起源展2「現実がメッセージ」だった
2010年の9月に1回目の起源展を実施し、それから約半年後の2011年3月11日に宮城沖で大地震が起きた。その地震は大津波を伴って人間の科学技術の粋の象徴である原子力発電所を破壊した。一回目の展覧会を始める前の6月に起源展のイメージを言葉にしていた。
————今 大人の世界は、イメージに先立つ言葉で膠着(こうちゃく)しています。今までは印刷などによる活字によって言葉も手に取れる所にありました。でも今はモニ タの上を瞬く間に現れ消えていきます。人の記憶も同様に外に保存されることで、匂いや雰囲気のような曖昧さを無くしてしまったようです。それは人間だけが この地球を工場化し、わが物顔で名前を付け終わったかのように。 目の前に世界最大級のカルデラがありました。 あなたはこの火山から何をイメージします か? 私たちはここに「地球の起源」をイメージします。————
この広報用のコピーは、人間存在の危惧感に満ちている。やがて来る自然からの答えを予感するかのように。
2011年 の起源展は、初回の起源展の持っていた見えない自然の脅威や畏怖をイメージで捉えたものとは結果異なった。大津波によってさらわれていった、東北太平洋沿 岸の人の作った町、その歴史、法律、言葉など…瓦礫の山の風景が片時も脳裏を離れることが無かったからだ。そしてイメージが不在の「起源展2」のポスターが作れなかった。しかし1回目の記録写真を見ているうちに実際行われた事実を告知しようと納得した。「現実がメッセージ」だということである。
それからの起源展2の 動きは瞬く間に進みそして、自ら考えていた内容を遥かに超えて人の共感を産んでいった。世界的な環境アーティスト・池田一の参加、若い家族たちの自然食に よる賄いのグループ、多ジャンル(アート、農業、ジオパークなど)なパネルディスカッションと参加者も交流できた分科会、町長も参加して頂いた盛況なオー プニング、ハロとアキさんのキュレーションによるドイツのアーティストたちの環境的なパフォーマンス等々、この起源展の運動(ムーヴメント)の始めを見た 思いがする2011年であった。そして2012年の起源展3は自然とともに運動して行くことだろう。
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