星の航海術について

星の航海術について

大平洋に伝わる計器を使わない航海術

航海の基本というのは自分が今いる場所を知り、進む方向を決めるということです。近代で発明されは羅針盤(コンパス)、六分儀、時計などの計器に加え、現在ではGPSが存在し、安全な航海が行われています。

一方で、そんな近代の計器が発明される前から航海を続けてきた人々もいます。なかでも大平洋の島々に住む人々は星や太陽の動き、海をつたわるうねり、その他の自然のサインを観察し読み取ることによって陸の見えない外洋を航海し渡る術を身につけて生きていました。

20世紀になるとそんな大平洋の人々の航海術はミクロネシアの一部で残るのみとなりました。西洋の現代化された文化の流入により大平洋に伝わる知恵の伝承は途絶えようとしていました。

そんな失われかけた芸術ともいえる航海術でしたが、今では太平洋各地で新たなカヌーが建造され、多くの若者が航海術を学び伝承しています。

そのきっかけといえるのがハワイの航海カヌー”Hokule‘a”(ホクレア)です。この航海カヌーが1976年にハワイからタヒチへの航海を成功させます。その航海でナビゲーター(航法師:船長とは違いカヌーが進む方向を決める役割を担う)を務めたのがミクロネシアのサタワル島で航海術を受け継いでいたマウ・ピアイルックでした。

そんなマウの元で航海術を学んだのが現在、ポリネシア航海協会の会長である若き日のナイノア・トンプソンです。

星の航海術(Way Finding)

ナイノアたちが復興させた航海術はStar Navigation(星の航海術)やWay Findingという名前で知られ、太平洋各地で学ばれています。

Way Finding すなわち「道を見つける」という言葉がこの航海術の本質を表しています。

広大な海に浮かぶ小さな島を見つけることは決して簡単な事ではありません。

島に至るまで、海の上の見えない道を様々な自然のサインから見い出し続ける事。

それが航海の本質であり、地球上でもっとも広大な海である太平洋で生きる人々が受け継いでいる術なのです。

航海では

「自分が今いる場所」

「進むべき方向」

この2つを知ることとが不可欠です。

航海術というのは自分が今いる場所を意識し、目指すべき方向(道)を追い求め続けることなのです。

~つづく~