第20回 櫟まつり
第20回櫟まつり 2013.10.6
スローガン---「こころを充たす」
今回は他の結社からもお祝いの講演を頂くことにになり,20周年記念大会のスローガンの
「心を充たす」の内容にふさわしいものであった。講演者は茨木和生氏,宮坂静生氏,藤田美和子氏の3名。
中でも,後述の俳句の理念をテーマに座談会形式で行われたのは,シンポジウムを彷彿とさせ興味深いものであった。
会場は例年の如く,松山は道後のにぎたつ会館にて開催された。
天候は夏日を思わせる好天に恵まれた日であった。参加者は愛媛県下はもちろん,大阪,広島,東京
からも会員が参列した。また結社「岳」の会員も賛助参加で新鮮みのある祝賀会であった。
恒例により,司会は櫛部天思氏と杉山 望氏の絶妙のコンビで開会の幕が切って落とされた。
主宰の講話の要点としては「心を充たす」で俳句をしっかりやりましょうとのこと。
個性を生かし,季語を活かそうとの内容であったと思われる。
座算会はスローガンの「こころを充たす」に沿って進行された。
要約すれば。やはり季語を大切にしたい,個性を生かす,他の結社との交流を促進してはどうか---,
あるいは「言葉は力」。俳句はぎりぎりまで生きる力を与えてくれる物であるとの話など。
また,こころほ充たす方策としては季語の開発の観点から「自分自身の歳時記」の作成や
や「自然こよみ」の考えなども 俳句の作成に試みてはどうかなど,
俳句人としては,充実した内容で作句意欲の湧く内容がふんだんに提供され,稔りの多い20周年記念と言えよう。
その後,櫟賞、新同人の紹介、特別作品の表彰等が行われ,受賞者の一年間の努力
に会員一同,惜しみない拍手を送った。
また,20周年記念としての特別賞は中尾久美子さんの「赤い林檎」に贈られた。
また,くぬぎホームページの「わんちゃんの名前」は「くーちゃん」と命名された。
候補名は3名から提案されていたので,ジャンケンで松田かをりさんが名付け親となり,記念品が贈呈された。
最後は全員で「故郷」の合唱となり、来年、また、元気でお会いしましょうということで、御開きとなった。
以下はその時のほんの数コマと今回は特別として会場風景を掲載した。
作句や明日への糧の一材料になれば幸いである。
文責 管理者
1.会場 にぎたつ会館 2.受付風景1
3.受付風景2 4.開会宣言-「心を充たす」
「季語を活かす」 「個性を活かす」
5.記念講演-1 阪本謙二氏 6.記念講演-2 宮坂静生氏
「精神的な豊かさを築こう」 「自分の歳時記」を作ろう
7.記念講演-3 茨木和生氏 8.記念講演-4 藤本美和子氏
「自然暦」を大切に 「俳句を作ることはぎりぎりまで生きる力となる」
9.第19回檪賞-石丸千恵子氏
「大きな靴」---60句中の一部抜粋(平成二十四年九月号~平成二十五年八月号)
法螺の音を確かめ合うて山開
峠まだ雲を離さずほととぎす
たづぬれば牛が首出す胡麻の花
平然と遅刻の汗を拭ひけり
蟻地獄大きな靴の通りけり
大方は男ともだち菊の酒
来るはずの人の来ぬまま十三夜
飾焚く火のよろよろとたちにけり
若菜山こころ透くまで仰ぎけり
夕つばめ話の中を抜けゆきし
10.檪賞の記念色紙
「降る雪にひびかせて打つ和釘かな」 謙二
11.新同人の紹介
12.五月集 特選 中尾久美子氏 「赤い林檎」 ---十部抜粋
「桐一葉落ち何事もなかりけり」
「栗飯や十年先の話して」
「仕合せなことだけ書いて初日記」
「まんさくや散骨せよと言はれても」
「病人に一番赤い林檎剥く」
「やがて来る死ていふ大事雲の峰」
「夫にまだ命濃くあり鉦叩」
「秋の日は昇りしづかに命消ゆ」
「露寒や夫のこの世の北枕」
「天高し今日も私は生きてをり」
主宰のやさしい眼差しが印象的であった。
13.五月集 入選者 14.弥生集 入選者
15.如月集 特選 室 達朗氏 16.如月集 入選者
「御手洗川」 一部抜粋
「むらさきの脚絆を巻きて祭馬」
「祭馬の歩みに揺るる姫の腰」
「鞍はづし湯気の立ちたる祭馬」
17.評論賞 入選 松田かをり氏 18.特別作品講評 江崎紀和子氏
「久女を思う」 「レベルの高い作品が多かった」
「3年越しの久女との闘いでした。 「来年も今から準備して今年を上回る作品が
今後の人生観に大きな影響を受けました。」 生まれることを期待します」
19.櫟特別大賞-中尾久美子氏 20..長寿賞
石丸千恵子さんのいたわりにもこころが奪われた
21.長寿賞 山本義久氏
「思っても見なかった賞を頂きました。ありがとうございます」
「兵たりし日の日記帳曝しけり」 松山 山本 義久
22.集合写真
23.懇親会 司会者 24.懇親会 乾杯
「言葉は力です」
25.懇親会風景-1 26.懇親会風景-2
27.スローガン 28.座談会1
29.座談会2 30.座談会3
「自然を大事にしたい--」 「季語に死語なし」
31.座談会4 32.座談会5
「句会は大事です」 「季語に託して自分を磨いて活かす」
33.特選句 披講1 34.特選句 披講2
阪本謙二 選
「黙礼に応ふ黙礼桐の花」 松山 宍野 宏治
「漆黒の武具の赤糸余花の雨」 松山 赤穂 和子
「よこがほの大人となりし帰省かな」 松山 藤原 三喜恵
「青田風千枚の田に流れけり」 松山 行本 奈智子
「ちちははの生国青嶺また青嶺」 大洲 山中 清子
「老夫婦聞こえる距離にゐて涼し」 松山 松本 麗子
「てのひらをやはらかくして蛍受く」 松山 渡辺 寿美
伊藤 通明 選
「ころがして赤子の太る聖五月」 松山 坂本 千恵子
「梅雨冷の牛舎に出荷予定表」 東温 越智 啓子
「海の日の夕日大きく沈みけり」 柚山 紀美子
今瀬 剛一 選
「首すぢに大粒の雨蛍狩」 高槻 本村 美香子
「凌霄の花のまぶしき旅疲れ」 四国中央 妻鳥 弘子
「てのひらをやはらかくして蛍受く」 松山 渡辺 寿美
大串 章 選
「ローマ字の表札かけて薔薇の家」 松山 安藤 季子
「夏野行く人それぞれの荷を背負ひ」 松山 佐伯 和子
「鶏頭を数へて子規に逢ひにけり」 松山 德永 陽子
茨木 和生 選
「海近き木造校舎桐の花」 東温 近藤 洋子
「虫送り茅で造りし飛蝗乗せ」 今治 赤瀬 朝子
「緑蔭や錠をかけざる牧師館」 西条 藤田 美和子
宮坂 静生 選
「嬰ほどの甘藍もらひ蹌踉めきぬ」 東広島 福田 文子
「早苗饗や大きな月ののぞきをり」 内子 東 薫子
「神饌に氷室の氷背負ひ下ろす」 西条 山川 瞳
西村 和子 選
「鎧戸を押し入つてくる西日かな」 東温 池川 紀子
「黒牛の耳横に張る大暑かな」 松山 行本 奈智子
「しやくとりのへこりへこりと急ぐかな」 今治 村上 順子
山本 洋子 選
「胴震ひして田植機の動きだす」 松前 井門 忠士
「出迎へは両手を翳し沢の蟹」 今治 安部 節子
「帰省待つ大玄関の大あかり」 今治 村上小夜子
藤本 美和子 選
「湯冷ましを母と分け合ふ半夏かな」 松山 渡辺 美紀子
「百歳の母に叱られ心太」 松山 坂本 千恵子
「兵たりし日の日記帳曝しけり」 松山 山本 義久
片山 由美子 選
「首すぢに大粒の雨蛍狩」 高槻 本村 美香子
「二階より声降りてくる柿の花」 松山 和泉 厚子
「入院の記憶の欠ける炎暑かな」 交野 羽山 加代子
35.会場の花
36.閉会 「故郷」の合唱1 37.閉会 「故郷」の合唱2
38.閉会 「故郷」の合唱3