある程度自信があって,気候学の基礎が学びたい人は絶対にこれです。

ここまで勧める理由は,この著者が僕の指導教員だからです(笑)。

僕は学部生の時にこの本を読んで,アメリカに留学することを決めました。

2016年に改訂があって,高度な部分も少し増えたのですが,多くの部分は学部生でも理解可能です。

楽しいですよ。僕の名前も謝辞に入ってます^^

-大学院初等レベル

「異常気象」の考え方

僕が院生の頃にこんな本が欲しかった。てか,願わくばこんな本を僕が書きたかった(笑)。そんな本です。

An Introduction to Dynamic Meteorology

英語に自信があろうとなかろうと,大学院で気象力学のことを勉強するならば,

ここに書かれている内容を一通りは押さえておかなければなりません。

逆に,ここに書かれている内容が全て完璧に理解できているなら,それで基礎は突破です。

Atmospheric Science, Second Edition: An Introductory Survey (International Geophysics Series)

気象学,気候力学全般を俯瞰するのに役に立つ良書。

色々なトピックがまんべんなく説明されています。

僕は辞書代わりに使ってます。

大気放射学の基礎

僕は放射はこの教科書で学びました。

僕は放射の専門ではないですが,おそらく放射の専門家にとっては基礎的な内容なのだと思います。

もう少し簡単な類書に

Petty, A First Course in Atmospheric Radiation

がありますが,日本では高いので手に入れにくい気がします。

(追記2019/4/1:最近,和訳が出版されました。)

Geophysical Fluid Dynamics

地球流体力学の本。海洋の人は結構これを愛用している人が多い気がします。

Cloud Dynamics

雲物理の本です。僕は授業の副読本として使いました。

Atmospheric and Oceanic Fluid Dynamics: Fundamentals and Large-Scale Circulation

地球流体力学の本。僕は学部の頃に挑戦して,今思うと全く理解していなかったなぁという本。

数式大好きな人にオススメです。

(続きはまた今度書きます)