鳥獣戯画を眺める

 2021年4月、鳥獣戯画の展示が東京国立博物館で開始されたが、コロナ緊急事態宣言のため
数日で閉館となってしまった。 2015年にも特別展で展示されたようで、その時の解説書を
知人から借用したので、同書を基に動画風に作ってみた。 
 鳥獣戯画は甲乙丙丁の四巻からなり、制作は平安時代末期との事であるから、八百年になる。
甲巻が特に有名で鳥獣戯画と云えばこの甲巻で代表され、誰しも一度は教科書等で見た事が
ある絵巻である。 擬人化された動物達の仕草が描かれているが、 人間社会の風刺或いは
物語風でもあるが、未だに解説の決定版はなく謎に包まれているようである。(20210515)

上は鳥獣戯画甲巻
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鳥獣戯画乙巻は擬人化していない鳥獣が描かれている。 但し甲巻にある兎、鹿、猪、猫
猿等は登場しない。又、霊獣と呼ばれる架空の龍、麒麟、莫等も描かれている。

鳥獣戯画丙巻の前半は鳥獣とは無関係に庶民の娯楽風景が色々描かれており、後半は
一転して甲巻に登場した擬人化した動物達の風景となり、特に蛙が主役のようである。 
最後は蛇が出て蛙が逃げ去る。鳥獣戯画四巻の中で唯一巻末の奥書がある。
曰く「秘蔵々々絵本也、拾四枚之也、建長五年五月日 竹丸」。 絵が描かれてから
80-100年後の鎌倉時代中期に絵の所有者が書いたものと思う。

鳥獣戯画丁巻は鳥獣とは名前だけで、楽しそうな人間社会の風俗が描かれている。 
特にプロの芸人らしき集団が多く描かれている。 中には異国人風体の人物像もあるか
と思うと大きな丸太を大勢で牽くシーンや、騎馬の武士と流鏑馬、貴人の牛車から牛が
逃出したシーンなどもある。 強いて鳥獣と云えば馬と牛だけである。
八百年前の絵とは思えない位に人々の生き生きとした様相が描かれている。