コラム
報道のこと
診察の際、話題に上るのが、テレビ・週刊誌・新聞の報道です。
「芸能人の~さんの病気に私もかかっているのではないか?」
「~の症状があるひとはxx病の可能性があるって報道されて、心配になって...」
「テレビで○○○○が私の病気に効くっていってた」
相談に乗ります。著名な人が言うことが100%正しいわけではありません。
記事のこと
週刊誌などでのショッキングなタイトルにびっくりして駆け込んでくる方がいます
「副作用のある薬を出されている」
「報道に出ていた~という薬は止めたい」
「一度薬を飲み始めたら一生止められない」
たしかに副作用のまったく存在しない薬剤はありませんし、「真に」必要のない薬はリスクであり薬ではありません。
でも、まず考えてほしいのは「その薬が必要となった経緯は何か?」 「止めた後のリスクはご自身・ご家族も私たちと一緒に考えてくださ。」ということです。
医療には限界もありますが、一緒に考えることはできます。納得して日々の健康を維持できるよう、協力いたします。
食事療法のこと
炭水化物が悪い、ご飯が悪い、お菓子が悪い....
○○は体に良い、△△はこういう食べ方をするとよい....
xxxというこれまでの治療は間違っている。自分は旧守の学会勢力に反旗を翻す存在である...
熱意ある医師が、独自の治療法を様々試すことは大変重要なことですが、個人の医師の限られた経験では、すべての人に
有用で安全な手法かどうか、検証されないまま先走る危険があります。
また、多数の人を対象にした大規模臨床試験のメタ解析研究
(複数の研究者が、さまざまな患者集団を、ある一定の指標をもとに、「病気の悪さ」・「治療すべき要因」・「使用すべき治療法(食事・運動・お薬など)を評価する研究手法)
はその解釈の「限界」を適切に把握することが必須です。なのに、都合の良い論文を自説にの都合のいいように解釈しているものも散見されます。
医療は宗教ではありません。医療常識はも時代の流れの中で検証されながら、証明・淘汰されていくものです。
安易にテレビ番組や健康情報に振り回されるのは、やめにしませんか?
気に入った食事療法を行ってみても構いません。うまくいっているのかどうか、ご自宅で簡便に確認可能な、安価なデバイスもあります。
医院で調べることもできます。自分の頭で考えて、医師とともに検証する前向きさが、健康の秘訣です。
好きなものを食べても構いません。ただし、くれぐれも「好きなだけの量」を食べないで、相談しながらね。とお伝えしています。
そして自分に課した制限は、その改善度に合わせて、相談しながら緩めて行けばいいのです。
がん
医院では早期発見のお手伝いをいたします。市、企業の健保組合のがん検診を行っています。
特定検診、がん検診などを利用しましょう。
また、PSAを除くほとんどの「血液で調べるタイプのがん検診」は早期発見の有用性は明確ではありません。かえって患者さんの心配を煽る結果になることも少なくなく、現時点では当院ではおすすめしません。
完全な予防は不可能でも、適切な手段で早期に発見・治療ができれば、治癒の可能性が高まります。
糖尿病
糖尿病は食べ過ぎの、太った人のなるもの。自分は関係ない!と思い込んでいませんか?
生活習慣が発症の重大要因ですが、その人の「体質」も大きくかかわる疾患です。
実は血糖が高いこと自体が直ちに命にかかわるケースは多くはありません。
むしろ、症状がないために何年も高血糖を放置、その結果、症状が出現した時には手遅れになる、「合併症」が一番の問題です。
血糖は自分で測定することも可能です。報道や宣伝に踊らされることなく、ご自身の血糖を測定してみてはいかがでしょう。
薬局などで販売している尿糖・尿たんぱく試験紙も簡便で、有用です。
「症状が無いから大丈夫」と高をくくるのではなく、「症状が無い今こそ」の早めの対応が、糖尿病の合併症予防に大切です。
甲状腺
学校検診で甲状腺が大きいといわれた、ドックで甲状腺に腫瘍があるといわれた、などで受診される方が女性によく見られます。
なんとなく気になる、ご親族に甲状腺の病気の人がいる場合、一度当院にご受診ください。
触診・血液検査・甲状腺超音波検査などで診断可能です。ご心配の場合、その場で検査いたします。
橋本病やバセドウ病など、症状安定して、そのまま定期的なフォローを希望する方なども、当院で診察いたします。
高コレステロール血症
治療しなくてよい、治療薬は危険、とする報道もなされます。
鶏卵などはいくら食べても大丈夫、という人も確かにいます。
コレステロールが高い=直ちに薬物治療が絶対に必要、食事療法が有効というわけではありません。
しかし、動脈硬化のリスクを少しでも減らすためにも、コレステロールを下げる治療が有効との報告が数多くあるのも事実です。
当院では数値のみに頼らず、さまざまなリスク因子に血管評価を含めた評価を行い、治療方針を患者さんと決めます。