◆ 前進翼の空力設計(2016.3 - 2019.2,助教)
TBD
◆ レーザー加工プロセスに係わる数値シミュレーションモデルの高度化(2015.4 - 2016.2,博士研究員)
レーザー加工プロセスにおいてレーザー入熱から金属の溶融状態、溶融金属の排出挙動及び、凝固過程など時間・空間スケールの異なる複雑現象であるため、計測が難しくなります。それに対して、数値シミュレーションはこれらの複雑現象の時間・空間スケールを統一的に扱うことができるとともに、これらの個々の影響や相互関係を詳細に考察できると考えています。現所属部署では上述したレーザー加工プロセスを熱流体力学的な面から気-液-固の三相の状態を扱うとともに、それらの変化を考慮した現象を再現する数値シミュレーションの構築が試みられ、レーザー加工プロセスの定性的な理解ができるようになってきました。しかし実験結果と比較した場合、レーザーヘッドの移動速度が小さい場合などに数値シミュレーションの結果と差が存在し、シミュレーションモデルの高度化を行う必要があり、研究に取り組みました。
◆ 火星航空機の高推進用プロペラブレードの空力設計に関する研究(2012.11 - 2015.3,博士課程・後期)
JAXA宇宙科学研究所において航空機を用いた火星環境の探査が検討されています。この航空機の推進手段にはプロペラが有力視されていますが、火星の大気は地球と比べて音速・大気密度が小さいために航空機が飛行する際、プロペラブレードの先端の流れ場は低レイノルズ数・高マッハ数となり、これは地球上では存在し得ない特徴的な環境となります。このような環境下でのプロペラブレードの空力性能に関する研究はほとんど行われておらず、翼素・運動量理論から導いた従来のプロペラブレードの設計方法が有効であるかの評価も行われていません。このような背景のもと本研究では、低レイノルズ数域におけるマッハ数の影響を調べるために、ブレード断面形状である翼型について遷音速域での衝撃波が及ぼす空力性能の変化および翼型形状(翼厚・キャンバー)の影響に関する数値流体力学を用いた解析、プロペラブレード断面の翼型性能の向上を目指した多目的空力形状最適化(遺伝的アルゴリズム)及び、データマイニング(クラスタ分析・固有直交分析)を行い、火星航空機の高推進プロペラブレードに関する設計知見の獲得を行うとともに、プロペラブレード周りの流れの特徴や設計法について論じました。
◆ ロケット噴流から生じる音響現象の理解(2010.4 - 2012.10,博士課程・後期)
ロケットの打上時において、ロケット噴流からの音響現象がロケットのフェアリング部に搭載された衛星に悪影響を及ぼし問題になっています。本研究は数値シミュレーションとロケット噴流(サブスケールサイズでモデル化されたロケット噴流)の実験結果との比較を行いました。その結果、モデル化するための数値シミュレーションの精度を担保する結果を示すとともに、この音響現象が引き起こす主要なメカニズムを示しました。また、本研究で得られた結果の一部より以下の助成を頂き、米国サンディエゴで行われた国際学会で発表を行いました。
財団法人 宇宙科学振興会 国際研究集会(海外)参加費用補助 採択 (2011年/H23年度)
さらに、ロケットの射点形状をモデル化した斜め平板に超音速噴流を衝突させた数値シミュレーションの解析結果に対してデータマイニング(クラスタ分析・固有直交分解・相関解析)を適用し、現象理解を試みました。その結果、クラスタ分析により音響現象を自動的に分類でき、固有直交分解では音響波の伝播パターンを示しました。さらに、相関解析により衝撃波と流れ場(せん断層)が干渉することによって生じる音響現象を示しました。また、この結果は以下の学会で発表しました。
6th European Congress on Computational Methods in Applied Sciences and Engineering, TS005-2-1531, 2012.
◆ 磁気ディスク内の流体加振力の解明 (2008.4 -2010.3,博士課程・前期)
磁気ディスク装置内は高速に回転することで引き起こされる流体加振力が問題となっています。本研究は磁気ディスク装置内部の流れ場の非定常流体解析にデータマイニング(自己組織化マップ・ベイジアンネットワーク)を適用し、現象理解を試みました。自己組織化マップでは各種物理量の時系列データから、時間特徴量を抽出した結果を分類し、ベイジアンネットワークでは分類結果と時間特徴量の関係をネットワーク構造で表現し、流体エネルギーのもつエネルギー生成・散逸構造によって流体加振力が引き起こされていることを導きました。この結果は以下の学会で発表しました。
World Congress on Nature and Bioligically Inspired Computing, pp. 152-157, 2010.
◆ ヒト大動脈瘤内の血流関わる循環器疾患の解明 (2008.4 -2010.3,博士課程・前期)
動脈瘤の成長・破裂は血流が引き起こす血管壁面でのせん断応力が原因とされています。本研究はヒト大動脈瘤内の非定常血流解析により得られた血管壁面でのせん断応力の時系列データから時間・空間特性に関わる特徴量を抽出し、その抽出された特徴量から循環器疾患の起こり得る場所を自己組織化マップによって分類・同定を試みました。その結果、血液循環と循環器疾患の関連性を調べると動脈瘤破裂の要因は、心臓による脈動の影響の受けにくい場所で動脈瘤破裂が起きる兆候があることを示しました。加えて、本研究は流れ場の可視化方法として新規性があり、以下のジャーナルにその方法が掲載されました.
Journal of Visualization, Vol. 14, No. 4, pp. 393-398, 2011.